最新下級審裁判例

奈良地裁判決平成20年03月19日

【事案】

 奈良市(以下「市」という。)の市民である原告らが,市環境清美第一事務所(以下「第一事務所」という。)に勤務する現業職員に対して平成16年11月以降同17年3月までの間に支給された特殊勤務手当の一部(以下「本件特殊勤務手当」という。)について,これが特殊勤務手当の趣旨に反し,あるいは根拠となる規則で定められた額を超過する違法があるとして,奈良市長である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,市長の職にあったd(以下「d元市長」という。),e(以下「e前市長」という。)及び奈良市従業員労働組合(以下「従業員労組」という。)に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求め,同号ただし書に基づき,出納室長であったb(以下「b元出納室長」という。),人事課長であったc(以下「c元人事課長」という。)及び第一事務所の所長であったaに対し(以下「a元所長」という。),賠償命令をすることを求めた事案。

【判旨】

 労働協約は,書面に作成し,両当事者が署名し,又は記名押印することによってその効力を生ずるとされており(労働組合法14条),したがって,書面に作成され,かつ,両当事者がこれに署名し又は記名押印しない限り,仮に,労働組合と使用者との間に労働条件その他に関する合意が成立したとしても,これによって直ちに規則等に抵触する支出を適法化する効力があるものということはできない。しかも,地公労法7条は賃金その他の給与については団体交渉の対象とし,これに関して労働協約を締結することができる旨定めているが,他方で,同法9条は,当該地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関の定める規則その他の規程(以下「規則等」という。)に抵触する内容を有する協定が締結された場合には,地方公共団体の長その他の機関は,速やかに,その協定が規則等に抵触しなくなるために必要な規則等の改正又は廃止のための措置をとらなければならない旨定めている。これは,労働協約が規則等に優先して適用されるべきではあるが,規則等が自治法規としての性質を持つことにかんがみ,労働協約に従った労働条件を有効に機能させるためには,労働協約に合わせた形で規則等を改廃する必要がある旨定めたものであって,そのような改廃がされるまでは労働協約は効力を生じないものとする趣旨と解すべきである。

 地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは,当該訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味すると解すべきである(最高裁判所昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)。また,補助職員に権限を委任した地方公共団体の長についても,当該財務会計行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている以上「当該職員」に該当するものと解すべきである(最高裁判所平成5年2月16日第三小法廷判決・民集47巻3号1687頁参照)。
 本件においては,市長の職にあったd元市長,e前市長,地方自治法170条2項6号により支出負担行為に関する確認を行うこととされる会計管理者にあたる収入役の職務代理者であったb元出納室長及び市事務専決規程により定例の諸給与その他の給付に関する支出負担行為の決定について専決権限を有する人事課長であったc元人事課長は,「当該職員」にあたると解される。
 これに対し,従業員労組は「当該職員」にあたらないというべきである。本件で問題となっている「当該行為」(財務会計上の行為)は,特殊勤務手当の支出であるところ,従業員労組は,当該行為を行う権限を有する者にも,当該行為の相手方にもあたらないことは明らかだからである。当該職員にあたらない者に対する損害賠償請求をするよう求める訴えは,地方自治法に定める訴えの形式に該当しないものであって不適法である(前記最高裁判所昭和62年4月10日第二小法廷判決)。したがって,本件訴えのうち,従業員労組に対する損害賠償請求を求める部分については不適法といわざるを得ない。
 また,a元所長は,本件特殊勤務手当の支出に関する権限を有していたとは認められないから,「当該職員」には該当しない。したがって,本件訴えのうち,同人に対する損害賠償請求を求める部分についても不適法である。

