「司法試験定義趣旨論証集(民法総則)」を発売しました

1.Amazonより、「司法試験定義趣旨論証集(民法総則)」を発売しました。
 本書は、Amazonのみの取扱いとなります。 Kindle以外の端末からも、下記の無料アプリを使って利用できます。

Kindle for iPhone,iPod touch
Kindle for iPad
Kindle for Android

【内容紹介】

 本書は、司法試験の論文式試験対策として、覚えておくと役に立つ民法総則の定義(意義)、趣旨、論証をまとめたものです。
 重要度に応じて、項目ごとにAAからCまでのランク付けを付しました。

 現在の司法試験の論文式試験は、全体的にみると、個々の論点の理由付けよりも、事例処理が重視される傾向となっています。
 ですので、基本的には、理由付けよりも規範を重視して理解、記憶し、答案では、端的に規範を示して当てはめる、という流れで書いていくというのが基本です。
 本書も、基本的なスタンスとしては、上記の考え方を基礎にしています。

 もっとも、民法の最近の傾向をみると、多数の論点をコンパクトに処理する事例処理というよりは、個別の論点を制度趣旨や既存の判例法理からじっくり説明させようという出題が増えているように感じます。この傾向は、民訴法でもみられる傾向です。
 本書では、そういった傾向を踏まえ、制度趣旨や理由付けをやや重視した内容としています。

 学説よりも判例重視という点は、他の科目と同様です。
 従来のいわゆる予備校論証では粗くなりがちな判例法理を、より正確な形で論証化しました。

 例えば、多くの人が知っている94条2項類推適用。
 従来の論証では、外観の存在、外観作出の帰責性、相手方の善意が規範とされ、「意思外形非対応型」なら110条も併せて類推するとされていると思います。
 しかし、これは粗すぎます。上記のように漠然と「外観作出の帰責性」と覚えていると、意思的関与に乏しい軽過失的場合にまで簡単に帰責性を肯定する当てはめをしてしまいかねません。
 判例は、94条2項を類推適用するためには、「虚偽の外観作出に積極的に関与した場合」と「虚偽の外観を知りながらあえて放置した場合」という規範を比較的明確に示しています(相手方の善意は94条2項自体の要件ですから、厳密には類推適用するための要件ではありません。)。
 そして、上記場合でなくても「同視し得るほど重い帰責性」がある場合には、110条も類推して善意無過失を要求しているのです(最判平18・2・23等参照)。単なる帰責性ではなく、「積極的に関与」や「知りながらあえて放置」と同視し得る程度でなければならないのです。上記平成18年最判では「余りにも不注意な行為」という言い回しで上記帰責性を肯定していますが、これは「重過失は悪意と同視できる」という考え方を想起すると理解しやすいでしょう。上記判例は、外観の認識がない場合には重過失レベルの帰責性を要求していると理解することが可能なのです。
 このように、判例の規範を正確にみると、「帰責性」の範囲はそれなりに限定されていることがわかるのです。 規範を明確にした上で当てはめると、当てはめも的確になります。近時の司法試験では規範の正確性に対する比重が高まっています。本書は、この点が、特に従来の論証集と異なるところです。

 なお、AAからCまでのランクは、あくまで「答案に書くために覚える必要があるか」という観点で付されています。そのため、重要な基本概念であっても、通常答案に書く機会はないと判断されるものについては、低めのランクとなっています。また、「書く機会はそれなりにあるけれども、知らなくても書けるだろう」というようなものも、低めのランクとしています。

 本書が、受験生の方々の学習に少しでも役に立てば幸いです。

2.同時に、「司法試験定義趣旨論証穴埋問題集(民法総則)」も発売しました。こちらも、Amazonのみの取扱いです。

【内容紹介】

 本書は、「司法試験定義趣旨論証集(民法総則)」を穴埋問題集にしたものです。
 穴埋問題の次のページに解答を収録し、スムーズに解答が確認できるようにしました。
 ですので、「司法試験定義趣旨論証集(民法総則)」本体で確認する必要はありません。

 司法試験は暗記の試験ではない、などと言われることがありますが、実際には覚えないとどうしようもない部分があるのも事実です。
 論証等を覚えようとしても、文章の形式だと、なかなか頭に入ってこない、という人も多いと思います。
 そんなときは、いきなり文章の形で覚えるのではなく、まずは重要なキーワード等から断片的に記憶していき、それを頭で考えて論理的に繋いで文章化できるようにしていくことが有効です。
 本書では、重要なキーワード等を中心に穴埋め形式の問題にしていますので、論証等の記憶に役立つツールとなっているのではないかと思います。

