【問題】
XがYに対し履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した。この場合の主張立証に関する
次の1から5までの記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。1. 履行期にYが債務の履行をしなかったことをXが主張立証する必要はないとの見解に立つ場
合,履行期に債務の履行をしたとのYの主張は,Xの主張に対する否認となる。2. 債務の履行は可能であることが常態であるから,履行遅滞に基づく損害賠償請求訴訟では,
履行期に履行が可能であったことをXが主張立証する必要はなく,履行期に履行不能であった
ことをYが主張立証しなければならない。3. 売買代金の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,同時履行の抗弁権が存在することが遅
滞の違法性を阻却するとの見解に立つ場合,Xが請求原因事実として自己の債務の履行又は履
行の提供を主張立証しなければならない。4. 貸金債権の履行遅滞に基づく損害賠償請求において,Yは,履行遅滞が自己の責めに帰すべ
き事由に基づかないことを主張立証したときは,その責任を免れる。5. Xが,売買代金の履行遅滞に基づき履行期の翌日から年5分の割合による損害賠償を求める
場合,損害の発生とその数額を主張立証する必要はない。
【解説】
1について
Yが主張立証責任を負うのだから抗弁となる。
誤り。
2について
正しい。
履行が不能であることは、例外事由に属するからである。
3について
存在効果説からは、Yは同時履行の抗弁の主張立証を要しない。
従って、自己の債務の履行又は履行の提供は、請求原因事実としてXが主張立証しなければならなくなる。
よって、正しい。
4について
誤り(419条3項)。
5について
正しい(419条1項2項、404条)。