 市長は,権限を委任し又は専決させた職員について,違法な財務会計上の行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務を負っていると解され(前記最高裁判所平成5年2月16日第三小法廷判決,最高裁判所平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照),市長が上記指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときは,自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして,市が被った損害についての賠償責任を負うと解すべきである。
 本件において,d元市長は,遅くとも平成15年3月26日に本件外部監査報告書が提出された時点で,本件特殊勤務手当の適法性について問題があるということを知り得たものと認められる。しかし,同人は,その後本件外部監査報告書において問題点を指摘された手当について,その適正化や廃止に向けた従業員労組との協議を実施し,同年10月28日には監査委員に対して措置状況を通知するなどしていたものであり,また,同人は平成16年9月27日をもって市長の地位から離れているところ,本件特殊勤務手当の支給がされたのは,平成16年11月から同17年3月までの間である。これらのことからすると,d元市長が上記指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失によりb元出納室長及びc元人事課長が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったということはできない。
 また,e前市長は,本件特殊勤務手当の支給停止を指示したことはなかったものの,同人は平成16年9月28日の市長就任当初から本件外部監査報告書の内容につき報告を受けて特殊勤務手当の問題点を認識しており,就任後は特殊勤務手当の廃止に向けて,従業員労組と協議するようc元人事課長等に指示し,また自らも団体交渉に出席するなどしていたのであり,以上の事実に,本件特殊勤務手当が同人の就任の約2ヶ月後ないし5ヶ月後に支給されたものであることもあわせて考慮すれば,同人が権限を委任し又は専決させた職員に対する指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により同職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったとまでいうことはできない。
 したがって,同人らについて,指揮監督上の義務を怠ったことにより市に損害を与えたとは認められないから,同人らに対する損害賠償請求の請求については理由がない。

 

名古屋地裁判決平成20年03月28日

【事案】

 被告の提供するインターネットオークションサイトを利用して,商品を落札し,その代金を支払ったにもかかわらず,商品の提供を受けられないという詐欺被害にあった原告らが,被告の提供するシステムには,契約及び不法行為上の一般的な義務である詐欺被害の生じないシステム構築義務に反する瑕疵があり,それによって原告らは,上記詐欺被害にあったとして,被告に対し,債務不履行並びに不法行為及び使用者責任に基づき,損害賠償金(別紙請求一覧表記載のとおりの各原告の損害額及びそれらの15パーセントに相当する弁護士費用)並びにこれらに対する,いずれも請求及び不法行為の後(訴状送達の日の翌日)である,第1事件原告らの各請求につき平成17年4月21日から,第2事件原告らの各請求につき平成17年8月10日から,第3事件原告らの各請求につき平成19年3月15日から,それぞれ支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案。

【判旨】

 本件ガイドラインは,本件利用契約においていわゆる約款と位置付けられるところ,本件サービスの利用者は,本件サービスの利用につき,約款である本件ガイドラインによることに同意しており,これが利用者と被告の間で本件利用契約の内容として成立しているというべきである。
 原告らは本件ガイドラインが法的拘束力を有しない旨主張するが,本件ガイドラインには本件サービスの概要や利用上の注意点に関する記述がなされていることから,原告らの上記主張が本件ガイドライン全体の契約としての成立を争う趣旨の主張であるとすれば,本件ガイドラインを内容としない本件利用契約は極めて不明確な内容となってしまい,原告らの主張する被告の負担すべき義務すらも不明確なものとなってしまうことになる。
 また,原告らは本件ガイドラインに同意するボタンがないなどと主張するが,本件サービスの利用者は本件ガイドラインに同意するボタンをクリックするなどして同意しない限り,本件サービスを利用しえない仕組みとなっていることや,本件サービスを利用しようとする場合の入口画面は,利用しようとする者の便宜を図る観点から複数用意されていると認められることから,原告らの上記主張は,本件サービス利用開始時の仕組みに関する誤解であり,採用することができない。

 被告は,本件サービスの利用に際して,出品者から本件利用料を徴収している。
 そして,本件利用料のうち,出品システム利用料及び出品取消システム利用料については,出品に伴うデータ領域の確保などが,落札システム利用料については,電子メールによる落札通知自動の送付などが,具体的な対価関係にあるものと捉えることが相当であるから,本件利用料は本件サービスのシステム利用の対価に過ぎないと認められる。
 自動入札機能も,他の利用者による入札に対抗するにはオークションを常時確認する必要があるところ,それは事実上困難なことであるから,確実に落札したい利用者(入札者)のニーズに応えた機能にとどまる。
 そのほか,被告が利用者間の取引に積極的に介入してその取引成立に尽力するとまで認めるに足りる証拠はなく,本件利用契約が仲立ちとしての性質を有するとはいえない。
 また,本件利用契約は,事実行為を委任したり,目的物の完成を請け負わせたりするものとか,あるいはこれに類似するものともいえない。
 他方,本件利用契約の内容となっている本件ガイドラインにおいては,被告は利用者間の取引のきっかけを提供するに過ぎない旨が定められており,被告は,これを指摘して,被告には利用者間の取引について一切責任を負わない旨主張する。
 しかし,本件利用契約は本件サービスのシステム利用を当然の前提としていることから,本件利用契約における信義則上,被告は原告らを含む利用者に対して,欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである。
 本件ガイドラインには被告の免責についても定められているが,同免責条項の適用の有無については,被告の義務違反が認められた後に検討されるべきであり,被告の上記主張が,免責条項以前に被告には全く義務が生じないというものであれば,そのような主張は採用することができない。

