平成27年司法試験の結果について(1)

1.法務省から、平成27年司法試験の結果が公表されました。合格者数は、1850人でした。昨年の1810人と比較すると、40人の増加です。

2.昨年の記事では、平成25年まで「2000人基準」だったものが、平成26年には、どうやら「1800人基準」となったようだ、という説明をしました(「平成26年司法試験の結果について(1)」。
 「1800人基準」とは、5点刻みで、最初に1800人を超える得点が合格点となる、というルールです。今年はどうか。以下は、法務省の公表した総合点別人員調のうち、合格点前後の累計人員を抜粋したものです。

得点 累計受験者数
825 2006
830 1931
835 1850
840 1792
845 1721

 5点刻みでみたときに、最初に1800人を超えるのが835点、すなわち、今年の合格点でした。ですから、今年も「1800人基準」によって合格点が決まったと考えて良さそうです。昨年と比べて40人増加したのは、特に意図があるわけではなく、たまたまそうなった、ということですね。

3.昨年、「2000人基準」から「1800人基準」へと変化したことは、意外でした。当時は、まだ法曹人口に関する調査の途中で、政府としての意思決定は、いまだなされていない状態だったからです。しかし今年は、政府(法曹養成制度改革推進会議)としての意思決定がなされていました

 

(「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日法曹養成制度改革推進会議決定)より引用、太字強調は筆者)

 新たに養成し、輩出される法曹の規模は、司法試験合格者数でいえば、質・量ともに豊かな法曹を養成するために導入された現行の法曹養成制度の下でこれまで直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべきである。

(引用終わり)

 

 上記によれば、当面は、1500人から1800人までの間で推移しそうだ、ということが読み取れます(※)。「1800人基準」が維持されたということは、上記の上限の数字が守られたことを意味することになります。
 来年以降も、特に事情変更がなければ、「1800人基準」が維持されそうですが、場合によっては、より少ない合格者数が基準となる可能性も十分あるでしょう。ですから、受験生としては、少なくとも1500番以内には入る、という戦略を立てるべきだということになります。

※ 実際に合格者数を決めるのは司法試験委員会ですから、上記が無視される可能性もないわけではありません。これまでにも、政府の示した合格者数の目安を無視してきたという実績があります。ただ、これは目安が示されてからしばらく時間が経過し、現実との乖離が大きくなったという場合でしたから、決定から数年しか経過していないのに直ちに無視するという可能性は、それほど高くないだろうと思います。

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