1.今回は予備組の結果をみてみます。今年は、予備試験合格の資格で受験した301人中、186人合格。予備組の受験者合格率は、61.7%でした。以下は、予備組が司法試験に参入した平成24年以降の予備試験合格の資格で受験した者の合格率の推移です。
年 (平成) |
受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
24 | 85 | 58 | 68.2% |
25 | 167 | 120 | 71.8% |
26 | 244 | 163 | 66.8% |
27 | 301 | 186 | 61.7% |
予備組の合格者数は毎年増えていますが、その増加幅は、年々小さくなってきています。また、合格率は、平成25年は上昇しましたが、昨年、今年と、2年連続で下落となっています。この原因は、「論文に受かりにくい人は何度受けても受からない法則」にあります。今年は、まだ予備組の予備試験合格年別のデータが出ていませんが、昨年のデータ(「平成26年司法試験受験状況」)では、論文合格率(短答合格者ベース)は、以下のようになっています。
予備試験 合格年 |
論文 合格率 |
平成25 | 80.7% |
平成24 | 38.3% |
平成23 | 35.3% |
昨年の予備組全体の合格率は、66.8%です。しかし、予備試験合格年別にすると、2回目以降の予備組が大きく崩れていることがわかります。これが、「論文に受かりにくい人は何度受けても受からない法則」の怖さなのです。今年の数字はまだわかりませんが、おそらく、同じような傾向になっているでしょう。そして、この予備組の滞留者は、年々増加しています。以下は、毎年の受験者数から合格者数を差し引いた滞留者数の推移です。
年 (平成) |
滞留者数 |
24 | 27 |
25 | 47 |
26 | 81 |
27 | 115 |
この毎年増加する滞留者が、予備組全体の合格率を下げています。従って、今後もこの滞留者の増加が続く限り、予備組の合格率は、下がっていくでしょう。
2.毎年下がっているとはいえ、全体の受験者合格率23.0%と比べれば、予備組はいまだ高い合格率を誇っています。では、上位ローと比較するとどうか。下記は、上位ローと言われる東大、京大、一橋、慶応の今年の受験者合格率です。
受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
|
東大 | 305 | 149 | 48.8% |
京大 | 240 | 128 | 53.3% |
一橋 | 142 | 79 | 55.6% |
慶応 | 347 | 158 | 45.5% |
こうしてみると、圧倒的とはいえませんが、まだ予備組の方が上位に位置しているといえます。ただ、これは既修・未修両方を含んだ数字です。既修者に限ってみると、以下のようになります。
受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
|
東大 | 162 | 104 | 64.1% |
京大 | 159 | 111 | 69.8% |
一橋 | 92 | 58 | 63.0% |
慶応 | 213 | 128 | 60.0% |
既修に限れば、予備組と遜色がない、というより、むしろ上位ローの方が合格率が高いといってもよさそうな感じです。予備組は、平成24年に1回目の受験者が参入したばかりで、これからもしばらくは滞留者の増加が続きます。それに伴って、合格率の低下も続くでしょう。これに対し、既修ロー生の初受験は平成18年で、既に受験資格喪失による退出のサイクルをこなしていますから、これからどんどん合格率が低下することは考えにくい。むしろ、定員を絞っている影響で、合格率は上昇傾向になりそうです。そうなると、今後、予備組は上位ローの既修より低い合格率に甘んじることになるでしょう。