最新最高裁判例(刑法)

平成19年04月13日最高裁第二小法廷決定

【事案】

 本件パチンコ店(以下「被害店舗」という。)に設置されている回胴式遊技機(以下「パチスロ機」という。)「甲」は,その内蔵する電子回路の有する乱数周期を使用して大当たりを連続して発生する場合を抽選するものである。
 被告人が身体に隠匿装着していた,電子回路を内蔵するいわゆる体感器と称する電子機器(以下「本件機器」という。)は,その乱数周期を上記パチスロ機の乱数周期と同期させることによって,上記パチスロ機の大当たりを連続して発生させる絵柄をそろえるための回胴停止ボタンの押し順を判定することができる機能を有するもので,専らパチスロ遊戯において不正にメダルを取得する目的に使用されるものである。
 被害店舗では不正なパチスロ遊戯を行うために使用されるいわゆる体感器のような特殊機器の店内への持込みを許しておらず,もとより体感器を用いた遊戯も禁止して,その旨を店内に掲示するなどして客に告知しており,被告人もこのことを認識していた。
 被告人は,当初から本件機器を使用してメダルを不正に取得する意図のもと被害店舗に入店して本件パチスロ機「甲」55番台でパチスロ遊戯を行い,本件機器を用いて大当たりを連続して発生させる絵柄をそろえることに成功するなどし,合計約1524枚のメダルを取得した。

【判旨】

 本件機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであるとしても,専らメダルの不正取得を目的として上記のような機能を有する本件機器を使用する意図のもと,これを身体に装着し不正取得の機会をうかがいながらパチスロ機で遊戯すること自体,通常の遊戯方法の範囲を逸脱するものであり,パチスロ機を設置している店舗がおよそそのような態様による遊戯を許容していないことは明らかである。そうすると,被告人が本件パチスロ機「甲」55番台で取得したメダルについては,それが本件機器の操作の結果取得されたものであるか否かを問わず,被害店舗のメダル管理者の意思に反してその占有を侵害し自己の占有に移したものというべきである。したがって,被告人の取得したメダル約1524枚につき窃盗罪の成立を認めた原判断は,正当である。

戻る