最新下級審裁判例

福岡高裁判決平成19年06月19日

【事案】

 本件は,Y会社の発行する「Y新聞」の新聞販売店を経営するX1が,Y会社がした新聞販売店契約の更新拒絶には正当な理由がないと主張して,Y会社に対し,新聞販売店契約上の地位を有することの確認を求めるとともに,Y会社が継続的取引関係における供給者側の優越的地位を濫用し,同Xの営業権を違法に侵害したとして,不法行為に基づく損害賠償請求をし,同じく新聞販売店を経営するX2が,Y会社に対し,Y会社が新聞販売店契約を不当に解除しようとしたことによって精神的苦痛を受けたなどとして不法行為に基づく損害賠償請求をしている事案である。
 なお,X2においても,X1と同様に,地位確認の訴えも提起していたが,Y会社は,その確認の利益を争った末,平成17年12月9日に,上記地位確認請求を認諾した。原審は,X1の地位確認請求を認容したが,Xらの損害賠償請求をいずれも棄却した。これに対し,Y会社及びXらがともに控訴した。

【判旨】

 新聞販売店契約は,新聞の宅配という重要な役割を特定の個人に独占的に委託することから,Y会社でもそれなりに信頼できる者を人選して締結しているはずである。そして,X1は,平成2年11月に,約1200万円の代償金を支払って,Y会社と新聞販売店契約を締結し,その後更新を続けて,平成8年8月1日には,本件新聞販売店契約を締結したことから,Y会社は,同Xを新聞販売店を経営する者として適任であるものと判断していたといってよい。
 他方,X1としても,その後も店舗確保のために新たに建物賃貸借契約を締結し,当該建物の増改築に資金を投下したりしていること,また,Yh店の経営のために従業員を雇用し,セールス業者に報酬を支払い,販売拡大のために景品等を提供するなど,相当多額の投資をしてきたことが認められ,もとよりYh店での営業を生活の基盤としていることは明らかである。そうであれば,Y会社が継続的契約であるX1との本件新聞販売店契約の更新をしないというためには,正当な事由,すなわち,X1が本件新聞販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,同契約を継続していくことが困難と認められるような事情が存在することが必要であるものというべきである。

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