「司法試験平成17年度最新判例肢別問題集」
を出版しました

でじたる書房にて、司法試験平成17年度最新判例肢別問題集を出版しました。
価格は税込315円です。

平成17年度に出された最高裁判例の知識を肢別問題の形式で出題したものです。
問題数は、憲法25、行政法5、民法18、商法2、民訴法9、刑法6、刑訴法11の合計76問です。
最新判例知識の確認のための教材として利用して頂ければと思います。

以下は、憲法の問題の一部です。

【憲法問題】
1:地方公務員法は、一般職の地方公務員(職員)に本邦に在留する外国人(在留外国人)を任命することができるかどうかについて明文の規定を置いていないが、普通地方公共団体が、法による制限の下で、条例、人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない。

2:労働基準法及び地方公務員法上、普通地方公共団体は、職員に採用した在留外国人について、国籍を理由として、給与、勤務時間その他の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないものとされているが、地方公務員法24条6項に基づく給与に関する条例で定められる昇格(給料表の上位の職務の級への変更)等については、上記の勤務条件に含まれないものというべきである。従って、普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人の処遇につき合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではなく、そのような取扱いは、合理的な理由に基づくものである限り、憲法14条1項に違反するものでもない。

(参照条文)
●労働基準法
3条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
112条 この法律及びこの法律に基いて発する命令は、国、都道府県、市町村その他これに準ずべきものについても適用あるものとする。

●地方公務員法
24条6項 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
58条3項 労働基準法第二条 、第十四条第二項及び第三項、第二十四条第一項、第三十二条の三から第三十二条の五まで、第三十八条の二第二項及び第三項、第三十八条の三、第三十八条の四、第三十九条第五項、第七十五条から第九十三条まで並びに第百二条の規定、労働安全衛生法第九十二条 の規定、船員法 (昭和二十二年法律第百号)第六条 中労働基準法第二条 に関する部分、第三十条、第三十七条中勤務条件に関する部分、第五十三条第一項、第八十九条から第百条まで、第百二条及び第百八条中勤務条件に関する部分の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律第六十二条 の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、職員に関して適用しない。ただし書略

3:最高裁は、「日本の国籍を有しない者は、憲法上、国又は地方公共団体の公務員に就任する権利を保障されているということはできない」と判示し、外国人の公務就任権を否定した。

4:憲法前文及び1条は、主権が国民に存することを宣言し、国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使することを明らかにしている。国民は、この国民主権の下で、憲法15条1項により、公務員を選定し、及びこれを罷免することを、国民固有の権利として保障されているのである。そして、国民主権は、国家権力である立法権・行政権・司法権を包含する統治権の行使の主体が国民であること、すなわち、統治権を行使する主体が、統治権の行使の客体である国民と同じ自国民であること(自己統治の原理)を、その内容として含んでいる。地方公共団体における自治事務の処理・執行は、法律の定める範囲内で行われるものであるが、その範囲内において、上記の自己統治の原理が、自治事務の処理・執行についても及ぶ。そして、自己統治の原理は、憲法の定める国民主権から導かれるものであるから、地方公共団体が、自己統治の原理に従い自治事務を処理・執行するという目的のため、特別永住者が一定範囲の地方公務員となることを制限する場合には、正当な目的によるものということができ、その制限が目的達成のため必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、上記制限の合憲性を肯定することができる。

5:最高裁は、「公権力行使等地方公務員」を、「地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの」と定義している。

6:公権力行使等地方公務員のうち、公の意思の形成に参画することによって間接的に国の統治作用に関わる公務員については、国の統治作用に関わる職務に従事するものではあるが、その関わりの程度は、間接的であり、しかも、その職務内容は広範多岐にわたり、関わりの程度も強弱様々であるから、憲法が、そのすべての公務員について、これに就任するには日本国民であることを要求していて、外国人がこれに就任することを一切認めていないと解するのは相当でなく、その職務の内容、権限と統治作用との関わり方及びその程度を個々、具体的に検討することによって、国民主権の原理に照らし、外国人に就任を認めることが許されないものと外国人に就任を認めて差支えないものとを区別する必要がある。

7:憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自冶の重要性にかんがみ、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づいてその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解され、この趣旨にかんがみれば、我が国に在住する外国人であって特別永住者等その居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関係を有するものについては、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させ、また、自らこれに参加していくことが望ましいものというべきである。したがって、我が国に在住する外国人、特に特別永住者等の地方公務員就任については、国の公務員への就任の場合と較べて、おのずからその就任し得る職務の種類は広く、その機会は多くなるものということができる。

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