「司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)」を発売しました

1.Amazonより、「司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)」を発売しました。
本書は、Amazonのみの取扱いとなります。
Kindle以外の端末からも、下記の無料アプリを使って利用できます。

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本書は、司法試験に出題可能性のある刑法総論の定義(意義)、趣旨、論証をまとめたものです。
重要度に応じて、項目ごとにAAからCまでのランク付けを付しました。

現在の司法試験では、理由付けよりも、端的に規範を示し、当てはめることが重視されています。
また、学説よりも、判例重視。
判例を引用してその規範を示すことが、評価において大きな比重を占めています。
この傾向は、刑法において特に強く、しかも、年を追うごとに強まってきています。
かつては、一応理由付けも書いておいた方が無難、という感覚は、まだ残っていました。
しかし、ここ数年の再現答案等の状況を見る限り、もはや規範定立、当てはめに徹した方が得点効率がよい。
理由付けにかける文字数を、当てはめの評価に回した方が、得点が取れるというようになってきています。
そういった司法試験、とりわけ刑法における顕著な傾向に合わせて、従来にない論証集を作成しました。
判例法理から導かれる規範を端的に示し、すぐ当てはめられる論証。
覚えてすぐ使える論証。
従来の予備校論証とは全く違った論証を目指して、作成しました。

多くの受験生が気になっている因果関係。
いわゆる「危険の現実化説」を採る人が増えています。
しかし、危険の現実化といっても、具体的にはいかなる規範なのか。
その辺りが、よくわからないという人が多いのではないでしょうか。
本書では、危険の現実化を規範としつつ、各ケースにおいて判例法理から読み取れる具体的な下位規範を提示し、的確な当てはめが可能となるようにしました。
この点も、従来の論証集にはなかった特徴だろうと思います。
その他の論点についても、判例法理を素直に論証化しているので、従来の論証と同様の感覚で、自然な形で判例を引用しつつ、答案化することが可能です。
「価値中立的な道具等の提供と幇助の故意」など、最新の論点も収録しました。

本書が、受験生の方々の学習に少しでも役に立てば幸いです。



2.同時に、司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(刑法総論)も発売しました。
こちらも、Amazonのみの取扱いです。

本書は、「司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)」を穴埋問題集にしたものです。
穴埋問題の次のページに解答を収録し、スムーズに解答が確認できるようにしました。
ですので、「司法試験定義趣旨論証集(刑法総論)」本体で確認する必要はありません。
ゲーム感覚で、楽しく定義、趣旨、論証を覚えることができるのではないかと思います。

現在の司法試験は、判例の規範を覚えたかどうかが、合否に直結します。
刑法総論の本質的な理解というよりも、限られた時間で次々と規範-当てはめをこなす事務処理能力が問われているといってもよいでしょう。
規範の記憶は、その前提となるものです。
本書が、規範習得の助けとなれば幸いです。

 

3.以下は、収録論点の一覧です。

【実行行為】
 
行為の意義
間接正犯の意義
道具性の要件
被利用者の意思抑圧の判断要素
他人の正当行為を利用する間接正犯の成否
軽い罪と誤信させて重い罪を実行させる行為の間接正犯の成否
身分なき故意ある道具
故意ある幇助的道具
途中知情と道具性
作為と不作為の区別
不真正不作為犯の成立要件
不作為犯における条件関係
作為義務の錯誤
作為義務の衝突
実行の着手の意義
構成要件該当行為と密接な行為の判断基準
間接正犯における実行の着手時期
原因において自由な行為における実行の着手時期
早すぎた構成要件の実現における実行の着手時期
不能犯の意義
不能犯の判断基準
中止犯(43条ただし書)の必要的減免の根拠
中止行為の意義
着手未遂と実行未遂の意義
中止行為と結果不発生との因果関係
中止行為にかかわらず結果が発生した場合
任意性(「自己の意思により」)の判断基準
外部事情により犯行意欲が減退した場合の任意性
中止行為の真摯性の要否
第三者に依頼する場合の中止行為の真摯性
予備の中止
 
【因果関係】
 
因果関係の判断基準
条件関係の意義
択一的競合と条件関係
仮定的因果経過と条件関係
被害者の特殊事情と危険の現実化
行為後の被害者の不適切な行動と危険の現実化
行為後の行為者自身の行為と危険の現実化
行為後の第三者の行為と危険の現実化
複数人の過失の競合と危険の現実化
行為後の第三者の行為により死期が早まった場合
監禁後の介在事情と危険の現実化
 