 スマートフォンやタブレット端末を用いて、電車内などでもゲーム感覚で論証等の学習ができるようになっています。
 記憶の作業は辛いものですが、本書が少しでも助けになればと思います。

3.以下は、収録論点の一覧です。

事情変更の法理の適用要件
契約上の地位の譲渡があった場合における事情変更の法理の判断
権利失効の法理の適用要件
権利行使が権利の濫用となるための一般的要件
「出生」(3条1項)の意義
「既に生まれたものとみなす」(721条、886条1項)の趣旨
胎児を代理してする和解の効力
意思能力の意義
意思無能力でした法律行為の無効の主張権者
21条(詐術による取消制限)の趣旨
「詐術」(21条)の意義
制限行為能力者であることを黙秘した場合
失踪宣告取消前に「善意でした行為」(32条1項後段)の意義
32条2項ただし書(失踪宣告取消しによる返還義務の現存利益制限)は悪意者にも適用されるか
34条(法人の能力)の趣旨
「目的の範囲」(34条)の判断基準(営利法人の場合)
「目的の範囲」(34条)の判断基準(非営利法人の場合)
一般法人法77条5項(代表理事の権限制限の対善意者対抗不可)の趣旨
目的の範囲外であることによる無効を法人が主張できるか
法令に基づく制限は「制限」(一般法人法77条5項)に当たるか
「善意」(一般法人法77条5項)の意義
「善意」(一般法人法77条5項)とはいえない第三者の保護
理事会の決議を欠く代表理事の重要な業務執行(一般法人法90条4項)の効力
一般法人法78条(代表者の不法行為に係る法人の責任)の趣旨
「職務を行うについて」(一般法人法78条)の意義
取引的不法行為における一般法人法78条と民法110条の適用関係
「代表者」(一般法人法78条)に代表理事の選任した任意代理人を含むか
「代表者」(一般法人法78条)に支配人を含むか
一般法人法78条が適用される場合の代表機関の個人責任の肯否
権利能力のない社団の意義
権利能力のない社団の要件
権利能力のない社団の権利義務の帰属
権利能力のない社団の債務に係る構成員の個人責任
権利能力のない社団の債務に係る代表者の個人責任
権利能力のない社団の代表者による不法行為に係る社団の責任
権利能力のない社団の不動産の登記方法
権利能力のない社団の代表者が代表者個人名義で登記された社団の不動産を勝手に処分した場合の94条2項類推適用の可否
権利能力のない社団の構成員の退会の自由
権利能力のない財団の意義
権利能力のない財団の要件
私的自治の原則の意義
法律行為の意義
法律行為の有効要件
暴利行為
法令違反が90条により無効となる場合
公序違反の判断基準時
動機が不法な法律行為の効力
92条の「慣習」の意義
慣習法の意義
92条の趣旨
慣習による意思の推定
法適用通則法3条と92条の適用関係
「真意ではないこと」(93条)の意義
93条本文の趣旨
93条ただし書の趣旨
93条ただし書により無効となる意思表示を前提に法律関係に入った第三者の保護
「虚偽」(94条)の意義
94条1項の趣旨
94条2項(虚偽表示無効の対善意者対抗不可)の趣旨
相手方のある単独行為に94条は適用されるか
相手方のない単独行為に94条は適用されるか
「第三者」(94条2項)の意義
「善意」(94条2項)に無過失を要するか
「第三者」(94条2項)は対抗力の具備を要するか
善意の第三者(94条2項)からの転得者の地位
悪意者からの転得者は「第三者」(94条2項)に含まれるか
善意の第三者と虚偽表示者からの譲受人との優劣
94条2項の善意の判断基準時
94条2項類推適用
94条2項、110条の類推適用
「錯誤」(95条本文)の意義
95条本文(錯誤無効)の趣旨
動機の錯誤の意義
動機の錯誤は「錯誤」(95条本文)に当たるか
保証契約における主債務の態様に関する錯誤は内容の錯誤か動機の錯誤か
「要素」(95条本文)が要件とされた趣旨
「要素」(95条本文)の意義
95条ただし書の趣旨
95条ただし書は相手方が悪意又は重過失の場合に適用されるか
共通錯誤の場合に95条ただし書は適用されるか
錯誤無効(95条本文)の主張権者
錯誤無効主張前の第三者の保護
錯誤無効主張後の第三者の保護
錯誤と詐欺の適用関係
錯誤と瑕疵担保の適用関係
錯誤と和解の確定効(696条)の関係
96条1項(詐欺・強迫による取消し)の趣旨
96条2項(第三者による詐欺)の趣旨
相手方の代理人による詐欺
第三者の詐欺につき相手方が善意有過失の場合
第三者による強迫の場合
96条3項(詐欺取消しの対善意者対抗不可)の趣旨
96条3項が強迫の場合を除いた趣旨
