2016年6月のツイートまとめ

2016年06月01日(水)4tweets
 
6月1日
『2016年05月31日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43848604.html
 
6月1日
住基ネット事件判例は、保護範囲を開示に限定したため、開示がなければそもそも侵害がないと判示しています。その前提として、対象となる情報の秘匿性が低いことを指摘している。その秘匿性判断の基準は、「個人の内面に関わる」か否かです。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=35933
 
6月1日
「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものということはできず,当該個人がこれに同意していないとしても,憲法13条により保障された上記の自由を侵害するものではない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=35933
 
6月1日
「本人確認情報は,氏名,生年月日,性別及び住所から成る4情報に,住民票コード及び変更情報を加えたものにすぎない。…これらはいずれも,個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=35933
 
2016年06月02日(木)3tweets
 
6月2日
『2016年06月01日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43852222.html
 
6月2日
平成28年司法試験受験状況
http://www.moj.go.jp/content/00118411.pdf
 
6月2日
平成28年司法試験短答式試験結果
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushken/jinji08_00129.html
 
2016年06月04日(土)1tweet
 
6月4日
『平成28年司法試験短答式試験の結果について(1)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43862167.html
 
2016年06月05日(日)1tweet
 
6月5日
『平成28年司法試験短答式試験の結果について(2)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43865683.html
 
2016年06月07日(火)1tweet
 
6月7日
『平成28年司法試験短答式試験の結果について(3)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43870164.html
 
2016年06月08日(水)1tweet
 
6月8日
『平成28年司法試験短答式試験の結果について(4)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43876255.html
 
2016年06月09日(木)1tweet
 
6月9日
平成28年司法試験予備試験短答式試験結果
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushken/jinji07_00174.html
 
2016年06月10日(金)1tweet
 
6月10日
『平成28年予備試験短答式試験の結果について(1)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43883417.html
 
2016年06月11日(土)1tweet
 
6月11日
『平成28年予備試験短答式試験の結果について(2)』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43887787.html
 
2016年06月12日(日)5tweets
 
6月12日
司法論文憲法。住基ネット事件判例は、個人の内面に関わる秘匿性の高い情報ではないことから、保護範囲を開示に限定したと考えると、指紋押捺拒否事件判例は、指紋を個人の内面に関わると考えていたのか。実はそうではありません。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=50119
 
6月12日
「指紋は…それ自体では…個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人不同性、終生不変性をもつので、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性がある。このような意味で、指紋の押なつ制度は、国民の私生活上の自由と密接な関連をもつ」
 
6月12日
指紋押捺拒否事件判例は、指紋自体は「個人の内心に関する情報」ではないとしながら、利用方法次第でプライバシーが侵害される危険性があることを重視しています。このことが、収集自体を問題にした理由である、と考えることができるわけです。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=50119
 
6月12日
これを本問で考えてみると、現在地もそれ自体では個人の内心に関する情報とはいえないのでしょうが、常時継続監視することにより私生活を推知できることから、利用方法次第でプライバシーが侵害される危険性があるといえます。ですから、指紋押捺拒否事件判例の趣旨は、本問に及ぶといえるのです。
 
6月12日
参考答案は、住基ネット事件判例と指紋押捺拒否事件判例の対立軸までは示していますが、後者の趣旨が及ぶ理由として、近時のGPS捜査事件を参照し、知識で押し切っています。ただ、前記のことを現場で思い付いたなら、その方が論理的でしょう。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43801548.html
 
2016年06月13日(月)5tweets
 
6月13日
『2016年06月12日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43892240.html
 
6月13日
司法論文憲法。憲法は、例年、判例や事実を無視し、自分の言葉で適当に書く答案が続出するので、判例の枠組みに乗せて事実を整理するだけで、優に上位になってしまいます。自分の頭で考えるのではなく、そのような判例・事実はあるか、という観点で問題文を読めば、自然と答えは見えてくるものです。
 
6月13日
本問の場合、「なぜ性犯罪者だけ監視するのか」に対する反論をどう考えるかです。専門家Uの意見は、誰もが挙げるでしょうが、それだけなのか。ここで、天井を見て考えるのではなく、問題文をもう一度読み返すべきなのです。そうすると、冒頭で延々と書いてある立法経緯の意味がわかるはずです。
 