 被告が負う欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務の具体的内容は,そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢,関連法規,システムの技術水準,システムの構築及び維持管理に要する費用,システム導入による効果,システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。

●注意喚起について
 被告には,本件サービスを用いた詐欺等犯罪的行為が発生していた状況の下では,利用者が詐欺等の被害に遭わないように,犯罪的行為の内容・手口や件数等を踏まえ,利用者に対して,時宜に即して,相応の注意喚起の措置をとるべき義務があったというべきである。

●信頼性評価システムについて
 現在まで日本にオークション利用者の信頼性を評価する第三者機関は存在していないのであるから,原告らの主張するような第三者機関による信頼性評価システムの導入は被告にとって相当な困難を強いることとなる。

●出品者情報の提供・開示について
 本件サービスを利用して詐欺を行おうとする者は,被告との本件利用契約においても,虚偽の情報を申告したりするなどして,当初から追及されにくいように行動するものと考えられるのであって,出品者情報を開示したからといって,その一般予防的効果を期待することはできない。
 また,被告が詐欺被害にあったと主張する落札者の求めに応じて出品者情報の開示をすることは,関係法令の規定上,被告に相当の困難を強いることになる(個人情報保護法23条等参照)。
 さらに,出品者が出品時に当該商品を所持しているか否かは,本件サービス上においても,落札後入金前に,落札者から出品者に問い合わせることができるのであるし,そもそも,そのような情報を被告が収集して本件サービス上提供していたとしても,本件サービスを利用して詐欺を行おうとする者は,虚偽情報を申告するなどして,そのような被告の情報収集に対抗するものと考えられるから,詐欺被害の事前防止策としてその実効性には疑問があるし,被告が出品しようとする者の商品所持情報の真偽を確認するということまで要求しては,本件サービスが営利事業として成り立たない可能性が高い。

●エスクローサービスについて
 確かに,エスクローサービスを利用すれば,業者が介在することから,本件サービスを利用した詐欺被害に遭うことはない。
 しかし,そもそも本件サービスは,インターネットオークションという仕組み上,一般消費者が買い手売り手になりうるシステムであり,販売店等を介さずに安価で目的商品を取得したいと考えて参加する利用者が大半であることからすると,出品・入札に際して,利用者にはなるべく代金その他手数料を抑えたいという心理が働いている(本件サービスの有料化に際して,利用者に反発が起こったのもその一つの現れ)といえる。
 エスクローサービスを利用すると,利用しない場合に比べて費用がかかるから,利用者には使いづらいサービスであるとの原告A166の供述,エスクローサービスをこれまで利用したこともないとの原告A578の供述によっても,余分に費用がかかるエスクローサービスを利用することは避けたいという利用者心理が容易にうかがわれる。
 原告らは,エスクローサービスを利用しても,利用しない場合と比べて,低額に済むこともあると主張するが,出品者の発送地及び落札者の受領地等の関係で低額となる場合があるに過ぎず,全体の傾向としては,利用した場合のほうが手数料総額としては高くなることが認められる。
 そして,利用者間の取引にエスクローサービスを義務付けるには,被告は,エスクローサービスの利用手数料を本件手数料に上乗せするなどして,その費用を回収する必要があるが,これは,利用者の代金その他手数料に関する心理を無視する結果となりかねない。
 以上のように,利用者の代金その他手数料に関する心理を考慮することなく,エスクローサービスを利用者間の全ての取引に義務付けることは,被告の営利事業としての本件サービスの運営に困難を強いることになるといわざるをえない。

