法務大臣閣議後記者会見

司法試験関連部分のみ抜粋

平成19年3月16日(金)

【民法772条に関する質疑】
Q:民法772条の離婚後300日規定について,お伺いしたいのですが。昨日,公明党のプロジェクトチームで,特例新法の試案というのが大筋で了承されまして,今日,自民党もプロジェクトチームを立ち上げることになっています。与党で議員立法の動きが,進んでいるわけですけれども,これについてどのように受け止めておられるかということと,法務省としても,運用の改善等,御検討されているわけですが,この与党の動きを受けて,法務省としては,どのように対応していくのか,お伺いしたいのですが。

A:与党で御検討されるのは,非常に結構なことです。しかし,新聞の見出し以上に,私はまだ中身を見ていませんし,試案がどういう性格のものかも分かりません。これからのスケジュールのことも聞いていませんので,このことに関しては,何とも申し上げかねます。いずれにしても,いろいろ議論が出ているようですから,いろいろな場面で検討されていくこともあるでしょう。

Q:法務省としては,与党との調整などを反映した形で,今進めている検討を,また進めていくというようなこともあるのでしょうか。

A:与党からこれでまとまったので,政府で検討をしてくださいと言っているのかどうかも,私は分かりませんから,今の段階では,何とも言えませんけれど。ただ,やはり法律改正ということになりますと,母子関係なり身分法の根幹にかかわる部分もあるのではないかと思われますから,それなりに慎重に検討をしなければならないことになるのではないかと想定はしますけれど。とりあえず,与党から具体的にこれをどうするから,政府の方でこうしてくださいという御相談は,まだ直接は聞いていません。

Q:与党の動きは別として,法務省として実態調査をするというお話があったと思うのですけれども,そちらの方の省内の検討はどういうふうに考えているのかという点と,仮に議員立法という形が表面化した場合に,大臣はどうお考えでしょうか。

A:300日ルールによって,嫡出推定を覆すための裁判等の手続が面倒だとか,負担が大きいという御意見に対して,確かに手続に負担をかけるのは,不合理ではないかということが,あるのかないのかということ,仮にあるとすれば,そういう手続を,負担なしにやれる方法があるのかということは,今検討させています。答えは別にして,そんなに長い間をかけて考えなくても,どうにかなるのかなと,一応思っていますけれど。しかし,中身はよく分かりませんけれど,与党のお考えになっているような議論であるとすると,逆にそんな短時間で結論を出すのもなかなか難しいのかなという思いはします。今の段階で私は正確なことを申し上げることはできません。

Q:中身をかみ砕いて言いますと,戸籍の事務を弾力化して,例えば,裁判で覆っているようなケースを,法務局長にジャッジする権限を与えて,DNAの鑑定書などが出た場合には,前夫でなく,再婚の夫の嫡出子として届出ができるというような要綱の内容になっているのです。今,大臣がおっしゃったような手続面での軽減をするという意味では,同じようなことを言っているのかとも受け止められるのですが。

A:今あなたが言ったことは,裁判の負担を軽減するのと同じようなことというふうに聞こえますけれど,やはり中身を見てみないと,同じなのか,根本的に違ったものが加わっているのか,今は言えません。

Q:法務省で進められている,そういった運用の見直しといったものとは全く別個に,家族法,民法というものについて,結論はどうなるかは別として,この機会に考えてみようとか,検討しようという動きというのは,どんなふうにお考えになっていますか。

A:当面はすぐやるといっても,ただやみくもに,さあやりましょうというわけにもいかないでしょうから,やるとしてもどういうふうにやるか,どういうことを視点にするかというのは,ある程度考えた上で考えていかなければいけないでしょう。今具体的に,その検討を開始するというスケジュールに入っているという意識はありません。

平成19年3月20日(火)

【民法772条に関する質疑】
Q:民法772条の関係で,今日も自民党と公明党のプロジェクトチームがあるようですし,民主党も法務部門会議を開いて,検討チーム準備会設立が一応議題になっているようなのですが,与野党でいろいろ動きが出ているのを踏まえて,現時点での法務省の対応方針や検討状況を改めてお伺いしたいのですけれども。

