平成18年度新試短答民事系第30問解説

【問題】

AがBに対し金銭債権甲の支払を求める訴えを提起したところ,Bは,Aに対する別の金銭債権
乙をもって対当額で相殺する旨の抗弁を主張した。この場合に関する次の1から5までの記述のう
ち,誤っているものはどれか。

1. 乙が貸金債権である場合,弁済期の合意を消費貸借契約の成立の要件と考える見解に立つと,
BがAに対して相殺の抗弁を主張するためには,貸金債権乙の弁済期の合意の存在を主張立証
する必要がある。

2. Bの相殺の抗弁は,金銭債権甲の元本に対する抗弁となるだけでなく,相殺適状を生じた後
の金銭債権甲の利息及び遅延損害金に対する抗弁にもなる。

3. 金銭債権甲が不法行為に基づく損害賠償請求権である場合には,Bの相殺の抗弁は主張自体
失当となる。

4. Bは,口頭弁論期日において相殺の意思表示をした場合,相殺の意思表示をしたことを立証
する必要はない。

5. Bが相殺の意思表示に条件を付したことをAが再抗弁で主張しても,主張自体失当となる。

【解説】

1について

正しい。
貸金債権発生の基礎となる消費貸借契約の成立を主張立証しなければならないからである。

2について

正しい。
相殺により、相殺適状後の利息及び遅延損害金は発生していないことになるからである(506条2項)。

3について

正しい(509条)。
再抗弁を待つまでも無いからである。

4について

正しい。
調書に記載され(民訴法160条1項)、「顕著な事実」(同法179条)となるからである。

5について

誤り。
再抗弁事由となりうる(506条1項後段)。

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