平成18年度新試短答民事系第26問解説

【問題】

共有物の法律関係に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているもの
はどれか。

1. ABが甲建物を持分各2分の1の割合で共有していた場合,Aが死亡して相続人も特別縁故
者もいないときは,甲建物の所有権はBに帰属する。

2. ABがC所有の土地上に建物を共有してその土地の所有権を侵害している場合,Cが建物収
去土地明渡の訴えを提起するときは,AB双方を被告とする必要がある。

3. ABが共有する土地について,その土地上に建物を所有して土地の占有を侵害するCに対し
建物収去土地明渡を求める訴えを提起する場合,Aは,単独で当該訴えを提起することができ
る。

4. ABが持分各2分の1の割合で共有している建物を目的とする使用貸借契約について,Aは,
単独でこれを解除することはできない。

5. ABが共有している建物の管理費用をAが立て替えた場合,Aは,Bからその共有持分を譲
り受けたCに対し,当該立替金の支払を請求することができる。

【解説】

1について

正しい(255条、最判平元・11・24)。

2について

誤り(最判昭43・3・15)。

3について

正しい。
不可分債権、ないしは、保存行為であるとするのが一般である。

4について

正しい(最判昭和29・3・12)。

5について

正しい(254条)。

民事系の出題傾向について

民事系でも、「判例の趣旨に照らし」という出題が多い。
しかし、公法系と意味合いが異なる。
公法系(特に憲法)では、判旨以外の、理由も詳しく知っていることが求められるが、
民事系は、結論だけ知っていれば足りる。
また、単なる条文問題や、今日では既に前提となった明治・大正期の判例についての出題も多い。
従って、旧司法試験における通常の知識問題と考えて問題ないと思う。
おそらく、旧試験における「知識問題の正誤基準は、判例である」という暗黙の了解を明文化したのだろう。
少数説の学者に対して「お前の説は誤りだ」というような印象を与えないようにするためだ。
そういうわけで、民事系においては、判例を公法系ほどに読み込む必要はない。

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