6月13日
問題文冒頭では、2つの事件をきっかけに、世論が盛り上がって議員立法に至ったという経緯が書いてある。これは事案をリアルにしようとしたのではなく、敢えて書いてあるのです。つまり、「なぜ性犯罪者だけ監視するのか」に対し、「国民が性犯罪者に限って特に求めたから」が、解答になるのです。
 
6月13日
参考答案は、それを指摘して終わっています。本来は、国民が特に求めていることが理論的に正当化の立法事実になり得るのか、ということこそが問題です。しかし、実戦的にはこの事実を摘示しただけで、差が付いてしまうのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43801548.html
 
2016年06月14日(火)2tweets
 
6月14日
『2016年06月13日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43895991.html
 
6月14日
『平成28年司法試験論文式民事系第3問参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43896889.html
 
2016年06月15日(水)6tweets
 
6月15日
『2016年06月14日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43899654.html
 
6月15日
司法論文憲法。多数の国民が特に性犯罪者の監視を求めていることは、合憲性を基礎付ける立法事実足り得るのでしょうか。これは統治の議論です。多数決の濫用から少数者を守るという司法の本質からすれば、これは認められないということになる。しかし、話はそう簡単ではありません。
 
6月15日
判例上、何を重要な公共の利益と考えるか等の立法事実の判断においては、社会通念や国民の意識が考慮要素とされます。国民が特にプライバシーを意識すれば、プライバシーは重要な公益となる。同様に、国民が特に性犯罪者の監視を求めているなら、それが重要な公共の利益を構成すると考え得るのです。
 
6月15日
「当時の社会通念…の下においては…相応の理由があった…しかしながら,その後…家族生活や親子関係に関する意識も一様ではなくなってきており……今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するものということはできない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=36416
 
6月15日
「国民の意識の多様化が指摘されつつも,国民の中にはなお法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していると考えられることをも併せ考慮すると,上記のような婚姻をするについての自由は,憲法24条1項の規定の趣旨に照らし,十分尊重に値する」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=85547
 
6月15日
さて、この「多数決の濫用から少数者を守る」という司法の本質と、「国民が特に性犯罪者の監視を求めているなら、それが重要な公共の利益を構成する」という立法事実の考え方は、どう両立するのでしょうか。これを現場で一生懸命考えた人がいるとしたら、その人は極めて優秀な「受かりにくい人」です。
 
2016年06月16日(木)5tweets
 
6月16日
『2016年06月15日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43903254.html
 
6月16日
司法論文憲法。刑事罰があるから過度の制約だ、と「自分の頭で考えて」書いてしまった人は多いでしょう。これは、判例を無視しています。指紋押捺拒否事件判例は、むしろこれを相当性を根拠付ける方向性で摘示しているからです。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=50119
 
6月16日
「強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的、肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、方法としても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであったと認められる」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=50119
 
6月16日
「自分の頭で考えて自分の言葉で書いたこと」は、たまたま判例と同じような内容なら、その限度で評価されることはありますが、多くの場合、単に判例を知らないか、基本的な知識・理解を欠いているとして厳しい評価になります。判例知識は短答対策にもなるわけですから、しっかり学習すべきです。
 
6月16日
本問では、手術による肉体的な苦痛等は一切ない前提になっていますから、指紋押捺拒否事件判例の枠組みから違憲の結論とするのであれば、精神的苦痛に着目することになるでしょう。すなわち、常時継続監視されることによる精神的苦痛が過度の負担になるのだ、ということを指摘すべきです。
 
2016年06月17日(金)3tweets
 
6月17日
『2016年06月16日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43907258.html
 
6月17日
司法論文行政法設問1。単純に合否を分けるのが、判例の規範を書いたかどうかです。規範を書かずにいきなり当てはめに入る人が必ず一定数いますが、想像以上に評価を落とすことを覚悟すべきでしょう。現在の司法試験では、規範の明示をしないことは「受かる気がない」ことを意味します。
 
6月17日
ただ、判例の規範は長いので、なかなか覚え切れないとか、覚えていても、今年は問題文が異常に長く、設問が4つもあるので短くしたい、ということはあるでしょう。その場合でも最低限、「不特定多数者の具体的利益」と「個々人の個別的利益」というキーワードを示して規範を立てるべきです。
 
2016年06月18日(土)2tweets
 
6月18日
『2016年06月17日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43911071.html
 
6月18日
『平成28年司法試験論文式刑事系第1問参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43911822.html
 
2016年06月19日(日)5tweets
 
6月19日
『2016年06月18日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43914801.html
 
