最新下級審裁判例

大阪地裁判決平成19年05月22日

【事案】

 本件は,大阪府教育委員会が同委員会教育長A及び同委員会教育監Bに対し,同人らが汚職事件にからみ接待を受けていたにもかかわらず,懲戒免職処分ではなく減給処分をしたことが違法であるから,大阪府知事が上記教育委員会の減給処分を前提に給与の支出決定をすることは,地方自治法242条1項の違法な公金の支出に当たるとして,大阪府の住民である原告らが,同法242条の2第1項4号に基づき,大阪府知事の職にあるCに対しては損害賠償として上記支出給与相当額の合計額を,A及びBに対しては不当利得金として上記支出給与相当額を,それぞれ大阪府に支払うように請求することを求める住民訴訟である。

 大阪府教育委員会は,Aに対し,前教育監及び職員らを管理監督する立場にありながら,自らも上宮学園関係者から社会通念を超えた飲食があったとして,減給10分の1を3か月の処分(以下「本件減給処分@」という。)をし,また,Bに対し,部下の職員を管理監督する立場にありながら,部下とともに社会通念を超えた飲食があったとして,減給10分の1を1か月の処分(以下「本件減給処分A」という。)をし,その他の職員らを戒告とする処分をしている。

【判旨】

 住民監査請求の対象は,地方自治法242条1項に定める財務会計上の行為又は怠る事実に限られるが,住民監査請求において,財務会計行為の違法が主張されている限り,その違法理由が財務会計行為それ自体が直接法令に違反する場合であっても,その原因となる行為が法令に違反し許されない結果,財務会計上の行為が違法になる場合であっても,その監査請求は適法なものと解される。
 ・・・そして,地方自治法242条の2第1項は,住民訴訟に先立ち適法な監査請求を前置すべき旨(監査請求前置主義)を規定しているが,監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合には,当該請求をした住民は,適法な住民監査請求を経たものとして直ちに住民訴訟を提起することができると解すべきであるから,結局,本件訴えは,監査請求前置の要件を満たし,適法というべきである。

 地方自治法242条の2の規定に基づき当該職員に損害賠償責任を問うことができるのは,たといこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,上記原因行為を前提にしてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁参照)。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)は,教育委員会の設置,学校その他の教育機関の職員の身分取扱いその他地方公共団体における教育行政の組織及び運営の基本を定めるものであるところ(同法1条),教育委員会の権限について同法の規定するところをみると,同法23条は,教育委員会が,学校その他の教育機関の設置,管理及び廃止,教育財産の管理,教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事などを含む,地方公共団体が処理する教育に関する事務の主要なものを管理,執行する広範な権限を有するものと定めている。もっとも,同法は,地方公共団体が処理する教育に関する事務のすべてを教育委員会の権限事項とはせず,同法24条において地方公共団体の長の権限に属する事務をも定めているが,その内容を,大学及び私立学校に関する事務(1,2号)を除いては,教育財産の取得及び処分(3号),教育委員会の所掌に係る事項に関する契約の締結(4号)並びに教育委員会の所掌に係る事項に関する予算の執行(5号)という,いずれも財務会計上の事務のみにとどめており,地方公共団体の長は,教育委員会の職員等に対する任免権,懲戒権を有しないものとされている。このような教育委員会と地方公共団体の長との権限の分配関係にかんがみると,教育委員会がした学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関する処分(地教行法23条3号)については,地方公共団体の長は,上記処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,上記処分を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないものと解するのが相当である(前掲最高裁平成4年12月15日第3小法廷判決参照)。逆に,教育委員会がした処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存すると認められるときには,地方公共団体の長は,教育委員会の独立した権限を侵さない範囲において,教育委員会に対して協議を求める等して処分の瑕疵の解消に努めるべき職務上の義務があるというべきであり,その義務を誠実に執行することなく(地方自治法138条の2参照),上記処分を前提とした支出負担行為や支出命令をした場合には,それは,地方公共団体の長が職務上負担する財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものと解すべきである。
 これを本件についてみると,・・・Bの行為は,教育行政において教育長の次の地位にある者の行為として,府民の不信や疑惑を招く不適切なものではあったことは明らかであるが,Bの上記行為に対して大阪府教育委員会が行った本件減給処分Aが著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するとまではいえないというべきである。したがって,同処分を前提としてされた本件支出決定Aが財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものということはできない。

