平成19年度旧司法試験出題趣旨検討
(民訴法第1問)

【問題】

 裁判所が争点整理又は事実認定に関して専門家の協力を必要と認めるときに,これを可能にするため民事訴訟法が定める方法について,各方法の目的及び内容の相違を明らかにしながら論ぜよ。

【出題趣旨】

 専門的知見を必要とする事件について民事訴訟法が用意する各種の制度(鑑定,専門委員,調査嘱託,鑑定嘱託,釈明処分としての鑑定,知財関係事件における裁判所調査官等)の理解を問うものであり,鑑定が専門的経験則又はそれを事実に適用した結果についての専門家の意見を証拠資料とするもので,当事者の申出を要すると一般に解されているのに対し,専門委員の説明は証拠資料ではなく,当事者の意見聴取を経れば専門委員を関与させられること等を論ずべきである。

メインは専門委員と鑑定

出題趣旨のかっこ書き部分には6つの制度が挙がっている。
しかし、出題趣旨後段部分では鑑定と専門委員しか挙がっていない。
メインは、鑑定と専門委員の比較にあったといっていいだろう。

弁論主義で繋いでいけたか

比較の中身のポイントは二つあった。
まず、意見・説明が証拠資料か否か。
すなわち、証拠方法であるか、そうでないかということである。
もう一つは、当事者の申出を要するかである。

この二つを論理的に繋ぐ原理が弁論主義ということになる。
証拠資料は当事者の申し出た証拠によらねばならない。
弁論主義の第3原則である。
そうであるなら、証拠資料となる場合は当事者の申し出を要するのが論理的帰結となる。
このあたりが示せていれば、上位になったと思われる。

種明かしをされれば、「なんだ」ということになる。
だが、これを現場で的確に書くのは、非常に難しい。
的外れかもしれないという恐怖と闘いながら、書き切る勇気が必要だった。

別解としてのかっこ書き

本問の本筋は、鑑定と専門委員を原則論から論理的に比較することである。
しかし、それが出来ている人は少ない。
幅広い制度の条文を挙げて、趣旨を書いているだけの答案も多かったようだ。
そして、的確に列挙できていれば、それでも上位になっている印象である。

論理に比重をおいて採点すると、制度列挙型答案に点が付かなくなる。
おそらく、採点する際、このタイプの答案も評価してあげようということになったのではないか。
出題趣旨かっこ書きで示されたその他の制度は、別解としての位置づけだと思う。

その結果、全くスタイルの違う2種類の答案が上位になった。
これは、珍しいケースだと思う。