平成18年度新司法試験短答式刑事系
第15問〜20問解説

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【第15問】

最初の括弧について

bが正しい。
行為と責任の同時存在の原則を修正する立場である。

2個めの括弧について

cが正しい。
間接正犯類似説の立場からの説明である。
この説は、行為と責任の同時存在の原則を貫徹する。

3個めの括弧について

fが正しい。
間接正犯類似説も、原因において自由な行為とすることには変わりがない。

4個めの括弧について

gが正しい。
「〜と同様」というところから、間接正犯についての記述だと分かる。

5個めの括弧について

jが正しい。
いわゆる二重の故意についてのあてはめであるから、自らが心神喪失になって犯罪を犯す意思という内容になる。

【第16問】

Bについて

fが正しい。
法定刑の差に言及していることから、法益で両罪を区別する説に立っているとわかる。

@・Aについて

Bが法益で区別する見解を採っていることから、Aは法益で区別しない見解だとわかる。
よって、@にa、Aにcが入る。

D・Eについて

Bの説には、公然性が無くとも名誉感情は害されるはずだが、侮辱罪が成立しないとするのはおかしいとの批判がある。
また、侮辱罪は事実の摘示を要件としていない。
よって、Dにiが、Eにkが入る。

Gについて

この時点で、正解肢は2か3に絞られている。
あとは、Gに何が入るかで決まることになる。
しかし、ここは判例知識ということになってしまう。
判例(最判昭58・11・1団藤教授の最高裁判事としての補足意見がある)は、法人に対する侮辱罪を認めるので、Gにはoが入る。
知らなかった人は、刑法の判例は犯罪を成立させるものが多いと覚えておこう。

以上から、正解は2である。

【第17問】

1について

誤り。
1項詐欺については、不法原因給付でも詐欺罪を認めるのが判例(最判昭25・7・4)である。

2について

誤り。
借用証書に署名させただけでは、債務を負担させたことにならない。
よって、未だ詐欺罪は成立しない。

3について

誤り。
本肢のような事案につき、判例(最判昭27・12・25)は、詐欺罪の成立を否定している。
しかし、旅券の財物性を否定したわけではない。
157条2項の存在を詐欺罪不成立の根拠としている。

4について

正しい。
払戻権限無ければ、窓口担当者は払戻しに応じないはずなので、これを偽る行為は欺罔行為になる。
なお、最判平14・10・21は預金通帳自体の詐取であるから、本肢とは異なる。

5について

誤り。
本肢のような場合につき、判例(最判昭34・9・28)は詐欺罪の成立を認める。

【第18問】

アについて

誤り。
C説でも、行為当時のVの心臓異常を基礎にするから、因果関係は肯定される。

イについて

誤り。
B説では、甲が認識予見しえた事実は基礎事情とならない。
よって、B説からは因果関係は否定される。

ウについて

正しい。
条件説(A説)はもちろん、折衷説(B説)・客観説(C説)からでも、一般人の認識予見可能性がある以上、因果関係は肯定できる。

エについて

誤り。
ウで検討した通り、A説はもちろん、認識予見可能性があれば、BC説共に因果関係を認めることができる。
乙に過失があっても、これは変わらない。
行為後の過失行為介在につき、A説には、中断理論、C説には前田説などの異説があるが、本問では考慮しなくて良いだろう。

【第19問】

アについて

正しい。
判例は現住性の判断につき、基本的に物理的機能的一体性で判断しているとされる(最判平元・7・14参照)。
アパートの各部屋は構造上一体となっているから、物理的機能的一体性が認められる。

イについて

正しい。
居住者全員を殺害後は、当該家屋は非現住建造物になるとされる(大判大6・4・13)。
また、媒介物(布団)を離れて独立燃焼するに至っていないので、未遂となる。

ウについて

誤り。
保険を付した自宅は他人所有となる(刑法115条)。
延焼罪は自己所有の放火を基本犯とする結果的加重犯である。
従って、本肢では延焼罪は成立しない。
なお、甲には現住建造物放火罪が成立する。
妻は旅行中だが、利用形態に変化がないため、現住性は否定されないからである。

エについて

誤り。
未だ媒介物(カーテン)を離れて目的物が独立燃焼するに至っていないから、未遂である。

【第20問】

1について

正しい。
正犯行為が日本国内で行われている。
よって、設問見解からは、共犯は国内犯として処罰の対象となる。

2について

正しい。
実行の着手が日本で行われている以上、犯罪構成事実の一部が国内で生じたといえる。
よって、設問見解からは、国内犯として処罰対象となる。

3について

誤り。
共犯行為は日本国内で行われているから、共犯たる甲は国内犯として処罰の対象となる。

4について

正しい。
共犯行為の行われた場所は正犯の犯罪地とはならないのであるから、乙は国外犯として処罰対象外である。

5について

正しい。
日本航空機内は、日本国内と同様にとされる(刑法1条2項)。
乙に対する服毒行為は日本航空機内で行われているから、犯罪構成事実の一部が国内で生じた場合となる。
よって、設問見解からは、国内犯として処罰対象となる。

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