6月19日
処分の相手方以外の者の原告適格について、判例の規範を書けても、その意味を理解していないと、正確な当てはめができません。適当に条文を並べておいて、最後に「個々人の個別的利益を保護する趣旨である」と書いておけばなんとかなる、と思っている人が多いように思います。
 
6月19日
「不特定多数者の具体的利益」の「具体的」の意味は、裁判規範として機能すること、すなわち、その利益が侵害される場合には原則として処分をしてはならないことを意味します。その利益を侵害しないことが処分要件とされている場合という意味で、処分要件説と呼ばれます。
 
6月19日
本問では、根拠法令である建築基準法48条1項ただし書の文言をみれば、「良好な住居の環境を害するおそれがない」ことが処分要件となっています。ですから、本問は、「不特定多数者の具体的利益」が容易に認められる典型的な場合であるといえます。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月19日
「不特定多数者の具体的利益」が「個々人の個別的利益」でもあるというためには、それが帰属する者と、帰属しない者が区別できることを要します。典型例は、利益侵害を著しくかつ直接に受ける者が一定の範囲に限られる場合です。この場合は、その範囲の者とそうでない者を区別できるからです。
 
2016年06月20日(月)6tweets
 
6月20日
『2016年06月19日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43918150.html
 
6月20日
司法論文行政法設問1。判例の規範を当てはめるに当たっては、侵害態様の違いに注意すべきです。本件自動車車庫の構造の不備という点に着目すれば、構造の不備による被害を受けているのはX1だけで、X2は、構造の不備と無関係な「交通量の増加」の影響を受けているに過ぎません。
 
6月20日
また、直接性という点に着目すれば、X1は本件自動車車庫から直接出る騒音等の被害を受けていますが、X2は、本件自動車車庫の建築によって間接的に生じた「交通量の増加」の影響を受けているに過ぎない。この2つの態様の差異を指摘できれば、上位を狙えるでしょう。
 
6月20日
X2は、要するに交通量が増えるような施設があれば生じる被害を言っているわけですから、ライトグレア等の対策の有無は関係ないのです。X2について原告適格を認めるには、そもそも第一種低層住居専用地域内に交通量の増える施設を立てられないという趣旨まで含まれることを示す必要があるのです。
 
6月20日
参考答案は、前記の2つの視点を明確に示すことはできていません。しかし、最低限の事実を書き写しているので、一応の水準の上位は守れるでしょう。逆に、この程度の事実すら書き写していなければ、不良に落ちるでしょう。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月20日
参考答案は、何気なく書き写しているようにみえますが、X1につき「本件自動車車庫に出入りする…により」とし、X2につき「多数の自動車の通行による」として、侵害の原因が異なることを明示しています。前記2つの視点を基礎付ける事実を書き写しているので、一応の評価を獲得できるのです。
 
2016年06月21日(火)2tweetssource
6月21日
 
『2016年06月20日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43922448.html
 
6月21日
 
『平成28年司法試験論文式刑事系第2問参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43923442.html
 
2016年06月22日(水)6tweetssource
6月22日
 
『2016年06月21日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43926163.html
 
6月22日
 
司法論文行政法設問1。「平成23年と同じパターンだ」と考えて要綱を考慮した人も一定数いるでしょう。しかし、今年は平成23年と異なり、行政規則を考慮すべきでない事案です。このことは理論的にも、受験テクニックとしても明らかだと思います。まずは理論的な観点から考えてみましょう。
 
6月22日
 
法律の趣旨が法規範性のない行政規則によって左右されることはない。これが大原則です。それなのに、平成23年で行政規則である通達を考慮したのはなぜか。それは、根拠法令の処分要件だけからは保護法益が明らかではないからです。このことは出題趣旨に明示されています。
 
6月22日
 
「モーターボート競走法上,法律の趣旨を定める規定や許可の根拠規定などは…具体的に保護法益を特定していない…関係通達が,原告適格を認める根拠又は手掛かりにならないかという点も,検討する必要がある」
http://www.moj.go.jp/content/00113107.pdf
 
6月22日
 
法律だけでは保護法益が明確でなく、しかも、法律が行政庁にどの法益を重視するかについても裁量を与えているとみられる場合、具体的な裁量判断の結果として、どの法益を重視しているかを確認することで、法の趣旨を補充することが必要になる。だから、わざわざ通達を考慮したのです。
 