 地教行法によれば,教育委員会は,教育長の任免権,懲戒処分権限を有する(同法16条2項,地方公務員法6条1項,地教行法23条3号,同法16条3項,地方公務員法29条)が,地方公共団体の長は,教育長の懲戒処分権限を有しない。もっとも,教育委員の中から任命された教育長が,その教育委員の職を罷免等された場合には,当然に,その職を失うことになり(地教行法16条2,4項),地方公共団体の長は,当該地方公共団体の議会の同意を得て,教育委員を罷免することができる(地教行法7条1項)から,地方公共団体の長は,教育長を議会の同意を得て罷免する権限(正確には,教育長の身分のうち教育委員たる身分を罷免する権限をいう。)を有しているといえる。したがって,大阪府知事である齊籐は,教育長であるAを罷免する権限と本件支出決定@をする権限とのいずれも有していたことになる。
 そして,地方公共団体の長は,財務会計行為を行うに当たり,その原因となっている自己の権限に属する非財務会計行為に違法事由が存するか否かを審査,調査しなければならず,自己の権限に属する原因行為に違法事由があるのにもかかわらず,それに対する是正措置を執らずに財務会計行為に及んだ場合には,当該財務会計行為は,財務会計法規上の義務である誠実執行義務に違反し,違法になると解すべきであり,この理は,原因行為が不作為であったとしても異ならないというべきである。
 したがって,本件支出決定@は,Aに対する本件減給処分@が著しく合理性を欠くにもかかわらず,Cが大阪府教育委員会に対し何らの働きかけも行わなかった場合(上記イと同様の基準)のほか,CのAに対する罷免権限の不行使が違法といえる場合にも,違法になると解すべきである。もっとも,地教行法7条1項は,同項所定の罷免事由について,概括的な定めをするに留めていることからすれば,地方公共団体の長は,罷免事由に該当すると認められる行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,当該教育委員の態度,処分歴,罷免することが他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情を考慮し,地方公共団体の議会の同意を得て罷免すべきかどうかを決定する裁量権を付与されていると解すべきであり,罷免権者である地方公共団体の長の判断が違法となるのは,かかる裁量権の行使ないし不行使が社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められるような例外的な場合に限られるというべきである。
 以上を前提に本件についてみると,・・・Aの行為は,教育行政のトップの地位にある者の行為として,府民の不信や疑惑を招く不適切なものではあったことは明らかであるが,Aの上記行為に対して大阪府教育委員会が行った本件減給処分@が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するとも,Cが議会の同意を得た上でAを罷免しなかったことが裁量権の逸脱,濫用にあたるともいえず,Cに財務会計法規上の義務違反があったとはいえない。
 したがって,本件支出決定@が財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものということはできないというべきである。

京都地裁判決平成19年05月29日

【事案】

 被告の設置する高等学校のアメリカンフットボール部の合宿における練習中に急性硬膜下血腫の傷害を負い死亡したBの両親である原告らが,(1)同部の顧問及び監督である教諭には,@同部における指導を行うにあたり頭部外傷事故を防止する注意義務を怠った過失,ABが不調を訴えたとき直ちに救急車の出動を要請しなかった過失があるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条に基づき,Bの死亡による損害の賠償及びBが死亡した日である平成16年8月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,( )B2 の死亡後に開かれた同校における説明会で,同校の校長が不適切な説明をしたため,B及び原告らの名誉が毀損されたなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条,4条,民法723条に基づき,謝罪文の掲示及び送付を求めた事件。