●補償制度について
 補償制度は事後的に被害を補償するものであって,これを充実させることが,詐欺被害の事前防止に結びつくといった関係にあるとは認めがたい。

 上記判断によれば,被告には,時宜に即して,相応の注意喚起措置をとるべき義務があったというべきところ,平成12年から現在まで,被告は,利用者間のトラブル事例等を紹介するページを設けるなど,詐欺被害防止に向けた注意喚起を実施・拡充してきており,時宜に即して,相応の注意喚起措置をとっていたものと認めるのが相当である。
 原告らは,被告の注意喚起がわかりにくいと主張し,原告A166も被告は本件サービス上で強い注意喚起をしなかった,原告A578も本件サービスでは利用者に対してエスクローサービスの利用を十分に告知していなかったなどと,それぞれ上記主張に沿った供述をする。
 しかし,原告A166は,エスクローサービスの名前は知っているが,その内容は詳しく知らないとも供述し,原告A578も,詐欺被害にあったと主張する入札・落札をした当時,エスクローサービスがあること自体知らなかった,詐欺被害に遭うことを防止する機能があるかも探すことはしなかったなどと供述する。
 原告A166及び原告A578は,落札・代金支払後に商品が届かない危険性を十分に認識していたとも供述しており,それにもかかわらず,被告の設けた詐欺被害防止のためのコンテンツや各種機能を確認することもなかったという原告A166及び原告A578の各供述をもって,被告の注意喚起が不十分であったと断ずることはできず,原告らの上記主張を採用することはできない。
 以上によれば,被告に上記義務違反を認めることはできない。

 

広島地裁判決平成20年03月28日

【事案】

 「留学」の在留資格を有する,中華人民共和国国籍の原告が,

●(平成18年(行ウ)第28号事件・以下「第一事件」という。)
 広島入国管理局入国審査官から,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号イに該当するとの認定を受けた上,入管法49条1項の規定による異議申出には理由がないとする広島入国管理局長の裁決を経て,広島入国管理局主任審査官から,退去強制令書の発付を受けたため,これらの認定処分,裁決及び退去強制令書発付処分の各取消しを

●(平成19年(行ウ)第13号事件・以下「第二事件」という。)
 その後,在留期間更新許可申請をしたが,広島入国管理局長から,在留期間の更新を許可しない旨の処分を受けたため,この不許可処分の取消しを

求めている事案である。

【判旨】

 被告は,有効な在留資格を有しない外国人がした在留期間更新の申請は本来不適法なものとして受理されないものであり,誤って受理されたとしても在留期間更新を許可できないことを前提として,原告には,本件退令処分の公定力により,本件不許可処分に係る在留期間更新許可申請をした時点で有効な在留資格がなかった以上,本件不許可処分は,その法律上の地位ないし権利関係に何ら影響を及ぼすものではないという。
 しかし,退去強制令書の発布処分の効力を争っている間に従前の在留資格に係る在留期間が経過する場合でも,在留期間の更新を申請しておかなければ,その許可を受ける可能性がなくなるものである。そうであるのに,退去強制令書の発布処分の効力が争われている間にした在留期間の更新の申請を認めないとする判断を取消訴訟で争う余地がないとすることは,この申請自体がこれを認めない旨の判断がなされることで消滅すると解すべき以上,退去強制令書の発布処分を受けた外国人には在留期間更新許可を受ける余地がないとするに等しく,相当な解釈とはいい難い。
 そもそも在留期間更新許可は,外国人に対してさらに本邦に在留することができる法律上の地位を付与するものであって,当該外国人が有効な在留資格を有することは在留期間更新許可の実体的要件である。そして,原告がした在留期間更新の申請に対しては,本件退令処分を取り消す旨の判決が確定すれば,原告が在留資格を有することを前提として,在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるか否かの判断を経て,許可され得るものであるから,本件不許可処分は,このような判断を受けることができるという,原告の法律上の地位に影響を及ぼすものとして,取消訴訟の対象となる「処分」に当たるものというべきである。

