1.平成26年司法試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は210点。合格者数は、5080人でした。受験者合格率は、63.3%ということになります。概ね、予想どおりの数字といってよいでしょう。
2.下記は、短答式試験の合格点、合格者数等の推移です。
年 | 合格点 | 平均点 |
合格点と 平均点の差 |
受験者数 | 合格者数 |
受験者 合格率 |
18 | 210 | 232.9 | 22.9 | 2091 | 1684 | 80.5% |
19 | 210 | 231.7 | 21.7 | 4607 | 3479 | 75.5% |
20 | 230 | 250.7 | 20.7 | 6261 | 4654 | 74.3% |
21 | 215 | 228.1 | 13.1 | 7392 | 5055 | 68.3% |
22 | 215 | 230.8 | 15.8 | 8163 | 5773 | 70.7% |
23 | 210 | 219.2 | 9.2 | 8765 | 5654 | 64.5% |
24 | 215 | 224.5 | 9.5 | 8387 | 5339 | 63.6% |
25 | 220 | 233.0 | 13.0 | 7653 | 5259 | 68.7% |
26 | 210 | 218.7 | 8.7 | 8015 | 5080 | 63.3% |
3.しかし、上記はみかけの数字に過ぎません。今年は、受験回数制限が5年5回に緩和されることがほぼ確実、と認識された最初の年でした。そのために、昨年まで受験しなかった受控え層が受験した。受控え層の多くは、短答模試などの結果から、短答合格ができないと思われる人達です。この受控え層の受験が、全体のレベルを低下させ、表向きの数字を悪化させているのです。
では、実際の難易度はどの程度だったのか。下記は、受験予定者ベースの受験率の推移です。
年 | 受験率 |
18 | 98.4% |
19 | 87.3% |
20 | 81.2% |
21 | 77.3% |
22 | 74.8% |
23 | 75.0% |
24 | 75.6% |
25 | 75.2% |
26 | 87.5% |
近時75%程度で推移していた受験率が、今年は87.5%に上昇しています。この約12%の増加分が、受控え層の受験と考えることができます。そこで、この増加分を除くため、受験率を75%と仮定して受験者数を試算すると、平成26年の受験予定者は9159人ですから、
9159×0.75≒6869人
ということになります。
この数字をベースにして、受験者合格率を計算すると、
5080人÷6869≒73.9%
となり、これは平成20年並み。平成21年以降では最大の受験者合格率です。
ですから、今年はみかけの難易度とは逆に、ここ数年で最も短答が甘かった年、ということができるわけです。
同様に、今年は受験者数が増加していますが、受験回数制限緩和の影響がなければ、大幅な減少傾向が続いていた、と考えることができます。