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最高裁判所第一小法廷判決平成19年06月07日

【事案】

上告人が,被上告人に対し,自動継続特約付き定期預金(以下「自動継続定期預金」という。)の元本100万円及びこれに対する10年間の約定利息の合計42万3000円の支払を求める事案。

【判旨】

 自動継続定期預金契約における自動継続特約は,預金者から満期日における払戻請求がされない限り,当事者の何らの行為を要せずに,満期日において払い戻すべき元金又は元利金について,前回と同一の預入期間の定期預金契約として継続させることを内容とするものである(最高裁平成11年(受)第320号同13年3月16日第二小法廷判決・裁判集民事201号441頁参照)。消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が,自動継続定期預金契約は,自動継続特約の効力が維持されている間は,満期日が経過すると新たな満期日が弁済期となるということを繰り返すため,預金者は,満期日から満期日までの間は任意に預金払戻請求権を行使することができない。したがって,初回満期日が到来しても,預金払戻請求権の行使については法律上の障害があるというべきである。
 もっとも,自動継続特約によれば,自動継続定期預金契約を締結した預金者は,満期日(継続をしたときはその満期日)より前に継続停止の申出をすることによって,当該満期日より後の満期日に係る弁済期の定めを一方的に排除し,預金の払戻しを請求することができる。しかし,自動継続定期預金契約は,預金契約の当事者双方が,満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであることは,その内容に照らして明らかであり,預金者が継続停止の申出をするか否かは,預金契約上,預金者の自由にゆだねられた行為というべきである。したがって,預金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求することを前提に,消滅時効に関し,初回満期日から預金払戻請求権を行使することができると解することは,預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上行うよう要求するに等しいものであり,自動継続定期預金契約の趣旨に反するというべきである。そうすると,初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからといって,預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできない。
 以上によれば,自動継続定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行するものと解するのが相当である。

 

最高裁判所第一小法廷判決平成19年06月07日

【事案】

 被上告人が,上告人に対し,本件各取引のそれぞれにつき,被上告人を会員とするローンカード会員契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち利息制限法1条1項所のの制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」とい。)を元本に充当すると,過払金が発生し,かつ,この過払金を同一の基本契約弁済当時存在する債務又はその後に発生する新たな貸付けに係る債務に充してもなお過払金が残存しているとして,不当利得返還請求権に基づき,本件各において発生した過払金の支払等を求める事案。

【判旨】

 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主がそのうちの一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,弁済当時存在する他の借入金債務に充当されると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1032号,第1033号同15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁,最高裁平成12年(受)第1000号同15年9月11日第一小法廷判決・裁判集民事210号617頁参照)。これに対して,弁済によって過払金が発生しても,その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には,上記過払金は,その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるものということはできない。しかし,この場合においても,少なくとも,当事者間に上記過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するときは,その合意に従った充当がされるものというべきである。
 これを本件についてみるに,前記事実関係等によれば,上告人と被上告人との間で締結された本件各基本契約において,被上告人は借入限度額の範囲内において1万円単位で繰り返し上告人から金員を借り入れることができ,借入金の返済の方式は毎月一定の支払日に借主である被上告人の指定口座からの口座振替の方法によることとされ,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算することとされていたというのである。これによれば,本件各基本契約に基づく債務の弁済は,各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく,本件各基本契約に基づく借入金の全体に対して行われるものと解されるのであり,充当の対象となるのはこのような全体としての借入金債務であると解することができる。そうすると,本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には,上記過払金を,弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

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