6月22日
 
本問の場合、根拠法令である建築基準法48条1項ただし書の文言をみれば、「良好な住居の環境」を保護法益としていることは明らかです。ですから、わざわざ本件要綱を参照する必要はないし、そうすべきでもないのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月23日(木)5tweetssource
6月23日
 
『2016年06月22日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43929836.html
 
6月23日
 
司法論文行政法設問1。今年は平成23年と異なり、行政規則を考慮すべきでない事案である。このことは、受験テクニックで判断することも可能です。仮に、設問1で本件要綱を考慮するなら、そこで本件要綱の法的性質を検討することになりますから、資料の会議録でもその旨指摘があるはずです。
 
6月23日
 
ところが、資料の会議録では、原告適格のところでは本件要綱の話が全く出てこず、設問2の違法事由に関するところで初めてその旨の指摘がある。そうだとすれば、設問1では本件要綱の法的性質は検討しない。すなわち、本件要綱を考慮する必要がない、ということが判断できるのです。
 
6月23日
 
弁護士C:…第2については,本件要綱の法的性質を踏まえた上で,本件例外許可についてのY1市長の裁量権の内容,範囲を検討し,説得的な主張ができるようにしてください。
http://www.moj.go.jp/content/00118200.pdf
 
6月23日
 
もちろん、単純にこのことだけで即断するのは危険です。前に説明した理論的な検討と総合して判断するのが手堅いでしょう。理論とテクニックの双方の視点から、複眼的に書くべき内容を素早く判断できるよう、普段の演習で訓練しておくべきです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月24日(金)5tweetssource
6月24日
 
『2016年06月23日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43933445.html
 
6月24日
 
司法論文行政法設問2。ポイントは、単なる手続の瑕疵ではなく、諮問機関(より正確には参与機関)の手続の瑕疵の問題だ、という点です。諮問機関の手続の瑕疵について参照すべきは、群馬バス事件判例です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=51907
 
6月24日
 
「一般に、行政庁が行政処分をするにあたつて、諮問機関に諮問し、その決定を尊重して処分をしなければならない旨を法が定めているのは…当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期しているためであると考えられる」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=51907
 
6月24日
 
「したがつて、行政処分が諮問を…経た場合においても、当該諮問機関の審理、決定(答申)の過程に重大な法規違反があることなど…諮問機関に対する諮問を経ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、これを経てなされた処分も違法として取消をまぬがれない」
 
6月24日
 
参考答案は、群馬バス事件判例を論証化したものを貼り付けて、事実を書き写して簡単に処理しています。ただ、ここはBの出席自体が他の委員の賛否の判断に影響を与えた可能性があることを指摘して、反対の結論としてもよいと思います。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月25日(土)17tweetssource
6月25日
 
『2016年06月24日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43936888.html
 
6月25日
 
司法論文行政法設問2。群馬バス事件判例を本問に引用する場合、厳密には、「その決定を尊重して処分をしなければならない旨を法が定めている」という部分を引くのは適切とはいえません。なぜなら、判例の上記判示は、狭義の諮問機関を参与機関と同視するための要件として機能するからです。
 
6月25日
 
狭義の諮問機関と参与機関の違いは、法的拘束力の有無です。判例は、法的拘束力のない狭義の諮問機関であっても、「その決定を尊重して処分をしなければならない旨を法が定めている」場合は、その手続違反が取消事由となり得るとする趣旨で、この文言を挿入しているのですね。
 
6月25日
 
「参与機関は…行政機関の意思決定に参与するもので、行政機関はその答申に法的に拘束されます。これに対し、諮問機関は…行政機関の意思決定に当たって意見を述べるもので、答申に法的拘束力はありません。」
参議院法制局法制執務コラム
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column00.htm
 
6月25日
 
そうだとすると、参与機関について判例を引用する場合は、「尊重」どころか「拘束」されるのですから、この判示部分は引用する必要がないということになる。そして、本問の建築審査会の同意には法的拘束力があるわけですから、本問でこの判示部分をそのまま引用するのは不適切だ、といえるのです。
 
6月25日
 
参考答案は、とりあえず覚えた論証を貼り付けた上で、建築審査会の同意が要件となっていることを指摘し、暗黙に判例の趣旨が及ぶことを前提としています。この辺りは、「敢えて無視」するのがテクニックです。深入りするのは、文字数の無駄です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月25日
 
「同意が要件とされているから、建築審査会は参与機関であるが、拘束力のない諮問機関についても取消事由となる余地を認めている判例の趣旨は、参与機関にも当てはまる」と書けば正確ですが、ロスの方が大きい。参与機関も広義の諮問機関といえるのですから、参考答案のようにラフに書くべきでしょう。
 
