最新判例(民事・行政法)

最高裁判所第三小法廷判決平成19年04月17日

【事案】

 被上告人は,損害保険業を目的とする株式会社である。
 上告人は,平成12年11月ころ,それまで所有していた車両の下取価格を60万円とし,これに加えて頭金80万円,割賦支払金263万5500円を支払う約定で,自家用普通乗用自動車(トヨタセルシオ。以下「本件車両」という。)を購入し,平成14年7月にその代金を完済した。
 本件車両には,盗難防止装置の一種であるイモビライザーが搭載されていた。
 上告人は,平成13年11月12日,被上告人との間で,次のとおりの車両保険契約(本件保険契約)を締結した。

ア保険の種類家庭用総合自動車保険
イ保険期間平成13年11月12日午後4時から平成14年11月12日午後4時まで
ウ被保険自動車本件車両
エ被保険者(被保険自動車の所有者) 上告人
オ保険金額450万円

 本件保険契約に適用される家庭用総合自動車保険約款(以下「本件約款」という。)には,次の定めがある。

ア被上告人は,「衝突,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,台風,こう水,高潮その他偶然な事故」によって被保険自動車に生じた損害及び「被保険自動車の盗難」による損害に対して,被保険者に保険金を支払う(第6章車両条項第1条1項。以下「本件条項1」という。)。
イ被上告人は,保険契約者,被保険者,保険金を受け取るべき者,所有権留保条項付売買契約に基づく被保険自動車の買主等(以下「保険契約者,被保険者等」という。)の故意により生じた損害に対しては,保険金を支払わない(同章第4条(1)。以下「本件条項2」という。)。

 上告人は,平成14年10月12日午後1時ころ,上告人の肩書住所地のマンション1階にある駐車場に本件車両を駐車し,福岡空港から同日午後4時発の便でフィリピンに出発し,同月22日午後3時ころ,フィリピンから帰国した。
 本件車両は,平成14年10月12日午後7時21分ころ,上告人以外の何者かによって,上記駐車場から持ち去られた(以下,これを「本件車両持ち去り」という。)。本件車両持ち去りの状況は,上記駐車場に設置された防犯ビデオにより撮影されていた。
 上告人は,本件車両の盗難により損害を被ったと主張して,被上告人に対し,本件保険契約に基づき保険金の支払を求めた。

【判旨】

 本件条項1では「被保険自動車の盗難」が他の保険事故と区別して記載されているが,「被保険自動車の盗難」についても他の保険事故と同じく本件条項2が適用されるのであるから,「被保険自動車の盗難」が他の保険事故と区別して記載されているのは,本件約款が保険事故として「被保険自動車の盗難」を含むものであることを保険契約者や被保険者に対して明確にするためのものと解すべきであり,少なくとも保険事故の発生や免責事由について他の保険事故と異なる主張立証責任を定めたものと解することはできない。
 そして,一般に盗難とは,占有者の意に反する第三者による財物の占有の移転であると解することができるが,上記のとおり,被保険自動車の盗難という保険事故が保険契約者,被保険者等の意思に基づいて発生したことは,本件条項2により保険者において免責事由として主張,立証すべき事項であるから,被保険自動車の盗難という保険事故が発生したとして本件条項1に基づいて車両保険金の支払を請求する者は,「被保険者以外の者が被保険者の占有に係る被保険自動車をその所在場所から持ち去ったこと」という外形的な事実を主張,立証すれば足り,被保険自動車の持ち去りが被保険者の意思に基づかないものであることを主張,立証すべき責任を負わないというべきである。

 

最高裁判所第三小法廷平成19年04月17日

【事案】

 愛知県の住民である上告人が,愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号。平成12年愛知県条例第19号による全部改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,被上告人に対し,平成8年1月分から3月分の愛知県商工部万博誘致対策局の需用費中食糧費の支出に関する予算執行書,支出金調書等の公開を請求したところ,同9年3月21日,被上告人から,第1審判決別表二記載の予算執行書(以下「本件予算執行書」という。),支出金調書(以下「本件支出金調書」という。)等について,同別表一の「非公開理由」欄記載の理由により,同表の「非公開箇所」欄記載の部分を非公開とする公文書非公開決定(以下「本件非公開決定」という。)を受けたため,同決定のうち,原判決別紙目録1及び2記載の部分等に関する部分の取消しを求める事案。

【判旨】

 本件予算執行書又は本件支出金調書中に,非公開情報に該当しない公務員の懇談会出席に関する情報が記載されている場合には,その記載が上記各文書中のいずれの箇所にあるかを問わず,すなわち,その記載が上記各文書中の「題名」欄ないし「執行の目的」欄,「執行の内容」欄にあるか,あるいはその余の箇所にあるかを問わず,すべてこれを公開すべきであり,このことは,本件の第1次上告審判決の命ずるところである。
 また,上記各文書中に,非公開情報に該当しない公務員の懇談会出席に関する情報とこれに該当する公務員以外の者の懇談会出席に関する情報とに共通する記載部分がある場合,それ自体非公開情報に該当すると認められる記載部分を除く記載部分は,公開すべき公務員の本件各懇談会出席に関する情報としてこれを公開すべきであり,本件条例6条2項の規定も,このような解釈を前提とするものと解される(最高裁平成10年(行ツ)第167号同15年11月11日第三小法廷判決・裁判集民事211号349頁参照)。
 したがって,上記3(3)の各文書中の公務員の氏名や所属名,職名等の出席公務員が識別される部分は,公務員の本件各懇談会出席に関する情報としてすべてこれを公開すべきである。

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