 「留学」の在留資格をもって在留する者は,原則として,就労活動を行ってはならず(入管法19条1項),これに違反して就労活動を行った者は,一定の刑事罰に処せられる(入管法73条1項)。しかし,「留学」の在留資格をもって在留する者であっても,資格外活動許可を受けていれば就労活動を行うことができる(入管法19条2項)上,資格外活動許可を受けないで就労活動を行っていた者でも,就労活動を専ら行っていると明らかに認められる者に該当しない限りは,本邦からの退去を強制することはできない(入管法24条4号イ,なお,同号リ参照)。
 このように,入管法は,在留資格制度の下で外国人の資格外活動としての就労活動を規制した上,我が国の社会秩序維持の見地から,許可を得ないで資格外活動を行った者を罰則の対象としてはいるが,その違法性の程度には幅がある上,外国人の本邦への在留は当該外国人が有する在留資格に基づき正当化されるものであるから,本邦からの退去を強制できるか否かについては,許可を得ないで資格外活動を行ったことだけをとらえて判断することとせず,更に個別の事情を踏まえて判断することを要求していると解される。このことは,「専ら行つていると明らかに認められる」という入管法24条4号イの厳格な文言からも読みとれるところである。
 そうすると,当該外国人が資格外活動である就労活動を専ら行っていると明らかに認められるといえるか否かは,本邦における在留資格に係る活動の状況,当該資格外活動を行うに至った経緯,当該資格外活動の継続性,有償性等の内容,当該資格外活動によって得た収入の使途等を総合考慮し,当該外国人の活動が在留資格に係る活動から実質的に変更されたり,在留資格に係る活動が資格外活動を行う方便となったりしているか否かという観点から判断すべきである。
 なお,被告は,「留学」の在留資格で外国人が就労活動をし,その程度が本邦滞在中の必要経費を賄おうとするまでに至っていれば,その学業の遂行自体が阻害されていないとしても,当該在留資格が実質的に変更されたことになり,資格外活動である就労活動を専ら行っていると明らかに認められることになると主張する。しかし,上述した関係各規定の体裁及び趣旨並びに日本での生活費は本国のそれと比較して一般的に高額であるのが実態であること(顕著な事実)に照らすと,就労活動による収入で必要経費を賄おうとしていたことだけをとらえて,上述のような実質的変更があったと判断することは妥当でない。

 そもそも国家は,国際慣習法上,外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるか否か,これを受け入れる場合にどのような条件を付するかは,専らその国家の立法政策にゆだねられ,当該国家が自由に決定することができるものである。我が国の憲法も,外国人に対し,我が国に入国する自由又は在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障するものではない。(最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁,最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)
 他方,入管法50条1項4号は,同法24条各号に定める退去強制事由のある外国人でも,「特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」は,その者の在留を特別に許可することができる旨を定めているが,この判断に当たっての考慮事項は全く挙げられていない。その法意は,在留特別許可の対象者が本来的に我が国から退去を強制されるべき地位にあることに加え,外国人に対する出入国管理が国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定といった国益の保持を目的としていることから,当該外国人の在留中の一切の行状,特別に在留を求める理由の当否のみならず,政治・経済・社会等の国内事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲等の諸般の事情をしんしゃくし,時宜に応じて的確な判断をしなければならず,高度な政治的判断が必要な場合もあり得るところにある。
 そうすると,在留特別許可を付与するか否かの判断については,法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられているものというべく,在留特別許可を付与するか否かに係る法務大臣等の判断が違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はそれを濫用した場合に限られるものと解すべきである。

 

大阪地裁判決平成20年04月16日

【判旨】

 刑法181条2項所定の傷害については,これを傷害罪の傷害と別異に解釈すべき特段の事由はなく,「他人の生活機能に障害を与えることであって,あまねく健康状態を不良に変更した場合を含むもの」と解すべきである。

 

名古屋高裁判決平成20年04月17日

【事案】

 被控訴人がイラク特措法に基づきイラク及びその周辺地域に自衛隊を派遣したこと(以下「本件派遣」という。また,以下,イラク共和国及びその周辺地域のことを単に「イラク」ということがある。)は違憲であるとする控訴人らが,本件派遣によって平和的生存権ないしその一内容としての「戦争や武力行使をしない日本に生存する権利」等(以下,一括して「平和的生存権等」ということがある。)を侵害されたとして,国家賠償法1条1項に基づき,各自それぞれ1万円の損害賠償を請求するとともに(以下「本件損害賠償請求」という。),控訴人Aらにおいて,本件派遣をしてはならないこと(以下「本件差止請求」という。)及び本件派遣が憲法9条に反し違憲であることの確認(以下「本件違憲確認請求」という。)を求めた事案。

【判旨】

 自衛隊の海外活動に関する憲法9条の政府解釈は,自衛のための必要最小限の武力の行使は許されること(昭和55年12月5日政府答弁書),武力の行使とは,我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうこと(平成3年9月27日衆議院PKO特別理事会提出の政府答弁)を前提とした上で,自衛隊の海外における活動については,

