平成19年度新司法試験短答式公法系
第26〜30問解説

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【第26問】

アについて

東京都ごみ焼却場事件判例は、「国または公共団体が行う行為」とする。
「公共団体」には、公団・公庫等、地方公共団体以外の団体も含まれる。
また、国又は公共団体から権限を付与された機関も「行政庁」に含まれるとされる(医師会につき、仙台地判昭57・3・30、弁護士会につき、最判平18・9・14)。
よって、本肢は明らかに誤りである。

イについて

上記東京都ごみ焼却場事件判例は、「権利義務を形成」し「範囲を確定」するものとしている。
従って、権利を制限し又は義務を課する行為に限定していない。
東京12チャンネル事件では、免許処分にも取消訴訟を認めている。
よって、本肢は明らかに誤りである。

ウについて

最判平17・10・25は、行政指導たる病床数削減の勧告につき「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとしている。
また、行政手続法の適用除外となる処分(行政手続法3条)も、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に含まれうる。
例えば、条例・規則に基づく地方公共団体の機関の処分(3条3項)などがある。
よって、本肢は明らかに誤りである。

エについて

国や地方公共団体が名宛人となる処分等についても、取消訴訟の対象となりうる。
小田急線訴訟上告審では、地方公共団体たる東京都に対する鉄道事業認可・付属街路事業認可の取消が争われている。
よって、本肢は明らかに誤りである。

以上から、正解は4となる。

【第27問】

アについて

最判昭54・12・25は、観念の通知であるとしつつ、適法に輸入できなくなるという法律上の効果を及ぼすことを理由に、抗告訴訟の対象になるとする。
よって、本肢は明らかに誤っている。

イについて

最判昭59・2・24(石油カルテル事件)は、法律の根拠の無い行政指導を認めている。
よって、本肢は明らかに誤っているとはいえない。

ウについて

最判昭60・7・16は、建築主が任意に応じているときは、合理的期間留保して行政指導の結果に期待することは直ちに違法でないとする。
よって、当然に違法とする本肢は明らかに誤っている。

エについて

最判平5・2・18は、行政指導の限度を超えれば国賠法上違法な公権力の行使となるとする。
よって、本肢は明らかに誤っているとはいえない。

以上から、正解は2となる。

【第28問】

アについて

最大判昭47・11・22(川崎民商事件)は、刑事責任追及を目的とせず、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有しない場合には、憲法35条1項保障は及ばず、裁判官の令状は不要とする。
本問の場合、入浴者衛生及び風紀に必要な措置を講じているか(公衆浴場法3条)の確認のための立入りである。
従って、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する場合とはいえない。
よって、憲法上令状を要しない。
また、公衆浴場法のその他の規定にも令状を要する趣旨の規定はない。
以上から、本肢は誤りとなる。

イについて

行政調査に有形力の行使は認められない。
一般に必要性・緊急性・相当性を認められないからである。
よって、本肢は誤りである。

ウについて

特に禁止規定が無い場合でも、行政調査を犯罪捜査に用いてはならない。
刑訴法の趣旨の潜脱となるからである。
よって、本肢は誤りである。

エについて

上記の川崎民商事件は38条の黙秘権につき、実質的に刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する場合はその趣旨が及ぶとする。
しかし、本問の場合、課税面の不利益を免れようとするにすぎないから、上記の場合にあたらない。
よって、本肢は誤りである。

【第29問】

アについて

誤り(行政個人情報保護法4条柱書)。
利用目的の明示にとどまる。

イについて

行政個人情報保護法にはそのような規定はない。
よって、本肢は誤りである。

ウについて

最判昭63・3・31は、犯則調査で得られた資料を、課税処分に用いてよいとする。
よって、本肢は誤りである。

エについて

正しい(行政個人情報保護法3条2項)。

以上から、正解は4となる。

【第30問】

アについて

行政機関が行政指導指針を定める場合には適用される(行政手続法2条8号ニ、38条1項)。
よって、本肢は明らかな誤りである。

イについて

そのような不服申立ての規定はない。
よって、本肢は明らかに誤りである。

ウについて

行政計画は、「命令等」(38条1項)にあたらない(2条8号参照)。
また、大規模施設設置計画などは、意見公募手続(第6章)の適用除外対象である(3条2項4号)。
さらに、行政計画策定手続は、現在のところ整備されていない。
都市計画法や環境基本法など、個別に規定されているにとどまる。
以上から、本肢は明らかに誤っている。

エについて

意見公募手続の対象となる「命令等」については、行政上の規制に係るものに限定されていない(2条8号参照)。
よって、本肢は明らかに誤っている。

以上から、正解は4となる。

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