Amazonより、「司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(行政法)」を発売しました。
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【内容紹介】
本書は、平成27年司法試験における採点実感等に関する意見の行政法について、各項目、段落ごとに、ポイントとなる事項を説明したものです。
「司法試験平成27年出題趣旨の読み方(行政法)」では、本問で考査委員が想定していたであろう「正解」について、基本的な知識や法律の基礎的な読み方から、どのように考えていけばよいか、ということを詳細に説明しました。そこでは、本問が大変な難問であったことが明らかになりました。
本書では、本問のような難問を、試験現場でどのように処理すれば合格できるのか、より実戦的な観点から、詳細に説明しました。適宜具体的な論述例なども示しながら、実戦で使えるテクニックや考え方、試験現場での心構えなどを紹介しています。
各項目の概要は、以下のとおりです。
「1 出題の趣旨」では、本書のコンセプトを簡単に説明しました。
「2 採点方針」では、「決して知識の量に重点を置くものではない」が嘘であることを指摘しました。
「3 答案に求められる水準」では、論文試験の採点基準として明示されている各水準と実際の得点、合格ラインの位置などを確認した上で、各設問ごとに、どの程度のことを書けばどの程度の水準となったのか、具体的な合格ラインはどのくらいなのか、合格ラインを守るためにはどうすればよかったのか等について説明しました。
「(1) 設問1」では、法務省の公表する「司法試験における採点及び成績評価等の実施方法・基準について」等を参照しつつ、各水準に具体的な得点との対応関係があることを確認し、実際の合格点から、各水準のうち、現実の合格ラインがどの部分に位置付けられるのか、設問1については、具体的に何を書けばどの水準になったのか、それを踏まえた実戦的な戦略は何か等を説明しました。
「(2) 設問2」では、特に難問であった設問2について、各水準と論述内容の対応、実際の合格ラインはどの程度だったのか、実戦的にはどう対応すればよかったのか等を説明しました。
「(3) 設問3」では、設問3について、各水準と論述内容の対応、実際の合格ラインはどの程度だったのか、内容的な難しさとは別の実戦的な難しさ等について説明しました。
「4 採点実感」では、考査委員の様々な指摘について、それを真に受けるべきなのか、その指摘を受けないようにするにはどうすればよいのか、普段の学習方法との関係、役に立つ受験上のテクニック等について説明しました。
「(1) 全体的印象」では、字を丁寧に書くべきか、論文試験の試験時間の厳しさの具体的な意味、会議録のヒントが難解な場合の対処法、条文摘示のミスを直すタイミング、論文試験の答案における基本的な文章の書き方、「書き写す」書き方とはどのようなものか、問いに対する形式的応答の方法、見出しを付けるべきか、「理由付けがほとんどない答案」や「問題文中の事実関係を引き写したにとどまり,法的な考察がされていない答案」とは具体的にはどのような答案か、旧司法試験時代の論証はなぜ長いのか、旧司法試験時代から十分アップデートされていない論証が使えない理由、当てはめで重視すべきこと、会議録のヒントがミスリーディングであったこと、時間配分の考え方等について、適宜具体的な論述例も交えながら説明しました。
「(2) 設問1」では、「まず判断基準を述べてから本件の事実関係に当てはめるという,法律論としての「作法」がとられていない答案」とそうでない答案の具体的論述例、規範の明示の重要性、判例の規範を覚える必要性、本問で処分性と原告適格についてやや厚めに書く戦略が考えられる理由、薄く書く場合、厚く書く場合の具体的論述例、意識して覚えるべき訴訟要件と必ずしも覚えなくてもよい訴訟要件の区別、当てはめ事実が資料の方にしかないという行政法特有の傾向、問題文の文言から書くべき事項を特定する方法論を事前に確立しておく必要性等について説明しました。
「(3) 設問2」では、設問2で差が付いた理由、上位合格を目指す場合に押さえるべき教材、問題文の読み間違えを誘発しやすい答案の書き方、裁量逸脱濫用の検討が雑な答案が多かった理由、裁量基準に基づく処分についての判断過程審査の枠組みを知らなかった場合の粘り方、「行政の行為形式論を踏まえて論じていない」とは具体的にはどういう意味か、論文試験における行為形式論と行政過程論ないし仕組み解釈の考え方の論理的な構造、「本件基準は市の「内部基準」であることが問題文で明言されており,「委任命令(法規命令)」と理解することができないことは明らかである」という記述がやや不適切であること、裁量基準に基づく処分についての裁量統制に関する採点実感等に関する意見の考え方は必ずしも判例の考え方とはいえないこと、有力説を前提にした解答が求められる場合の対処法、「応用論点が基本論点になる」という現象、本問の会議録の誘導が結果的に「泥船」であったこと、試験現場で「泥船」の存在を考慮すべきか、工業地域に倍数の制限がない旨の記載は「泥船」とは異なること、「会議録の記載をそのまま引き写しただけ」という指摘の正確な意味、「書写し」で適切に書く場合の論述例等を説明しました。
「(4) 設問3」では、モービル石油事件判例の知識まで事前に準備しておくべきだったのか、一応の水準レベルの「書き写す」論述例、本件命令の名宛人が特定人であるとして補償を肯定してしまう原因、用途地域の指定替えに触れなくても合否に影響しないこと等について説明しました。
「5 今後の法科大学院教育に求めるもの」では、知識の重要性と学習における優先順位、採点実感等に関する意見において考査委員が無意味な記述をしてしまう原因、日本語の論述能力が「近年では最低の水準」とされた原因と対策等について説明しました。
本書が、採点実感等に関する意見を読み解く上で少しでも助けになれば幸いです。