@ 武力行使目的による「海外派兵」は許されないが,武力行使目的でない「海外派遣」は許されること(昭和55年10月28日政府答弁書),
A 他国による武力の行使への参加に至らない協力(輸送,補給,医療等)については,当該他国による武力の行使と一体となるようなものは自らも武力の行使を行ったとの評価を受けるもので憲法上許されないが,一体とならないものは許されること(平成9年2月13日衆議院予算委員会における大森内閣法制局長官の答弁),
B 他国による武力行使との一体化の有無は,<ア>戦闘活動が行われているか又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係,<イ>当該行動の具体的内容,<ウ>他国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性,<エ>協力しようとする相手の活動の現況,等の諸般の事情を総合的に勘案して,個々的に判断されること(上記大森内閣法制局長官の答弁),

を内容とするものである。
 そして,イラク特措法は,このような政府解釈の下,我が国がイラクにおける人道復興支援活動又は安全確保支援活動(以下「対応措置」という。)を行うこと(1条),対応措置の実施は,武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないこと(2条2項),対応措置については,我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)が行われておらず,かつ,そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる一定の地域(非戦闘地域)において実施すること(2条3項)を規定するものと理解される。
 政府においては,ここにいう「国際的な武力紛争」とは,国又は国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題にとどまらない武力を用いた争いをいうものであり(平成15年6月26日衆議院特別委員会における石破防衛庁長官の答弁),戦闘行為の有無は,当該行為の実態に応じ,国際性,計画性,組織性,継続性などの観点から個別具体的に判断すべきものであること(平成15年7月2日衆議院特別委員会における石破防衛庁長官の答弁),全くの犯罪集団に対する米英軍等による実力の行使は国際法的な武力紛争における武力の行使ではないが(平成15年6月13日衆議院外務委員会におけるG内閣法制局第二部長の答弁,同年7月2日衆議院イラク特別委員会,同月10日参議院外交防衛委員会における秋山内閣法制局長官の答弁),個別具体的な事案に即して,当該行為の主体が一定の政治的な主張を有し,国際的な紛争の当事者たり得る実力を有する相応の組織や軍事的実力を有する組織体であって,その主体の意思に基づいて破壊活動が行われていると判断されるような場合には,その行為が国に準ずる組織によるものに当たり得ること(上記秋山内閣法制局長官の答弁),国内治安問題にとどまるテロ行為,散発的な発砲や小規模な襲撃などのような,組織性,計画性,継続性が明らかでない偶発的なものは,全体として国又は国に準ずる組織の意思に基づいて遂行されているとは認められず,戦闘行為には当たらないこと,国又は国に準ずる組織についての具体例として,フセイン政権の再興を目指し米英軍に抵抗活動を続けるフセイン政権の残党というものがあれば,これに該当することがあるが,フセイン政権の残党であったとしても,日々の生活の糧を得るために略奪行為を行っているようなものはこれに該当しないこと(平成15年7月2日衆議院特別委員会における石破防衛庁長官の答弁),非戦闘地域イコール安全な地域を意味するわけではなく,米軍が指定するコンバットゾーンが戦闘地域と同義でもないこと(平成15年6月25日衆議院特別委員会における石破防衛庁長官の答弁,平成18年8月11日衆議院特別委員会における麻生外務大臣の答弁・甲B64の2),等の見解が示されている。
 現在のイラクにおいては,多国籍軍と,その実質に即して国に準ずる組織と認められる武装勢力との間で一国国内の治安問題にとどまらない武力を用いた争いが行われており,国際的な武力紛争が行われているものということができる。とりわけ,首都バグダッドは,平成19年に入ってからも,アメリカ軍がシーア派及びスンニ派の両武装勢力を標的に多数回の掃討作戦を展開し,これに武装勢力が相応の兵力をもって対抗し,双方及び一般市民に多数の犠牲者を続出させている地域であるから,まさに国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている地域というべきであって,イラク特措法にいう「戦闘
地域」に該当するものと認められる。
 なお,現在にまで及ぶ多国籍軍によるイラク駐留及び武装勢力との戦闘は,それがイラク政府の要請に基づくものであり,国連の理解ないし支持を得たものであるとしても(前記安保理決議1483号,1546号等),平成15年3月に開始されたイラク攻撃及びこれによってもたらされた宗派対立による混乱が未だ実質的には収束していないことの表れであるといえることや,現在のイラク政府が単独でこれら武装勢力と対抗することができないため,現在も敢えて外国の兵力である多国籍軍の助力を得ているものと理解できることに鑑みれば,多国籍軍と武装勢力との間のイラク国内における戦闘は,実質的には当初のイラク攻撃の延長であって,外国勢力である多国籍軍対イラク国内の武装勢力の国際的な戦闘であるということができ,この点から見ても,現在の戦闘状況は,国際的な紛争であると認められる。
 しかるところ,その詳細は政府が国会に対しても国民に対しても開示しないので不明であるが,航空自衛隊は,平成18年7月ころ以降バグダッド空港への空輸活動を行い,現在に至るまで,アメリカが空挺隊員輸送用に開発したC−130H輸送機3機により,週4回から5回,定期的にアリ・アルサレム空港からバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送していること,これは陸上自衛隊のサマワ撤退を機にアメリカからの要請でなされているものであり,アメリカ軍はこの輸送時期と重なる平成18年8月ころバグダッドにアメリカ兵を増派し,同年末ころから,バグダッドにおける掃討作戦を一層強化していること,それ以前の空輸活動がカタールのアメリカ中央軍司令部において,アメリカ軍や英国軍と機体のやりくりを調整し飛行計画を立ててなされているものであり,平成18年7月以後も同様にアメリカ軍等との調整の上で空輸活動がなされているものと推認されること,C−130H輸送機には,地対空ミサイルによる攻撃を防ぐためのフレアが装備され,これが事前訓練を経た上で,実際にバグダッド空港での離着陸時に使用されていること,バグダッド空港はアメリカ軍が固く守備をしているとはいえ,その中にあっても,あるいは離着陸時においても,現実的な攻撃の危険性がある旨防衛大臣が答弁していること,航空自衛隊が多国籍軍の武装兵員を輸送するに際し,バグダッドでの掃討作戦等の武力行使に関与しない者に限定して輸送している形跡はないことが認められる。これらを総合すれば,航空自衛隊の空輸活動は,それが主としてイラク特措法上の安全確保支援活動の名目で行われているものであり,それ自体は武力の行使に該当しないものであるとしても,多国籍軍との密接な連携の下で,多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において,対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送しているものであるということができ,現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえることを考慮すれば,多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものということができる。したがって,このような航空自衛隊の空輸活動のうち,少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては,前記平成9年2月13日の大森内閣法制局長官の答弁に照らし,他国による武力行使と一体化した行動であって,自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。
 よって,現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は,政府と同じ憲法解釈に立ち,イラク特措法を合憲とした場合であっても,武力行使を禁止したイラク特措法2条2項,活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し,かつ,憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。

