受験生の数が足りない
論文試験が終わると、「憲法はAの自信あるよ」とか、「その論点を落としたらG確定」などの話が出る。
しかし、昨年の記事で書いたように、AからGまでの成績の内実は、年度ごとに随分異なる場合がある。
そして、今年(19年度)の旧司法試験論文式試験の成績区分は、ほぼ間違いなく、昨年から変更になる。
なぜか。
昨年の成績区分は、以下のようになっていた(法務省資料)。
区分 人数 全体での割合 累計比率 A 1-1000 1000 26.2% 26.2% B 1001-1500 500 13.1% 39.3% C 1501-2000 500 13.1% 52.4% D 2001-2500 500 13.1% 65.5% E 2501-3000 500 13.1% 78.6% F 3001-3500 500 13.1% 91.7% G 3501-3820 320 8.3% 100% 今年は、受験生が2219人しかいない。
そうすると、最下位でもD評価となる。
E以下の者は、存在しないことになってしまう。
成績区分自体の廃止はなさそう
そうなると、成績区分自体が廃止されることも考えられる。
そもそも、成績区分は得点・順位の表示に代わるものである。
であれば、総合得点、総合順位の表示と同様、科目別についても得点と順位の表示をすればよい。
そうすれば、成績区分は不要だろう。
しかし、司法試験委員会の担当者によると、今年も成績区分の表示をする予定であるという。
ただ、区分の内実は未定であるようだ。
そこで、今年度どのような区分になるかを予想してみたい。
G答案がなくなるかも
近年、合格者数の数に応じてA評価の枠を増減する事で、調整してきた。
そこで、今年は従来1000人だったAの枠を500人まで縮減することが考えられる。
しかし、そうしたとしても、FGの区分はやはり不要となる。
区分 人数 全体での割合 累計比率 A 1-500 500 22.5% 22.5% B 501-1000 500 22.5% 45.0% C 1001-1500 500 22.5% 67.5% D 1501-2000 500 22.5% 90.0% E 2001-2219 219 10.0% 100% F ----------- 0 0% 100% G ----------- 0 0% 100% 受験者数が減っているのだから、区分の数も減らすというのは、それなりに筋が通る。
そうなると、ダメ答案の代名詞となっているG評価が無くなってしまうことになる。
これは、寂しいことである。
B以下300人刻み案を予想
とはいえ、AからGという区分は、これまで長らくずっと続いてきた。
その区分を今年になって変えるのもどうかという感覚は、当局にもあるだろう。
従って、今後もこれを維持すると考える方が穏当である。
そうすると、A評価の枠だけでなく、B以下の枠も縮減するという対応になる。
最もしっくりくるのは、Aを500、B以下を300とする案である。
区分 人数 全体での割合 累計比率 A 1-500 500 22.5% 22.5% B 501-800 300 13.5% 36.0% C 801-1100 300 13.5% 49.5% D 1101-1400 300 13.5% 63.0% E 1401-1700 300 13.5% 76.5% F 1701-2000 300 13.5% 90.0% G 2001-2219 219 10.0% 100% FGをなくしてしまう案よりおさまりがよいだろう。
昨年の区分と比較しても、分布の変動はほとんどない。
当サイトとしては、今年の成績区分は上記のようになると予想する。