A:どういうやり方で進めるのか,明確でありませんし,前回の自民党のプロジェクトチームでも方向付けが決められたという状況ではないのではないかと思っています。私自身は,現在の民法772条が,母子関係を早期に確定するという意味で,家族関係の安定を図るという考え方そのものを,合理的なものだと思っています。しかし,いわゆる2項に基づく嫡出推定を覆すためには,医学の発達などいろいろなこともありまして,必要性とそれを覆すための負担とのバランスが,若干,不合理なものであるかもしれないという状況なので,そういうものは民法772条の趣旨の中で,直すのが可能であれば,できる範囲で,なるべく早急にやりたいという検討はしています。法体系そのものを見直すということになれば,親子,家族の根本的にかかわる議論になりますので,慎重に議論をしなければならないと思います。党で御議論をされることは大変よいことだと思いますので,それを見ながら,法務省としてやるべきことがあれば考えていかなければいけないという段階です。

Q:各党の動きを見極めてからということになりますか。年度末が近づいていますし,下手をすると法務省の動きが後手に見られかねないと思うのですけれども,見通しとしては,どれくらいに結論を出すつもりですか。

A:各党が,どういう方向で,どういう議論をなさっていくのか,私はまだ明確に分からないのですけれども,先程言いましたように,民法772条を中心とした法体系そのものをどうするかという話であれば,私としては慎重に考える部分が多いと思います。そういう議論を,仮に党でなさるということであれば,そんな簡単に明日,明後日に結論が出るというレベルではないのではないかと想像します。これは想像ですから,そうではないかも知りませんけども。いずれにしても,そういうことに問題意識を持たれて,議論をなさるのはよいことだと思うのですけれど。その話はその話として,現実に困るといいますか,負担が重いと思っている方がいらっしゃることは事実ですから,今ある問題だけでなく,嫡出推定を覆すために不合理な負担があるとすれば,その負担を直す方法が,今の法律の範囲内でできることであれば,早くやりたいなと,やれるものがあればやるという方針でいます。しかし,やり方によっては,かえって窓口が混乱して,ばたばたになるのでは困りますから,そういうことも含めて検討せざるを得ないので,今話したように年度末ですとか,いつまでにやらないと後手になるですとか,早くできればやりたいというつもりはありますが,早くやるとおかしなことになるということがあっては困りますから,そういうことを,今申し上げているのです。もちろん党の方で,いろいろな議論をすることになるでしょうけれど,具体的にどうしようという話や,まとまっているところも,方向性などの議論までは伺っていません。私としては,先月以来,検討をさせていますので,整合的な仕組みが考えられれば,なるべく早くやりたいと思います。

平成19年3月23日(金)

【民法772条等に関する質疑】
Q:嫡出推定問題を議論する自民党プロジェクトチームで,今週,再婚禁止期間の短縮を検討課題に挙げていこうというようなことを決定されたのですけれども,これに対して,大臣は,どういうふうに受け止められるかということと,その理由の一つとして,平成8年の法制審議会答申で,短縮の方向は出されているので,民法改正でなくても,議員立法で進められるという認識で話をしているのですけれども,そこら辺をどうお考えなのか,この2点についてお願いできますでしょうか。

A:党で御議論なさることに,どうこう言う立場にはないのではないかと思います。いわゆる家族制度なり,結婚制度なりにかかわる根本的な問題ですから,国民の意識の動向等も踏まえながら,慎重に考えなければならないと思います。法制審議会の話もありましたけれども,やはり今そうだというふうな流れに国民全体がなっているかどうかも,よく考えなければならない問題ではないでしょうか。

Q:大臣からみると拙速というような印象をお持ちですか。

A:議論されることが拙速ということはありませんので,今は,党の御議論をもちろん関心を持って見守っていかなければならないと思いますし,また,見守っていきたいと思います。

Q:民法の改正について,1996年に法制審議会が答申を出していますけれども,再婚禁止期間を100日に短縮するという話に限って言えば,あのような流れというのは,今は当てはまらないということですか。

A:そんなに大多数の皆さんが,そうしようという雰囲気ではないのではないでしょうか。

Q:その時,夫婦別姓の話もあったと思うのですけれども,それを含めてということでしょうか。

A:あの時もいろいろな議論があったことは,承知をしています。今申しましたように,国民皆さんの意識がそういう方向になっているという状況ではないということで,今日に至っていると思いますし,大きく変わったというような状況ではないと思います。

Q:そもそも民法772条の取組について,何か進展といいますか,検討などはどのようになっていますか。

A:検討は進んでいます。進んでいますけれど,まだ申し上げることができる段階ではないと思います。

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