「第三者」(96条3項)の意義
「善意」(96条3項)に無過失を要するか
「第三者」(96条3項)は対抗力の具備を要するか
取消後の第三者の保護
到達(97条1項)の意義
代理の意義
使者の意義
代理制度の趣旨
代理の本質
代理の他人効の根拠
代理権授与行為の独自性の肯否
事務処理契約の瑕疵
本人による事務処理契約の詐欺取消し
本人による事務処理契約の強迫取消し
本人による事務処理契約の制限行為能力による取消し
授権表示(109条)の取消しの可否
事務処理契約が取り消された場合の112条(代理権消滅後の表見代理)の適用の可否
本人による事務処理契約の解除
代理人による事務処理契約の詐欺・強迫取消し
代理人による事務処理契約の制限行為能力による取消し
代理人による事務処理契約の解除
101条1項(瑕疵等の代理人基準)の趣旨
101条2項(特定の法律行為の委託の例外)の趣旨
本人の指図がない場合の101条2項の適用
顕名主義(99条)の趣旨
署名代理の可否
100条本文(顕名欠缺による代理人の責任)の趣旨
100条ただし書(代理意思につき悪意有過失の場合)の趣旨
108条本文(自己契約及び双方代理の禁止)の趣旨
108条本文類推適用
108条ただし書(債務履行及び本人許諾の例外)の趣旨
108条ただし書類推適用
代理人の権限濫用
代理権の逸脱と濫用の区別
代理人と相手方の通謀虚偽表示
109条(授権表示による表見代理)の趣旨
109条は法定代理に適用されるか
白紙委任状の被交付者による委任事項の濫用的補充
白紙委任状の被交付者が委任事項を空欄のまま提示した場合
白紙委任状の転得者による代理人欄のみの濫用的補充
白紙委任状の転得者による委任事項の濫用的補充
転々流通を予定した白紙委任状の場合
110条(権限踰越の表見代理)の趣旨
公法上の行為の代理権は基本代理権となり得るか
事実行為の代行権限を基本代理権とする表見代理(110条)の成否
代理人が直接本人の名で権限外の行為をした場合の表見代理の成否
「第三者」(110条)には転得者を含むか
「正当な理由」(110条)の意義
110条(権限踰越の表見代理)と715条(使用者責任)の適用関係
761条(日常家事債務の連帯責任)の趣旨
「日常の家事」(761条)の意義
「日常の家事」該当性の判断
日常の家事についての法定代理権の根拠
110条は法定代理にも適用されるか
日常の家事に関する代理権を基本権限とする表見代理の成否
表見代理規定の重畳適用の可否
112条(代理権消滅後の表見代理)の趣旨
117条(無権代理人の責任)の趣旨
117条1項の損害賠償の範囲
無権代理人は表見代理の成立を主張して117条の責任を免れることができるか
無権代理人に過失がない場合の117条1項の適用の可否
「過失」(117条2項)は重過失に限られるか
無権代理人悪意・相手方有過失の場合の117条2項の適用の可否
無権代理人が無権代理行為の目的物を取得した場合の法律関係
無権代理人と相続(一般論)
無権代理人の本人相続
本人の無権代理人相続
無権代理人の地位と本人の地位を共に相続した場合
本人の地位を無権代理人と他の相続人が共同相続する場合
本人による追認拒絶後に無権代理人が本人を相続した場合
無権代理人の後見人就任(事実上の後見人)
事実上の後見人とは別の者が後見人に就任した場合の事実上の後見人の無権代理行為の追認拒絶の可否
追認の意思表示(123条)における取り消し得ることの認識の要否
法定追認(125条)における取り消し得ることの認識の要否
「全部又は一部の履行」(125条1号)に弁済の受領は含まれるか
「担保の供与」(125条4号)に担保の取得は含まれるか
保証人による主債務者の取消権の援用
取消権者の1人について126条前段の期間が経過した場合
双務契約の無効・取消しによる不当利得返還請求は同時履行の関係となるか
双務契約の無効・取消しによる不当利得返還請求において反対給付の履行が事実上困難な場合の同時履行の肯否
双務契約の無効・取消しによる不当利得返還請求の目的物が不可抗力によって滅失した場合
無効と取消しの二重効
126条の行使期間の法的性質
条件の意義
期限の意義
故意に条件を成就させた場合
停止条件と不確定期限の区別
時効制度の趣旨
144条(時効の遡及効)の趣旨
145条(時効の援用)の趣旨
援用(145条)の法的性質
「当事者」(145条)の意義
建物賃借人は賃貸人による敷地所有権の取得時効の「当事者」(145条)に当たるか
保証人は主債務の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
