平成26年司法試験短答式試験の結果について(3)

1.以下は、短答合格者の平均年齢の推移です。

年度

短答合格者
平均年齢

18 29.92
19 30.16
20 30.36
21 30.4
22 30.8
23 30.7
24 30.9
25 31.0
26 31.3

 一見すると、30歳前後で安定しているようにもみえます。しかし、よく見てみると、ジワジワと上昇している。これは、背後で様々な要因が綱引きをした結果の数字です。年齢を上下させる要因としては、以下のようなものがあります。

(1) 受験生の累積
 上昇要因です。昨年の受験生は、今年は一つ歳を取るからです。

(2) 受験回数制限等による退出者の増加
 下落要因です。歳を取った受験生が退出するからです。

 (3) 新規修了生の増加
 下落要因です。通常、新規の修了生は、滞留者より若いからです。
 逆に、新規修了生の減少は、平均年齢の上昇要因となります。

(4) 予備合格者の増加
 下落要因です。当初の予備試験合格者の平均年齢は30代前半でしたが、急激に若年化が進み、平成25年は27.66歳です。これは、大学生、ロー生の受験が増えたことによります。この傾向は今後も続くでしょうから、予備合格者の増加は、現在では下落要因として作用します。ただし、今後、大学生やロー生の受験が制限されるようなことになれば、事情が変わるでしょう。

2.司法試験開始直後の3年間は、(2)の退出者が生じませんから、(1)の累積の影響を受けて、平均年齢が上がったと考えられます。ただ、上昇が緩やかだったのは、(3)の新規受験生の参入が多かった、ということも影響しています。
 平成23年の段階で、わずかにマイナスになったのは、5年が経過したことによる(2)の影響が大きいと思います。ただ、この年は、同時に受験者数のピークだった年でもあります。この後は、受験者数は減少傾向となる。それは、(3)の新規受験者の急減を意味します。これが、現在の平均年齢上昇傾向の主要な要因でしょう。簡単に言えば、若い志願者が急減しているために、滞留者の割合が高まり、受験者層が次第に高齢化してきているのです。今後、受験回数制限が5年5回に緩和されると、(2)の退出が抑制され、(1)の滞留者が増えますから、これまでよりも平均年齢の上昇傾向が強まると予想できます。
 これに対し、(4)は、現在残された唯一の下落要因です。今のところ予備合格者は絶対数こそ少ないですが、短答合格率が圧倒的に高いことから、短答合格者の平均年齢にはそれなりの影響力がある。しかも、予備組は最終合格率も高いですから、(1)の累積層にもなりにくい。その意味で、強力な若年化要因ともいえます。平均年齢の上昇を抑制するという意味でも、法務省は予備合格者の増加を望むのではないかと思います(制限したがっているのは、文科省とロー関係者です)。ただ、そうなると、若い予備組と滞留し高齢化するロー修了生とで、年齢構成にも二極化が生じることになりそうです。

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