【判旨】

 アメリカンフットボールは,数あるスポーツの中でも,競技者が互いに激しく接触,さらには衝突することが避け難いだけでなく,むしろ本来的に予定されている競技であるから,接触・衝突に付随して様々な事故が生じ,競技者の身体・生命に危害が及ぶことの高度の危険性を内在している。
 したがって,アメリカンフットボールを高等学校における教育の一環である部活動として行う場合には,生徒の指導にあたる顧問の教員は,アメリカンフットボールに内在する危険を可及的に排除すべく,最大限の注意を払うべき義務を負っているものというべきである。そして,本件オクラホマ練習のごとく,参加者同士の身体の衝突を不可避とし,生徒の身体・生命に危害が加わる危険性が特に高い練習を行わせる場合には,その指導にあたる教員には,特に高い注意義務が要求されるものというべきである。
 加えて,前判示の単純型の急性硬膜下血腫の発症の経緯に照らせば,頸部の筋力が不十分である者は単純型の急性硬膜下血腫発症の危険性がより高いものと考えられるところ,成長過程にあり頸部の筋力も未熟な高校生がアメリカンフットボールを行う場合には,大学生や社会人が行う場合にも増して,頭部の衝突から生じる危険につき,より一層の注意が払われなければならないものといえる。
 当たり練習については,頭部のみをもって相手方の身体(頭部を含む。)から衝突することは頭部外傷発生のおそれが高い危険な当たり方(ヒッティングフォーム)であることは自明であるところ,公式規則の改正により,本件事故当時,腕全部を伸ばし掌を相手に向けて当たることが許されていたのであるから,アメフト部の顧問であったC教諭は,事故防止の観点から,部員に対し,頭部よりも手を先に相手の身体に当てるヒッティングフォームを徹底して指導すべき注意義務,具体的には,当たり練習を実施するにあたり,まず,@頭部から当たることの危険性(ヘルメットをかぶっていても危険であること)を部員に説明し,理解させ,Aフォームタックル及びフォームブロックの練習を十分に行わせることにより正しいヒッティングフォームを身に付けさせ,また,B部員が正しいヒッティングフォームを身に付けたか否かにつき注意を払い,危険なヒッティングフォームで当たっている部員に対しては,適時,適切に,注意及び指導を行い,C正しいヒッティングフォームを身に付けたことを確認した上で,本格的な当たり練習を行わせるべき注意義務を負っていたものというべきである。
 ・・・C教諭は,主として,戦術面での有利さを考えて正しいヒッティングフォームの指導をしており,新入生に対し,頭部から当たることの危険性,そして正しいヒッティングフォームで当たることが事故防止の観点からいかに大切であるかについて説明し,新入生に理解させる努力を十分に行っていたものとはいえないし,そのため,本件合宿においても,Hコーチは頭と手の3点で当たるように指導し,また,本件オクラホマ練習において手よりも頭が先に当たった場合においても,C教諭,Hコーチ及びOBがその都度適切な指示を行っていないなど,C教諭の正しいヒッティングフォームについての指導は徹底していなかったものというほかない。
 この意味において,C教諭には前判示の注意義務を怠った過失があるといわざるを得ない。

 しかしながら,単純型の急性硬膜下血腫は,比較的軽度の衝撃でも発生しうること,頭部よりも手を先に相手の身体に当てる正しいヒッティングフォームで当たっても,頭部が相手の身体(頭部を含む。)に当たること自体は避けられないこと,Bがどのような態様で急性硬膜下血腫の原因となる頭部打撲を被ったのかについてその具体的な状況を認めるに足りる証拠が存在しないことからすれば,C教諭の上記注意義務違反の結果,B又は練習相手が,頭部から当たる危険なヒッティングフォームで練習相手又はBと当たったとも,さらに,頭部から当たる危険なヒッティングフォームで当たった結果,Bが,急性硬膜下血腫の原因となる頭部打撲を被ったものとも認めることができない。
 したがって,前判示のC教諭の過失とBの死亡との因果関係を肯定することはできず,アメフト部の指導にあたってのC教諭の注意義務違反を理由とする原告らの請求には理由がない。

 

青森地裁判決平成19年06月01日

【事案】

 本件は,条例の改正に伴う経過措置により上北地域県民局長が行ったものとみなされる,十和田県土整備事務所長が砂利採取業者である分離前共同被告株式会社A(以下「A」という)に対して平成18年3月9。日付けでした原告所有の別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)における砂利採取計画の認可(以下「本件認可」という。)について,原告が,本件認可はAにより偽造された採石権設定契約書に基づいてされた違法なものであるなどと主張して,本件認可の取消しを求める(以下「本件認可取消しの訴え」という。)とともに,本件認可に係る採取期間経過後もなお継続してAに対する砂利採取計画の認可がされるがい然性があるなどと主張して,本件土地におけるAその他の者に対する砂利採取法16条による採取計画の認可の差止めを求めた(以下「本件差止めの訴え」という。)という事案である。
 その中心的な争点は,(1) 本件認可取消しの訴えが鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律50条所定の裁決主義に反する不適法なものであるかどうか,(2) 本件認可が砂利採取法の諸規定に反する違法なものであるかどうか,(3) 本件差止めの訴えが「一定の処分…がされようとしている場合」(行政事件訴訟法3条7号)に該当するかどうか,(4) 本件差止めの訴えが訴訟要件である「重大な損害を生ずるおそれがある場合」に該当し,その例外事由とされている「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」に該当しない(同法37条の4第1項)といえるかどうか,(5) 本件差止めの訴えが本案差止判決の要件である「行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるとき」(同条第5項)に該当するかどうかである。