物上保証人は被担保債権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
抵当不動産の第三取得者は被担保債権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
売買予約仮登記付不動産につき移転登記を経た第三取得者は予約完結権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
売買予約仮登記付不動産につき抵当権設定登記を経た抵当権者は予約完結権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
詐害行為の受益者は被保全債権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
一般債権者は債務者が負う他の債務の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
後順位抵当権者は先順位抵当権の被担保債権の消滅時効の「当事者」(145条)に当たるか
援用(145条)の効果の生じる人的範囲
時効援用権の代位行使(423条1項)の可否
時効援用の撤回の可否
146条(時効利益の事前放棄の禁止)の趣旨
時効期間を延長する合意の効力
消滅時効期間を短縮する合意の効力
消滅時効完成後の債務承認の効力
消滅時効完成後の債務承認をした後の再度の消滅時効
被保佐人のする時効完成後の債務承認に保佐人の同意を要するか
保証人が保証債務を承認した後に主債務の消滅時効を援用できるか
主債務者がした時効完成後の債務承認を知って保証債務を承認した保証人による主債務の消滅時効の援用の可否
主債務を相続した保証人が保証債務を弁済した場合の主債務の時効中断
147条1号、2号(請求、差押え等による時効中断)の趣旨
147条3号(承認による時効中断)の趣旨
156条(承認の行為能力又は権限不要)の趣旨
被保佐人は単独で147条3号の承認をなし得るか
未成年者、成年被後見人は単独で147条3号の承認をなし得るか
催告(153条)後6か月以内の再度の催告の効力
裁判上の請求に準ずる裁判内の権利主張
裁判上の催告
詐害行為取消訴訟の提起による被保全債権の時効中断の肯否
催告を受けた債務者が調査のため猶予を求めた場合の起算日
物上保証人による被担保債権の承認
148条(時効中断の相対効)の趣旨
債務者の承認により被担保債権に生じた時効中断の効力は物上保証人に及ぶか
149条(訴えの却下又は取下げの場合の中断否定)の趣旨
158条1項(法定代理人がない場合の時効停止)の趣旨
時効期間満了前の申立てに基づき時効期間満了後に後見開始の審判がされた場合の158条1項類推適用の可否
所有の意思(162条)の判断基準
他人物売買であることを知っていた買主の所有の意思
解除条件付売買における買主の所有の意思
自己物の時効取得の可否
「平穏」(162条)の意義
善意無過失(162条2項)の意義
不動産賃借権の時効取得の可否
他人の土地に植栽した立木の時効取得の可否
時効完成時の原所有者に対する時効取得に係る対抗要件の要否
時効完成後の譲受人に対する時効取得に係る対抗要件の要否
時効完成後の譲受人が背信的悪意者となるための要件
取得時効の起算点の選択の可否
二重譲渡の劣後譲受人についての取得時効の起算点
再度の時効取得の可否
時効援用により確定的に権利を取得した者による再度の時効取得の可否
抵当権の設定された不動産の賃借権を時効取得した場合に抵当権は消滅するか
抵当権の設定及びその登記後に賃借権を時効取得した場合の賃借権の対抗
時効取得完成後、その援用及び登記前に抵当権設定及びその登記がなされた場合の再度の時効取得により抵当権は消滅するか
166条1項(消滅時効の起算点)の趣旨
「権利を行使することができる」(166条1項)の意義
被保佐人が権利行使について保佐人の同意を得られなかった場合の消滅時効の進行の可否
債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点
取消し又は解除により発生する返還請求権の消滅時効の起算点
無催告解除特約がある場合の賃貸借契約解除権の消滅時効の起算点
割賦金弁済契約に期限の利益喪失約款がある場合の各割賦金債務の消滅時効の起算点
166条2項(始期付又は停止条件付債権の目的物の取得時効)の趣旨
所有権の消滅時効
所有権に基づく物権的請求権の消滅時効

戻る