【違法性】
 
可罰的違法性の理論
医療行為の違法性阻却要件
間接的安楽死における違法性阻却の肯否
直接的安楽死における違法性阻却の肯否
家族の要請による患者の意思の推定
尊厳死における違法性阻却の肯否
対物防衛
防衛行為により侵害と無関係の第三者の法益を侵害した場合
急迫性の意義
法益侵害状態が継続している場合の急迫性
積極的加害意思による正当防衛の成否
公共のための正当防衛の成否
防衛の意思の要否
偶然防衛
積極的加害行為と正当防衛の成否
「やむを得ずにした行為」(36条1項)の意義
「防衛の程度を超えた」(36条2項)の意義
自招防衛
防衛行為の1個性
同一の防衛の意思に基づくものといえない場合
過剰防衛の任意的減免根拠
緊急避難の法的性質
「現在の危難」(37条1項本文)の意義
強要による緊急避難の成否
監禁され殺害をほのめかされて他人の殺害を強要された場合
作為義務と不作為義務の衝突
避難の意思の要否
補充性の意義
自招危難
過剰避難の任意的減免根拠
補充性を欠く場合の過剰避難の成否
自由に対する罪における被害者の同意の法的性質
財産罪における被害者の同意の法的性質
国家的法益、社会的法益に対する罪における被害者の同意の法的性質
傷害罪における被害者の同意の法的性質
同意能力の意義
同意の代行
同意の対象
錯誤による同意
同意傷害の違法性阻却要件
保険金詐取目的の同意傷害
同意が存在すべき時点
自救行為
 
【故意】
 
結果的加重犯における加重結果についての過失の要否
規範的構成要件要素の認識の程度
未必の故意と認識ある過失の区別
覚醒剤であることの認識の程度
わいせつ物であることの認識の程度
具体的事実の錯誤
因果関係の錯誤
ウェーバーの概括的故意の事例の処理
早すぎた構成要件の実現の事例の処理
抽象的事実の錯誤
違法性阻却事由の錯誤
誤想防衛
防衛行為の効果が第三者に及んだ場合の故意の肯否
誤想過剰防衛
誤想避難
誤想過剰避難
違法性の意識を欠く場合(法律の錯誤)
事実の錯誤と法律の錯誤の区別
 
【過失】
 
過失の要件
過失の注意義務の程度
予見可能性の内容
過失致死傷における個別客体の予見可能性の要否
信頼の原則
法規違反者に信頼の原則の適用があるか
過失の競合(単独行為者による場合)
過失の競合(複数行為者による場合)
 
【責任】
 
心神喪失・心神耗弱の意義
原因において自由な行為の理論
二重の故意の要否
心神耗弱の場合における原自行為の理論の適用の可否
実行途中の責任能力の喪失・減弱(実行時に故意ある場合)
暴行中に心神喪失となり、その後に殺意を生じた場合
暴行中に心神耗弱となり、その後に殺意を生じた場合
期待可能性の判断基準
期待可能性の錯誤
 
【共犯一般】
 
処罰規定を欠く必要的共犯
共犯の処罰根拠
正犯なき共犯の肯否
共犯なき正犯の肯否
結果的加重犯の共犯
予備の共犯
要素従属性
「身分」(65条)の意義
目的犯の目的は「身分」(65条)に当たるか
65条1項2項の関係(共犯と身分)
共同正犯に65条の適用があるか
業務上横領に非占有者が加功した場合
不真正不作為犯の作為義務者に非作為義務者が加功した場合
身分者による非身分者への教唆・幇助(真正身分犯の場合)
身分者による非身分者への教唆・幇助(不真正身分犯の場合)
共犯の錯誤
 
【共同正犯】
 
共同正犯の本質
共同教唆、共同幇助の成否
片面的共同正犯の成否
過失犯の共同正犯の成否
不真正不作為犯の共同正犯の成否
承継的共同正犯の成否
強盗罪における承継的共同正犯の成否
詐欺罪における承継的共同正犯の成否
恐喝罪における承継的共同正犯の成否
共謀共同正犯の成立要件
共謀は暗黙の意思連絡で足りるか
共同正犯と幇助の区別
共謀内容と異なる犯罪が行われた場合における共謀共同正犯の成否
着手前の共犯関係の解消
着手後の共犯関係の解消
共同正犯と正当防衛・緊急避難
共同正犯と過剰防衛・過剰避難
共同正犯と防衛行為の量的過剰
 
【狭義の共犯】
 
過失犯に対する教唆
過失による教唆
教唆の未遂
未遂の教唆
再間接教唆の可罰性
被教唆者が教唆内容とは異なる犯罪を実行した場合の教唆犯の成否
過失による幇助
幇助の未遂
不作為による幇助の成否
幇助の因果性
不作為による幇助の因果性
片面的幇助の成否
間接幇助の成否
教唆者に対する幇助の成否
幇助者の故意に必要な正犯行為の認識の程度
価値中立的な道具等の提供と幇助の故意
 
【罪数】
 
個人的法益の罪数
窃取(詐取)した通帳等を用いてATMから現金を引き出した場合の罪数
生命・身体に対する罪と器物損壊の罪数
同一法益に対する包括一罪となる場合
同一法益に対する複数の行為が包括一罪とならない場合
街頭募金詐欺の罪数
「一個の行為」(54条1項)の意義
幇助における「一個の行為」(54条1項)
牽連犯となる場合
傷害目的で監禁した場合の牽連犯の成否
恐喝の手段として監禁した場合の牽連犯の成否
かすがい現象

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