第1.設問1
学歴主義は、貴族、王族のような家柄、血筋などに基礎を置く旧エリートを淘汰する役割を果たした。すなわち、特定の家柄、血筋に基づく少数者(特定の階級)の利益を代表する旧エリートの不合理な階級性を批判し、能力さえあれば誰にでもチャンスのある開かれた学歴主義は、多数者の利益を代表するものとして、広く受け入れられた。
しかし、学歴主義が新エリートとしての地位を確立すると、今度は、一部の高学歴者が政府や大企業などの重要な地位を独占する現象に対する批判が生じ、少数者(特定の階級)の利益を代表する旧エリートとして位置付けられるようになってきた。現在では、学歴よりもコミュニケーション能力や創造力といった、学歴にとらわれない能力に基礎を置くエリート像が模索されつつある。その意味で、学歴主義は、エリートとしての役割を終えようとしているといえる。
第2.設問2
従来の資本主義では、土地、労働、資本が生産の資源であったから、それらを持つ者としての資本家がエリートであり、持たざる者である労働者が、これに従属する地位を強いられることになった。
これに対し、現代日本社会はポスト資本主義社会であり、知識が生産の資源となるから、知識を持つ者としての知識労働者がエリートであり、知識を持たないサービス労働者が、知識労働者の指示に従って機械的労務に従事するという形で、従属する地位を強いられるという構造が生じている。このように、現代日本社会におけるエリートとは、サービス労働者を従属させる知識を有する者であるということができる。
以上