【判旨】

1 本件認可取消しの訴えについて
(1) 裁決主義との関係
 本件認可は砂利採取法16条の規定による処分であり,これに不服がある者は,「公害等調整委員会に対して裁定の申請をすることができる。」とされている(同法40条1項前段)。そして,公害等調整委員会による上記裁定の手続について定めた鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律50条は,「裁定を申請することができる事項に関する訴は,裁定に対してのみ提起することができる。」旨規定している。このように裁決主義が採用されているにもかかわらず,原告は,本件認可について,公害等調整委員会の裁定を経ることなく,当裁判所に本件認可取消しの訴えを提起している。
 そうすると,本件認可取消しの訴えは,裁決主義を定めた上記規定に反するものとして,不適法である。
(2) 訴えの利益との関係
 なお,本件認可に係る採取期間は平成19年3月8日までであり,既にその期間が経過しているから,訴えの利益が消滅しており,この点からも本件認可取消しの訴えは不適法である。

2 本件差止めの訴えについて
(1) 行政庁が一定の処分又は裁決をするがい然性
 差止めの訴え(行政事件訴訟法37条の4)は,行政庁が一定の処分又は裁決をすることを差し止めるよう求めるものであるから(同法3条7項),その訴訟要件として,行政庁が一定の処分又は裁決をするがい然性が認められることが必要である。
(2) Aに対する認可の差止めについて
ア 砂利採取法16条に基づき砂利採取計画の認可を受けようとする砂利採取業者は,申請書を提出するに際し,その添付書類(同法18条2項)として認可規則3条2項7号所定の「砂利採取場で砂利の採取を行うことについて申請者が権原を有することまたは権原を取得する見込みが十分であることを示す書面」を添付しなければならないとされているが,砂利採取法には,砂利採取業者からの砂利採取計画の認可申請を審査するに当たり,都道府県知事に私法上の権利関係である申請者の採取権原の有無を審査する義務がある旨を定めた規定がない。また,都道府県知事には申請者の採取権原の有無を最終的に判断する権限がなく,申請に対し認可処分がされたからといって,砂利の採取が禁止されていることに伴う公法上の不作為義務が解除されるにとどまり,私法上の採取権原が新たに設定されるものではないことはもちろん,その存在が公権的に確定されることになるものでもない。これらの点に照らすと,申請者に対して採取権原を有することなどを示す書面の添付を上記規定が要求している趣旨は,採取権原がない者又はこれを取得する見込みのない者を可能な限り排除して,無用な認可処分のされることを防止しようとすることにあるにすぎないものと解するのが相当であり,上記規定が採取権原のない者による違法な採取行為の防止を直接の目的とする趣旨であるとは解することができない。そして,上記の趣旨からすれば,都道府県知事としては,添付された書面が偽造書面であることは極めて稀であって,通常は添付された書面により採取権原又はその取得の見込みを一応認定することが可能である以上は,認可処分当時何らかの事由により申請者に実体上採取権原のないことを知っているなどの特段の事情がない限り,更に進んで実体に立ち入って審査する義務はないと解されるとともに,他面において,上記特段事情がある場合等には,単に書面の記載のみによることなく,当該土地の現実の利用状況や申請者の操業をめぐる紛争の有無等従前の経緯を考慮に入れることも何ら妨げられるものではないものと解される
(採石法に関する東京高裁昭和58年3月28日判決・判例タイムズ506号145頁参照)。
イ 本件においては,被告も本件採石権設定契約書が偽造であるという原告の上記主張には相応の根拠のあることを認めており,青森県知事から権限を委任されている上北地域県民局長においても,現時点においては,Aに実体上採取権原がないことをうかがわせる特段の事情があることを認識しているものと推認されるところ,Aが今後も継続的に本件土地について砂利採取計画の認可申請をしたとしても直ちに認可を得られるということはない旨を被告が明言しているのであるから,上北地域県民局長においても上記認可をするがい然性があるとはいえないものと認めるのが相当である。
ウ そうすると,本件差止めの訴えのうち,Aに対する認可の差止めを求める部分については,処分のがい然性を欠くものとして,不適法である。

(3) 「その他の者」に対する認可の差止めについて
ア 原告は,本件差止めの訴えとして,Aに対する認可の差止めのほか,「その他の者」(すなわち,Aを除く全ての者)に対する認可の差止めも求めているが,A以外の者に対する認可がされるがい然性についてはこれを認めるに足りる証拠がないばかりか,そもそも「その他の者」に対する認可の差止めはAを除く全ての者に対する全ての認可という無限定かつ包括的な処分を前提とするものであり,「一定の処分」の差止めを求める差止めの訴えの請求の特定として,最低限度の特定すらされていない不特定なものであるといわざるをえない。
イ そうすると,本件差止めの訴えのうち,「その他の者」(Aを除く全ての者)に対する認可の差止めを求める部分については,処分のがい然性を欠くものであるほか,そもそも請求の特定を欠くものとして,不適法である。
(4) 以上の検討によれば,本件差止めの訴えは,不適法である。

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