平成18年度新司法試験短答式刑事系
第31問〜40問解説

【第31問】

アについて

誤り。
乙に争う機会を与えなければならないのは当然である。

イについて

正しい。
併合審理されても、あくまで別個の訴訟だからである。

ウについて

誤り。
望ましくはないが、分離しなくても取調べ可能とされる。
この場合、当該検面調書は甲に対する関係でのみ証拠になる。

エについて

誤り(最判昭31・12・13最判昭35・9・9)。

【第32問】

見解をざっと一読すれば、挙証責任についての話であることはわかるだろう。
この時点で、単に証拠能力や経験則についての記述であるアとウは適切でないとわかる。
そうすると、解答は3と5に絞られる。
後は、イとオのどちらがより適切かを考えればよい。
オは単に挙証責任の定義を述べたに過ぎない
見解のように、(形式的)挙証責任の具体的作用について言及しているのはイの方である。
よって、イの方がより適切であるから、正解は、3となる。

【第33問】

@について

「かつ」の関係にあるとするBの発言の後に、Cが「でも」といって発言していること、その内容から、cの「又は」が入る。

Bについて

「警察官は・・・事実と反する証言をしている・・・このような警察官の態度を総合的に考慮すれば、本件逮捕手続の違法の程度は・・・重大なもの」としていることから、iの「違法の重大性」が入る。

この時点で、正解は1となる。

【第34問】

この問題はハマると時間を浪費しやすい。
わからなくなったら、とりあえず後回ししてみるのも良い方法である。
すんなり解ける人は、もちろんそれでいいわけであるが。

エ、オ、甲、乙だけわかればいいのだが、直接には埋めにくい造りになっている。
まず、アを埋める。
@ABCの特徴を持つのは、bの鑑定人作成鑑定書だけである。
従って、アにはbが入る。

次に、イとウを検討する。
最高裁がアと同様の要件で証拠能力を肯定するというのであるから、明文なく、解釈上認められるものである。
d、eについては明文規定があるので、残るaとcがイとウに該当することになる。

ここまで分かった段階で、オを見ると、大体全体像が掴めるはずである。
オにはd、eのいずれかが入るが、証拠能力を肯定する論拠となりうるものであるから、dが適切であるとわかるだろう。
つまり、主体が捜査機関でも伝聞例外を緩やかに認められる場合があるということを言っているのである。
従って、イにcが入る。
ここで、甲、乙を埋めることになる。
鑑定受託者作成鑑定書には、BCが欠けている。
よって、BCが入る。

この時点で、オ:d、甲乙:BCの組み合わせは4しかないので、正解が4に確定する。

【第35問】

aについて

誤り。
@説からは自己矛盾供述でない以上、弾劾証拠とできない。
また、A説は純粋補助事実に限るが、Aの証言は犯人の同一性そのものにかかるものであって、純粋の補助事実ではない。
よって、A説からも、弾劾証拠とはできない。

bについて

正しい。
A説からは、Aの証言は専らWの証言の信用性にかかる純粋補助事実といえ、弾劾証拠とできる。
また、@説からも、Aの証言内容はWの自己矛盾供述であるから、弾劾証拠とできる。

cについて

正しい。
Wが甲に有利な証言をしやすい関係にあるという点は、専らWの証言の信用性にかかる純粋補助事実である。
よって、A説からも、弾劾証拠と出来る。

dについて

誤り。
自己矛盾供述であるので、@ABの説によって差異はない。
証明力を回復する場合も含むかは、全く別の論点である。

eについて

誤り。
Aの証言内容はBの自己矛盾供述であるから、@説からも弾劾証拠となしうる。

【第36問】

長年のヤマと言われた犯罪被害者であるが、こういうところで出題されてしまった。
論文の素材としては使いにくかったので、択一で出したのだろう。

アについて

誤り。
刑訴法上、一般に訴訟記録が公開されるのは、事件終結後である(刑訴法53条1項)。
また、特別法として刑事確定訴訟記録法というものがあり、その4条で確定事件の閲覧請求に対する措置の規定がある。
「犯罪被害者も刑訴法上はその他一般扱い」という理解からは、これが犯罪被害者にも適用され、その結果、本肢は正しいということになりそうである。
しかし、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が平成12年に制定されている。
同法3条は第一回公判期日後の閲覧謄写を認めている。
以上から、本肢は誤りとなる。

イについて

正しい(刑訴法292条の2第1項)。
平成12年改正事項である。

ウについて

正しい(刑訴法157条の3第1項ただし書)。
被告人側の反対審問権を保障する趣旨である。
これも、平成12年改正事項である。

エについて

誤り(最判平17・4・14)。
公法系の18問アの肢でも同じ判例を訊いている。
このことからわかることは、どうやら、公法系と刑事系は出題の調整をあまりやっていないということである。

【第37問】

1について

誤り。
T説からは、Aの窃盗が確定すると@にも一事不再理効が及ぶことになる。

2について

誤り。
判決言い渡しは9月15日であるから、9月10日に行われたBの窃盗にも一事不再理効は及ぶことになる。

3について

正しい。
T説からは、判決言い渡し後に行われたCとDの窃盗には一事不再理効は及ばない。

4について

誤り。
同時審判が不可能であれば、起訴する余地がある。

5について

誤り。
同時審判不可能であれば、起訴の余地がある。

参照条文について

参照する必要がない。
惑わされないように。

【第38問】

Dについて

「差し戻すのではなく」というところから、i「自判」が入る。

Cについて

「本件公訴事実については、第一審判決のCの結論に従うほかないのであるから・・・被告人に対してCを言い渡すべき」となっている。
そして、本件公訴事実については、第一審は無罪としている(【審理経過】の第二段落冒頭参照)。
そうである以上、Cにはg「無罪」が入ることになる。

Bについて

「Bの余地を認めて差し戻したり、Bの判決は許されない。
そうすると、C「無罪」の結論に従わざるを得ない」という構造になっている。
従って、Bにはf「有罪」が入ることになる。

Eについて

「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効である場合に準じて」というところから、a「公訴棄却」が入る。

この時点で、5が正解と確定する。

【第39問】

アについて

3が正しい。
逮捕状発布は裁判官がする(刑訴法199条2項本文)から、本来準抗告の対象となるはずである。
しかし、法は逮捕に対する準抗告を認めない(同法429条1項各号参照)。

イについて

1が正しい(刑訴法429条1項2号)。
逮捕手続の違法を勾留段階で争えるものとされている。

ウについて

1が正しい(刑訴法429条1項2号、刑訴法280条2項)。

エについて

2が正しい。
第一回公判期日後は、保釈に関する決定は、受訴裁判所が行う(刑訴法89条、90条、91条)。
これに対する不服申立として、抗告をなし得る(同法420条2項)。

オについて

3が正しい(刑訴法420条3項)。

【第40問】

アについて

誤り(刑訴法461条)。
懲役を科すことは出来ない。

イについて

正しい(刑訴法462条1項)。

ウについて

正しい(刑訴法461条の2第2項)。

エについて

誤り(刑訴法461条)。

オについて

誤り(刑訴法465条2項)。
「略式命令をした裁判所」に対してする。

以上から、正解は2となる。

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