 憲法前文に「平和のうちに生存する権利」と表現される平和的生存権は,例えば,「戦争と軍備及び戦争準備によって破壊されたり侵害ないし抑制されることなく,恐怖と欠乏を免れて平和のうちに生存し,また,そのように平和な国と世界をつくり出していくことのできる核時代の自然権的本質をもつ基本的人権である。」などと定義され,控訴人らも「戦争や武力行使をしない日本に生存する権利」,「戦争や軍隊によって他者の生命を奪うことに加担させられない権利」,「他国の民衆への軍事的手段による加害行為と関わることなく,自らの平和的確信に基づいて平和のうちに生きる権利」,「信仰に基づいて平和を希求し,すべての人の幸福を追求し,そのために非戦・非暴力・平和主義に立って生きる権利」などと表現を異にして主張するように,極めて多様で幅の広い権利であるということができる。
 このような平和的生存権は,現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして,全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であるということができ,単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない。法規範性を有するというべき憲法前文が上記のとおり「平和のうちに生存する権利」を明言している上に,憲法9条が国の行為の側から客観的制度として戦争放棄や戦力不保持を規定し,さらに,人格権を規定する憲法13条をはじめ,憲法第3章が個別的な基本的人権を規定していることからすれば,平和的生存権は,憲法上の法的な権利として認められるべきである。そして,この平和的生存権は,局面に応じて自由権的,社会権的又は参政権的な態様をもって表れる複合的な権利ということができ,裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される場合があるということができる。例えば,憲法9条に違反する国の行為,すなわち戦争の遂行,武力の行使等や,戦争の準備行為等によって,個人の生命,自由が侵害され又は侵害の危機にさらされ,あるいは,現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされるような場合,また,憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には,平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして,裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求等の方法により救済を求めることができる場合があると解することができ,その限りでは平和的生存権に具体的権利性がある。
 なお,「平和」が抽象的概念であることや,平和の到達点及び達成する手段・方法も多岐多様であること等を根拠に,平和的生存権の権利性や,具体的権利性の可能性を否定する見解があるが,憲法上の概念はおよそ抽象的なものであって,解釈によってそれが充填されていくものであること,例えば「自由」や「平等」ですら,その達成手段や方法は多岐多様というべきであることからすれば,ひとり平和的生存権のみ,平和概念の抽象性等のためにその法的権利性や具体的権利性の可能性が否定されなければならない理由はないというべきである。

