1.以下は、世代別の口述合格率(論文合格者ベース)です。
年代 | 論文 合格者数 |
口述 合格者数 |
口述 合格率 |
20代 | 330 | 307 | 93.0% |
30代 | 50 | 46 | 92.0% |
40代 | 31 | 26 | 83.8% |
50代 以降 |
17 | 15 | 88.2% |
今年は、20代が最も高く、40代が最も低い合格率となっています。例年の傾向はどうなっているのでしょうか。以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。
年 (平成) |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 以降 |
23 | 96.0% | 94.2% | 87.5% | 100% |
24 | 99.2% | 91.8% | 81.8% | 83.3% |
25 | 95.0% | 93.4% | 75.8% | 64.2% |
26 | 92.6% | 83.9% | 86.2% | 87.5% |
27 | 93.0% | 92.0% | 83.8% | 88.2% |
平成23年の50代以降(5人中5人合格)を除けば、常に20代が合格率トップです。これは、確立した傾向と言ってよいでしょう。また、昨年を除けば、30代は、20代に次ぐ合格率になっています。論文と同様、口述も、ある程度は若手有利といえます。もっとも、論文ほど極端ではありません。20代でも、今年は7%が落ちています。人数にすると、23人です。不合格者は全体で34人(受験しなかった1人を含む)ですから、これは不合格者全体の67.6%、すなわち、全体の3分の2以上を占めています。20代でも、それなりに不合格になるのです。他方で、年配者でも極端に不利という数字にはなっていません。高齢になると反射神経が鈍りますから、とっさの受け応えにはやや不利だということはあるでしょうが、決定的なものではないということです。論文と違って、口述だと考査委員は相手の状況を確認できますから、年配者であればそれに配慮するということもあるでしょう。年配者だからといって、何か特別な対策をとらなければならないというわけではないと思います。
なお、40代及び50代以降の合格率の年ごとのバラつきが大きいのは、母数である論文合格者数が少ないからです。母数が小さいと、1人の合格、不合格によって大きく数字が変動してしまいます。例えば、今年の50代以降は、母集団が17人ですから、1人の合否で合格率が5.8%程度上下してしまうのです。これに対し、20代は、母集団が330人いるので、1人の合否は0.3%程度しか合格率に影響しません。上記の数字を見る際には、その点に注意すべきでしょう。それでも、40代以上の年代の合格率は平成23年の50代以降を除き、9割に達したことがありませんから、ある程度は高齢になると不利ということはいえるが、平成25年を除き、8割を切ることもないことからすれば、決定的に不利というわけでもない、ということです。
2.以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。
年 (平成) |
最終合格者 平均年齢 |
23 | 31.57 |
24 | 30.31 |
25 | 27.66 |
26 | 27.21 |
27 | 27.36 |
平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、その後は横ばいとなっていることがわかります。昨年までは、合格者の平均年齢はロー在学生の合格者の増加と対応していました。ところが、今年は異変が起きています。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中及び法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。
年 (平成) |
大学在学中 | 法科大学院在学中 |
23 | 33.6% | 5.1% |
24 | 31.5% | 27.8% |
25 | 30.4% | 46.7% |
26 | 32.0% | 47.1% |
27 | 39.5% | 35.0% |
今年は、法科大学院在学生の割合が急減しています。それに代わって増加したのが、大学生の割合です。合格者に占める割合が、一気に逆転するに至っているのです。
現在、法科大学院では、修了生の累積合格率7割を達成するために、定員の削減を続けています。このことが、法科大学院在学中の合格者の急減の大きな原因です。その反動もあって、大学生は、定員を絞ろうとするローに行くくらいなら、予備ルートの方がよい、と考えて、本気で予備に受かりに来ているのでしょう。これまでは、主に上位ロー在学生の受験が問題になっていましたが、現在では、上位ローに行くはずの大学生の受験が、むしろメインになってきているということです。