平成20年度旧司法試験論文民訴法第2問参考答案

第1.設問1
1.Zのした控訴が適法であるためには、控訴期間の遵守が必要である(285条)。
2.この点、Yへの送達時からは既に2週間が経過しているが、Zへの送達時からは未だ2週間は経過していない。そこで、補助参加人独自の控訴期間が認められるかが問題となる。
(1) 一般に、補助参加人は独立して上訴の提起その他一切の訴訟行為をすることができる(45条1項本文)が、その従属性(45条2項)から、被参加人のなし得ない行為はもはやすることができない。
 よって、被参加人について控訴期間が経過し、被参加人が控訴できない以上は、補助参加人も控訴はできない。
(2) 以上から、原則として、補助参加人独自の控訴期間は認められない。
3.もっとも、補助参加人に既判力が及ぶような場合であって、かつ、当該訴訟について当事者適格が認められず、共同訴訟参加(52条)ができないようなときは、既判力による拘束を正当化するだけの手続保障が必要である。かかる観点から、上記場合には45条2項は適用されず、40条2項が準用される(共同訴訟的補助参加)。そうすると、かかる場合は、補助参加人独自の控訴期間を認めることができる。
(1) そこで、本問において、XY間訴訟の既判力がZに及ぶかを検討する。
ア.既判力は、当事者にのみ及ぶのが原則である(115条1項1号)。既判力による拘束を自己責任として正当化するには、手続保障が必要だからである。
 もっとも、同項2号から4号は当事者以外の者への既判力の拡張を認めている。これらは、当事者以外の者であっても、紛争の一回的解決の要請から既判力を及ぼすことが必要であり、かつ、手続保障上も許容できる場合の例示である。
 よって、上記場合には、各号に該当しない場合であっても既判力が拡張される。
イ.本問では、XY間訴訟は債権者と保証人の訴訟であり、訴訟物は保証債務の給付請求権であるから、紛争の一回的解決の観点から必ずしも主債務者たるZに対して既判力を及ぼす必要がない。また、主債務についてX及びZに争う機会を与えるべきであるから、手続保障上の許容性も認められない。
 よって、XY間訴訟の既判力はZに拡張されない。
(2) 以上から、Z独自の控訴期間は認められない。
4.よって、Zの控訴は不適法である。
第2.設問2
1.ZがYZ間訴訟(以下、「後訴」という)において、主債務の存在を争えるか否かは、XY間訴訟(以下、「前訴」という)の判決がZにいかなる効力を有するかによるから、この点を検討する。
(1) まず、前述のように、前訴の既判力は、Zに及ばない。
(2) 次に、46条は、補助参加人に対して判決効が及ぶことを認めているから、その内容について検討する。
ア.同条各号は当該効力の生じない場合を個々的に規定していることから、画一的に効力の生じる既判力(114条1項)とは異なる効力であり、信義則上参加人と被参加人の敗訴者責任を分担させる趣旨の特殊な参加的効力である。
イ.従って、その効力は、被参加人敗訴の場合にのみ生じ、判決主文のみならず、主文を導き出すに必要な判決理由中の判断についても及ぶ。
ウ.本問では、被参加人Yが敗訴した場合であり、保証債務履行請求を認容するには主債務の存在の認定が必要である(附従性)から、46条各号に該当しない限り、前訴における主債務が存在するという判断は、後訴においてZを拘束する。
2.そこで、前訴においてYが主債務の存在を疑わしめる重要な証拠(以下、「本問証拠」という)の提出を怠っていたことが、46条4号に該当するかを検討する。
(1) まず、同号の「することができない訴訟行為」とは、1号及び2号との均衡から、補助参加人たる性質上なし得ない訴訟行為をいう。
 本問証拠はZが知らなかったに過ぎず、その提出は補助参加人たる性質上することができない訴訟行為ではないから、同号を直接適用することはできない。
(2) もっとも、同号の趣旨は、信義則上敗訴者責任を分担させるべきでないとする点にあるから、信義則上敗訴者責任を分担させるべきでないと認められる訴訟行為の懈怠については、同号を類推適用できる。
(3) 本問証拠は、前訴の勝敗に直結する証拠であり、かつ、Zはこれを知らず、提出の機会がなかったのであるから、Yが本問証拠の提出を怠っておきながら、後訴においてZに求償を迫ることは、信義則に反する。
 従って、Yが本問証拠の提出を怠ったことは、信義則上敗訴者責任を分担させるべきでないと認められる訴訟行為の懈怠である。
(4) よって、同号が類推適用され、Zには参加的効力は及ばない。
3.以上から、Zは後訴において主債務の存在を争うことができる。

以上

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