6月25日
 
司法論文行政法設問1の補足。原告適格について、不特定多数者の具体的利益を保護しているのは建築基準法48条1項ただし書から明らかであるけれども、それが個々人の個別的利益かどうかはわからないので、そこで本件要綱を考慮できるのではないか、という疑問を持つ人もいるようです。
 
6月25日
 
しかしながら、前にも説明したように、個々人の個別的利益であるか否かは、それが帰属する人と、帰属しない人とに区別できるのか、という視点で判断されます。それは、違法に処分がされた場合の法益侵害の程度・範囲の問題であって、本件要綱の内容によって左右されることはないと思います。
 
6月25日
 
本件要綱が重要な考慮要素であると考えた人は、仮に、本件要綱が作成されていなかったらどうか、考えてみる必要があります。「本件要綱を考慮して初めて原告適格が認められる」という立場を取るということは、「行政庁が本件要綱を作っていなければ、原告適格は認められない」ということを意味します。
 
6月25日
 
平成23年の場合には、行政庁が自治会の同意を特に重視しないという裁量判断をすることも可能とみる余地があることから、そのような通達がなければ原告適格が否定されるという余地はあるでしょうが、本問で要綱がなければ原告適格が否定されると考える余地はほとんどないように思います。
 
6月25日
 
「要綱が作成されなくても、法の趣旨に従った運用がされるべきであり、その法の趣旨に従ったあるべき運用を考慮すると、原告適格が認められる。」と考えるなら、それは法の趣旨からダイレクトに原告適格が認められることを意味する。要綱は法を具体化したものである以上、当然のことですね。
 
6月25日
 
司法行政法設問1の原告適格について、「要綱を参照する必要がない(してもよい)」という見解と、「要綱を参照してもよい(必ずしも参照しなくても原告適格は認められる)」という見解が、対立しているかのような誤解があるようです。実は、両者は理論的には同じことを言っています。
 
6月25日
 
ただ、ニュアンスとして、「必要がないなら見るべきでない」、「参照してもよいなら見るべきだ」という方向性の対立はあるのでしょう。当サイトの「必要がないなら敢えて書くべきでない」という受験対策上の考慮に対し、「理論上余地があるなら探求すべきだ」という探究心との対立ともいえます。
 
6月25日
 
筆者も、個人的には後者、すなわち、理論的余地があるなら探求すべきである、という考え方に魅力を感じます。しかし、現在の司法試験では、それが一番危ない。ですから、当サイトとしては、設問1の配点も考慮して、「必要不可欠でないものは敢えて書くな」と言っているのです。
 
6月25日
 
なお、大阪サテライト事件(最判平21・10・15)において、自転車競技法施行規則が考慮されていますが、これは自転車競技法の委任を受けた委任命令であって、法規範性のない行政規則を考慮したものではありません。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=38073
 
6月25日
 
はっきりしているのは、平成23年は通達を考慮するか否かによって、原告適格の肯否の結論が左右される事案であった。本問はそうではない。だから、その重要性に自ずから差異があるということです。設問4まで書き切って時間が余る、というのならともかく、設問1でそこまで頑張る必要はないでしょう。
 
2016年06月26日(日)6tweetssource
6月26日
 
『2016年06月25日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43940139.html
 
6月26日
 
司法論文行政法設問2。裁量逸脱濫用のポイントは、諮問機関(より正確には参与機関)の判断に依拠した裁量判断が問題となっているという点です。これについて参照すべきは、第三次教科書検定訴訟、伊方原発訴訟です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月26日
 
「検定審議会の答申に基づいて行う合否の判定…は…検定審議会の判断の過程に…看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、右判断は、裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法となる」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=52529
 
6月26日
 
「原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には…右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=54276
 
6月26日
 
昨年の問題は、判断過程審査の枠組みによるべき理由が不明確でした。そのことは、「司法試験平成27年出題趣旨の読み方(行政法)」で詳しく説明しています。それと比べると、今年は判断過程審査によるべきことが明瞭だったといえるでしょう。
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CQ5W4CI
 
6月26日
 
参考答案は、第三次教科書検定訴訟、伊方原発訴訟の判示を論証化したものを貼り付けています。覚えていれば貼るだけなのですが、覚えていないと、判断枠組みを明示して当てはめに入ることができません。規範は、正確に覚えておくべきなのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月27日(月)7tweetssource
6月27日
 
