法務省の指摘を受けて修正された予備試験に関する法科大学院特別委員会の提言部分

(「法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策について(提言案」より引用、太字強調は当サイトによる)

2.法科大学院教育と予備試験の内容等について

・法科大学院における教育は、高度の専門的な法的知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理等を備えた法曹を養成するため、そもそも司法試験で課されている科目以外に、模擬裁判、リーガルクリニックなどの法律実務基礎科目や、政治や経済といった隣接科目、外国法、先端的な法律科目まで含めた幅広い学修を求めている。また、法科大学院では、学部教育を前提に、適性試験を受けて入学した法曹を目指す者に対し、原則3年間の教育課程の中でGPA等に基づく厳格な進級判定や修了認定が行われている。一方、予備試験では、基本的な法律科目を中心とした科目に関する1回だけの試験によって判定が行われており、両者が「同等」とされていることについて速やかに検討していくことが望ましいと考えられる。

 ・具体的には、予備試験の試験科目については法科大学院教育と密接に関連付けるとともに、試験になじまない科目は別途法科大学院等で学修させる仕組みの可能性も含めて検討していくことが望ましいと考えられる。

・また、制度的な対応に関する検討とともに、法科大学院教育との同等性を確保する観点から、予備試験の出題内容を工夫したり、時間をかけて試験を実施したりするなどの運用上の改善策も検討していくことが望ましいと考えられる。

(引用終わり)

 

法科大学院特別委員会(第65回)議事録より引用、太字強調は当サイトによる)

西山卓爾(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長・内閣官房法曹養成制度改革推進室副室長)委員

司法試験法を所管しております関係で、少し御指摘といいますか問題提起をさせていただきたいと存じます。10ページから11ページにかけてございます予備試験の問題意識について、丸1から丸3まで、「検討していくことが望ましいと考えられる。」という語尾でございますけれども、御提言案ということで頂いていますが、丸1と丸3の問題意識は我々としても十分承知しているところなのですが、丸2について若干違和感がございまして、少しその点について御指摘をさせていただきたいと思っています。 この丸2の部分を読みますと、現行の予備試験制度というのが、ここで言う能力の同等性を確保し得ていないというような認識が前提であるように読めるのですけれども、私どもとしてはそのような実証があるのかという点について非常に疑問に思っておりまして、そもそも御承知のとおり、予備試験を合格した資格を持って司法試験に合格したというのが出だしてまだ3年でございます。その予備試験を合格して司法試験に合格した方が、その後、ロースクールの修了生に比べて能力が劣っているとか、そういったような現象が起きているのかという点については、私どもでも把握しておりませんし、年数を考えてもそのような状況を検証するようなまだ期間ではないのではないかと思っておりまして、そのような点を踏まえますと、ここの同等性について疑問を呈するということを前提としたような提言について、そこの点を少し表現ぶりも含めて再検討いただければと思っている次第でございます。」

(引用終わり)

 

(「法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策について(提言」(平成26年10月9日中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会)より引用、太字強調は当サイトによる)

② 法科大学院教育と予備試験の内容等について

・ 法科大学院における教育は、高度の専門的な法的知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理等を備えた法曹を養成するため、そもそも司法試験で課されている科目以外に、模擬裁判、リーガルクリニックなどの法律実務基礎科目や、政治や経済といった隣接科目、外国法、先端的な法律科目まで含めた幅広い学修を求めている。また、正規の教育課程外でも、学生間の自主的な勉強会が開催されるなど、法的問題についての多岐にわたる議論が日常的に行われている。さらに、法科大学院では、学部教育を前提に、適性試験を受けて入学した法曹を目指す者に対し、原則3年間の教育課程の中でGPA等に基づく厳格な進級判定や修了認定が行われている。一方、予備試験では、基本的な法律科目を中心とした科目に関する1回だけの試験によって判定が行われており、必ずしも十分な社会経験を有しておらず、かつ法科大学院における幅広い学修経験も有しないまま予備試験に合格する者が生じうる制度となっていることから、予備試験についても、「プロセス」としての法曹養成の理念を可能な限り踏まえたものとするため、予備試験の受験者が法科大学院教育を通じて身に付けるべき学識・能力を有しているかを十分に検証できるよう、試験科目や実施方法等について速やかに検討していくことが望ましいと考えられる。

・ 具体的には、予備試験の試験科目については法科大学院教育と密接に関連付けるとともに、試験になじまない科目は別途法科大学院等で学修させる仕組みの可能性も含めて検討していくことが望ましいと考えられる。

・ また、制度的な対応に関する検討とともに、予備試験の出題内容を工夫したり、受験者の学識及びその応用能力等を丁寧に判定できるように実施方法を工夫したりするなどの運用上の改善策も検討していくことが望ましいと考えられる。

(引用終わり)

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