平成20年度新司法試験短答式の感想

全体について

5月14日に新司法試験短答式が実施された。
試験問題は、法務省HPで公開されている
全体的に過去2回の傾向とさほど変わっていない。
敢えて言えば、憲法の単純正誤の肢が3つになったこと。
それから、刑法の知識問題が若干増えていることくらいである。
出題の順番が、体系書の順番と対応していることも従来通りである。
従って、正答率から苦手分野が分かることもある。
例えば、民法の31問〜35問を全部落とした人などは、親族相続の学習が足りない。
また、全範囲から満遍なく出題されているので、訴訟法の管轄や上訴再審などもやっておく必要がある。

難易度としては、基本的事項がほとんどであるが、中には細かいものもある。
そして、比較的応用法の方が難しめに出題されている印象だ。
憲民刑の基本三法は比較的勉強がすすんでいる。
従って、難しめに出題するのが普通である。
他方、行商民訴刑訴の応用法は手が回っていないことが多い。
従って、易しめに出題するのが普通だ。
しかし、見る限りこれが逆になっている。
敢えてそうしてきたのは、未修者優遇策という部分があるのかもしれない。
基本三法は比較的誰でも取れるようにし、応用法は誰でも取りにくいようにする。
そうすれば、未修者と既修者との点数差が付きにくくなる。

短答自体の合格点は、今年も全体の6割、210点ということで変更は無いと思われる。
新司法試験の短答は、試験日程を見るとわかる通り、ほぼ全員合格するのが前提である。
最低水準に達していない例外的な者だけを落とすシステムだ。
その最低水準が6割、210点ということは、過去二回の結果で概ね固まっている。
ただ、最終合格を考えると、全体の7割強、250点は取りたい。
ある程度しっかり勉強をしていれば、その程度は無理なく取れる内容だった。
250点を下回った人は、短答対策が不十分だったといえる。

公法系について

穴埋め問題のあった旧司法試験とは異なり、ほとんど全ての問題が知識問題である。
5問、12問、20問、32問あたりは若干論理の要素もあるが、実質は知識問題であろう。
そして、ほとんどが肢の組み合わせの使えない単純正誤問題の形式を採っている。
形式上肢の組み合わせになっているものでも、全ての組み合わせが肢として挙がっている。
従って、肢の組み合わせを利用した比較などのテクニックは使えない。
旧司法試験の感覚で言うと、全て個数問題という感じである。
その意味では、内容が基本的でも、現場の受験生としては精神的に嫌だっただろう。

難易度は、憲法が易しく、行政法はやや難しかった。
憲法の単純正誤は肢の数が3肢であるのに対し、行政法は4肢が多かった。
3肢だと、組み合わせは2*2*2=8通りである。
4肢だと、2*2*2*2=16通りで、形式上の難易度は倍になる。
また、内容的にも、憲法が基本的だったのに対し、行政法はやや細かい部分があった。
そのため、憲法をしっかりと取らなければならない反面、行政法は多少落としてもやむを得ないという感じだ。
憲法を8割、行政法は6割程度取り、公法系全体で7割を確保したい。

民事系について

知識問題がほとんどであることは、公法系と変わらない。
しかし、公法系がほとんど個別正誤だったのに対し、民事系は組み合わせがほとんどだ。
旧司法試験と同じような出題が多い。
そのため、公法系と比較すると、随分と解き易くなっている。
わからない肢があっても、組み合わせを利用した比較などを利用して正解にたどり着くことが出来る。
とはいえ、商法、民事訴訟法は細かい知識を訊いてくるものも多く、落としてもやむを得ないものが多い。
民法を8割取り、商法・民訴法は6割程度を確保したい。
そうすれば、民事系全体としては概ね7割を守ることができる。
なお、第62問の専門委員は昨年度の旧司法試験論文式で出題されている。
当サイトの参考答案では、ほぼ第62問の全肢について触れている。

刑事系について

昨年よりも知識問題が増えた。
そして、その多くは民事系と同じ組み合わせ問題である。
刑法については、論文の勉強を一通りやっておけば、問題なくとれる問題が多い。
中には第8問、第19問など、やや細かい知識を訊くものもあるが、それらを落としても8割は取りたい。
刑訴法は、細かい手続を訊く肢があり、やや難易度が高い。
ただ、それでも7割強は取りたい。
全体で、7割5分から8割程度を確保したいところだ。
刑事系については、近時の改正事項が結構出題されている。
危険運転致死傷や被疑者弁護制度などがそうである。
改正事項の条文は、直前に一読しておくと良さそうだ。

戻る