平成19年度新司法試験出題趣旨検討
(民事系第2問設問2)

設問2の(1)について

出題趣旨は以下のようになっている。

 設問2は,自白,擬制自白及び自白の撤回についての民事訴訟法の理解を主として試すものである。陳述@については,署名はあるが押印のない私文書を題材に,書証の成立に関する事実についての擬制自白の成否を論じた上で,擬制自白が成立しない場合における書証の成立の真正の証明について,民事訴訟法第228条第4項の規律を踏まえて説明することを求めたものである。

書証成立事実についての擬制自白の成否、書証の成立の真正の証明の2点。
前者は、補助事実の自白の論点ということになる。
後者は、228条4項を摘示して趣旨・効果から一応の結論が出せれば十分ではないか。
なお、押印のない私文書であるから、二段階推定は直接関係ない。
もっとも、署名がFによるものかという点について、類似の議論をすることは可能だろう。
署名はあるが押印のない私文書として出題された意味は、その辺にあるのかもしれない。
ただ、出題趣旨では明示されていない。

設問2(2)について

出題趣旨は以下の通り。

 陳述A及び陳述Bについては,Xの従前の発言が主要事実に該当するのか否か等,その法的位置付けを本件事案に即して具体的に検討した上で,自白ないし擬制自白の成否及び従前の陳述の撤回可能性を,その法的位置付けと論理的に整合するように導くこと,また,併せて,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるものか否かについて,具体的な手続の進行状況に即して,当該攻撃防御方法を許容すると新たにどのような審理が必要となるかを踏まえつつ,論じることを求めたものである。

X発言の主要事実該当性、自白の成否、自白の撤回、時機に後れた攻撃防御方法の却下が論点である。
Xの発言が主要事実に該当するかとういう点は、やや難しい。
当然に自白を検討した人がほとんどだったのではないか。
自白の成否、撤回については論理的整合性が要求されている。
その内実は、主要事実該当性と自白の成立範囲、自白の拘束力の根拠と撤回可能性の関係だろう。
この部分は、予備校の答練でも繰り返し出題されているところである。
また、X発言の法的意味によって、陳述Bの意味合い(制限付自白かどうか)も変わってくる。
時機に後れた攻撃防御方法については、「許容すると新たにどのような審理が必要となるかを踏まえつつ」との注文が付いている。
許容した場合の不都合性に留意せよということだろう。
訴訟完結遅延要件について、具体的にあてはめて欲しかったようだ。

設問3について

出題趣旨は以下のようになっている。

 設問3は,訴訟を終了させる当事者の行為,すなわち,訴えの取下げの合意,請求の放棄及び訴訟上の和解の三つの方法について,紛争の解決を希望する被告の視点から,具体的事案に即して,その長短を比較検討するというものである。具体的には,この三つの方法について,それぞれの法的性質,既判力の有無や範囲等の法的効果の検討を踏まえ,意思表示の瑕疵の主張等による紛争の蒸し返しや再訴による新たな紛争の発生の可能性等を本件具体的事案に即して検討した上で,それを横断的に比較しながら三つの方法の長短を論じることが求められる。

論点的には、既判力の有無とその範囲を書けばよかった。
予備校でも頻出の論点なので、書けた人は多かったのではないか。
後は、紛争解決という視点とうまくリンクさせることができたかという点がポイントか。

民訴は全体的に見て、基本論点組み合わせ+αという感じである。
論点が比較的見えやすい問題なので、露骨な誘導などは逆に少なくなっている。
そのため、典型問題慣れしていないと、論点を落とししがちになる。
わかっているのに、書き落としてしまうとその部分は零点に近くなる。
これは勿体無い。
対策としては、予備校問題を利用して、基本論点を落とさない訓練をする。
+αについては、現場で条文を引いて、趣旨を考えて素直な結論を出す訓練をしておく。
いずれも、事例式の問題集を利用するのが良いと思う。

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