平成19年度新司法試験短答式公法系
第16〜20問解説

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【第16問】

アについて

「終審として」の文言から、前審として行政が裁判するのは許されるとされる。
また、事実認定も司法の要素と考える見解がある。
この見解からは、行政の事実認定に裁判所が絶対的に拘束されることは許されない。
よって、本肢は明らかに誤っているとはいえない。

イについて

弁護士の資格・職務・身分については、職業選択の自由(22条1項)に関わる。
そのため、規則では定めることは許されないということで定説となっているようである。
よって、本肢は明らかに誤っている。

ウについて

明らかに誤っている(78条1文前段)。
分限裁判の場合である。

エについて

狙い撃ち的な定年引下げは、身分保障の趣旨に反するから許されないとされる。
よって、本肢は明らかに誤っているとはいえない。

以上から、正解は4となる。

【第17問】

Aについて

在宅投票廃止事件判例は、立法の違憲と国家賠償法上の違法とを区別した。
よって、Aには2が入る。

Bについて

3が入る。
上記判例参照。

Cについて

最大判平17・9・14は、在外選挙制度につき、遅くとも、本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点で違憲とした。
よって、Cには6が入る。

Dについて

4が入る(上記判例参照)。
上記判例は、4のように述べて、国家賠償を肯定した。

【第18問】

アについて

いわゆる旭川市国民健康保険条例事件判例である。
本判例は84条の「租税」について本肢のように判示した。
よって、本肢は正しい。

イについて

本判例は、「租税」以外の公課でも84条の趣旨が及ぶ場合につき、本肢と同旨の判示をしている。
よって、本肢は正しい。

ウについて

本判例は、保険料賦課要件をどの程度明確にすべきかにつき、「賦課徴収の強制の度合いのほか、社会保険としての国民健康保険の目的、特質等をも総合考慮して判断」すると判示している。
よって、専ら強制性に着目する本肢は誤りである。

エについて

本判例は、以下のように述べる。

賦課総額の算定基準及び賦課総額に基づく保険料率の算定方法は,本件条例によって賦課期日までに明らかにされているのであって,この算定基準にのっとって収支均衡を図る観点から決定される賦課総額に基づいて算定される保険料率についてはし意的な判断が加わる余地はなく,これが賦課期日後に決定されたとしても法的安定が害されるものではない。したがって,被上告人市長が本件条例12条3項の規定に基づき平成6年度から同8年度までの各年度の保険料率をそれぞれ各年度の賦課期日後に告示したことは,憲法84条の趣旨に反するものとはいえない。

よって、本肢は誤りである。

全体について

本判例は、平成18年の判例であり、しかも知識問題として出題されている。
最新判例もきっちり押さえていく必要がある。

【第19問】

アについて

94条の「条例」には、議会の制定する条例だけでなく、首長の制定する規則も含まれる。
よって、本肢は正しい。

イについて

93条2項の意味は、直接選挙で選出すべき吏員を法律で定めるということである。
法律で規定された吏員を全て直接選挙で選ぶという趣旨ではない。
従って、選挙管理委員会の委員を公選とすべきことは憲法上の要請とはいえない。
よって、本肢は誤りである。

ウについて

前段については、具体例として旧軍港市転換法がある。
横須賀、舞鶴、呉、佐世保の4 市が対象となったが、各市で住民投票に付された。
従って、正しい。
後段については、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律がある。
同法制定の時点において存在していない秋田県大潟村が対象となったため、住民投票が行われなかった。
従って、これも正しい。
よって、本肢は正しい。

エについて

直接請求制度は、住民自治を実現するものである。
団体自治ではない。
よって、本肢は誤りである。

【第20問】

アについて

条約の中でも、行政協定などは批准を要しない。
よって、本肢は誤りである。

イについて

正しい。
本体条約の承認がある以上、執行のための協定について再度の承認は必要がないからである。

ウについて

明らかに誤っている(国会法88条)。
両院協議会の開催は拒めない。

エについて

法律については、公布は効力要件である(最大判昭32・12・28)。
これに対して、条約の発効は調印、批准による。
そして、我が国は、英国などと異なり、いわゆる一般的受容方式を採っている。
従って、必ずしも条約の国内法化のための立法措置は要しない。
そうすると、公布は周知手段以外に何らの法的意味もなさそうに思える。
しかし、条約の国内的効力は天皇の公布によって生じるとされている。
そうである以上、「施行と無関係」とはいえない。
よって、本肢は明らかに誤っている。

(参考)徳島地判平8・3・15

憲法九八条二項は、『日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。』と規定するが、これは、わが国において、条約は批准・公布によりそのまま国法の一形式として受け入れられ、特段の立法措置を待つまでもなく国内法関係に適用され、かつ、条約が一般の法律に優位する効力を有することを定めているものと解される。

オについて

本肢のように解する説が憲法学上は有力である。
よって、本肢は明らかに誤っているとはいえない。
もっとも、98条2項の条約はその規定上、広義に解する余地を含む。
そのため、私法行為的な合意も含むとする説も十分成り立つので注意すべきである。

全体について

本問は、憲法の問題の中では最難問といえる。
知識的に細かく、すべての組み合わせが挙がっており、肢も使えない。
相当出来は悪かったと思われる。

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