 民事訴訟制度は,当事者間の現在の権利又は法律関係をめぐる紛争を解決することを目的とするものであるから,確認の対象は,現在の権利又は法律関係でなければならない。しかし,本件違憲確認請求は,ある事実行為が抽象的に違法であることの確認を求めるものであって,およそ現在の権利又は法律関係に関するものということはできないから,同請求は,確認の利益を欠き,いずれも不適法というべきである。

 イラク特措法は,対応措置を実施するための具体的手続として,@内閣総理大臣が対応措置の実施及び基本計画案につき閣議の決定を求めること(4条1項,基本計画の変更の場合も同様。同条3項),A当該対応措置について国会の承認を求めなければならないこと(6条1項),B防衛大臣は対応措置についての実施要項を定め,内閣総理大臣の承認を得た上で,自衛隊の部隊等にその実施を命ずること(8条2項。実施要項の変更の場合も同様。同条9項)を規定しているところ,これら規定からすれば,イラク特措法による自衛隊のイラク派遣は,イラク特措法の規定に基づき防衛大臣に付与された行政上の権限による公権力の行使を本質的内容とするものと解されるから,本件派遣の禁止を求める本件差止請求は,必然的に,防衛大臣の上記行政権の行使の取消変更又はその発動を求める請求を包含するものである。そうすると,このような行政権の行使に対し,私人が民事上の給付請求権を有すると解することはできないことは確立された判例であるから(最高裁昭和56年12月16日大法廷判決・民集35巻10号1369頁等参照),本件差止請求にかかる訴えは不適法である。
 そこで,仮に,本件差止請求にかかる訴えが,行政事件訴訟(抗告訴訟)として提起されたものと理解した場合について検討する。
 本件派遣は,前記のとおり違憲違法な活動を含むものであり,本件派遣が控訴人Aらに大きな衝撃を与えたものであることは認められる。しかしながら,本件派遣は控訴人Aらに対して直接向けられたものではなく,本件派遣によっても,控訴人Aらの生命,自由が侵害され又は侵害の危機にさらされ,あるいは,現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされ,また,憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるまでの事態が生じているとはいえないところであって,現時点において,控訴人Aらの具体的権利としての平和的生存権が侵害されたとまでは認められない。そうすると,控訴人Aらは,本件派遣にかかる防衛大臣の処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとはいえず,行政事件訴訟(抗告訴訟)における原告適格性が認められない。したがって,仮に本件差止請求にかかる訴えが行政事件訴訟(抗告訴訟)であったとしても,不適法であることを免れない。

 控訴人らは,それぞれの重い人生や経験等に裏打ちされた強い平和への信念や信条を有しているものであり,憲法9条違反を含む本件派遣によって強い精神的苦痛を被ったとして,本件損害賠償請求を提起しているものと認められ,そこに込められた切実な思いには,平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれているということができ,決して,間接民主制下における政治的敗者の個人的な憤慨,不快感又は挫折感等にすぎないなどと評価されるべきものではない。
 しかしながら,控訴人Aらの本件差止請求に関して前述したのと同じく,本件派遣によっても,控訴人らの具体的権利としての平和的生存権が侵害されたとまでは認められないところであり,控訴人らには,民事訴訟上の損害賠償請求において認められるに足りる程度の被侵害利益が未だ生じているということはできない。
 よって,控訴人らの本件損害賠償請求は,いずれも認められない。

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