『2016年06月26日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43943355.html
 
6月27日
 
司法論文行政法設問2。裁量基準どおりにしたことの違法性が問われたのが昨年。今年は逆に、裁量基準どおりにしなかったことの違法性が問われました。この点については、「司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(行政法)」で、最判平27・3・3を参照しながら解説したところです。
 
6月27日
 
「公にしている処分基準において…当該処分基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たる」
最判平27・3・3
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/etail2?id=84903
 
6月27日
 
「裁量基準を無視した不利益処分がされたような場合、上記の判例法理によれば、公にされた裁量基準によって行政庁の裁量権が羈束される、ということになるでしょう。このような問題が今後出題される可能性は、十分あるでしょう。」
https://www.amazon.co.jp/dp/B01DQIPNG8
 
6月27日
 
「そのような場合には、まず、行為形式論の観点から原則として裁量基準に法的効力がないことを答案に示す。その上で…一定の限度で法的効力を認める余地があるのではないか…上記判例を参照して、裁量の羈束という限度でその効力を認める、というような流れで検討すべきことになります」
 
6月27日
 
本問の場合は、例外許可は申請(行手法2条3号)に対する処分ですから、本件要綱は行手法上の審査基準(同条8号ロ)です。その点で、処分基準に関する判例とは異なる部分があります。とはいえ、同様の問題が生じているといえるでしょう。この点を踏み込んで検討できれば、上位が狙えます。
 
6月27日
 
参考答案は、このうちの原則論だけを示して終わっています。これでも、合格レベルという意味では十分です。むしろ、この原則論を踏まえずに、当然に「本件要綱違反だから違法である」と書けば、不良に落ちるでしょう。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月28日(火)5tweetssource
6月28日
 
『2016年06月27日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43946916.html
 
6月28日
 
司法論文行政法設問3。「規範と事実」を書けるか。これが特に問われる設問でした。違法性の承継に関する判例の規範を書けなかった人は、単純な準備不足として反省すべきでしょう。ここは多くの受験生が規範を用意しているところですから、落としてしまえば大きな差が付いてしまいます。
 
6月28日
 
規範は、当てはめの中で判例らしい言い回しを使った、というだけでは足りません。当てはめに入る前に、一般論として、違法性の承継を認めるか否かを判断する基準を明示する必要があるのです。受かりにくい人は、規範を明示しない書き方がクセになっていたりするので、意識して修正する必要があります。
 
6月28日
 
違法性の承継を肯定するか、否定するか、その結論は重要ではありません。重要なことは、積極の事実、消極の事実を整理して答案に示せたかどうかです。参考答案は、単なる事実列挙ですが、多くの人がこの程度の事実摘示もできていないのが現状です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月28日
 
参考答案は違法性の承継を肯定していますが、逆の結論にしたければ、「確かに」と「しかし」で摘示された事実を逆に配置すればよい。ふざけているように思うかもしれませんが、今の司法試験は、そういうものなのです。これを緻密に検討しようとする時間など、初めからありません。
 
2016年06月29日(水)3tweets
 
6月29日
『2016年06月28日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43950338.html
 
6月29日
司法論文行政法設問4。誰もが、現場思考の問題と考えたでしょう。それは正しい。ただ、現場思考とは何を意味するか、ということが重要です。それは、「自分の言葉で考えて書く」ことではなく、「問題文を書き写す順序を考える」ということです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
6月29日
参考答案は、ほとんど問題文を書き写しているだけです。「自分の言葉」はどこにもありません。しかし、現場で実際に書こうとすると、この程度すら書けない。書き写すだけで精一杯なのです。「自分の言葉」で書こうなどと思ってはいけないのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/43811402.html
 
2016年06月30日(木)4tweets
 
6月30日
『2016年06月29日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/43954180.html
 
6月30日
予備論文対策。対策に悩むのは、一般教養でしょう。重要なことは、「できる限り問題文の言葉をそのまま使う」ということです。「一般教養は自分の考えを書くものだ」という誤解があるようですが、単なる現代文の記述式だと思うと、比較的容易に得点できるようになります。
 
6月30日
方法論としても、大学入試における現代文のものがそのまま使えます。下線部から指示語を遡って該当部分を言い換える。対義語を用いて言い換える。といったテクニックです。ちょっとした空き時間に、大学入試の現代文の方法論をまとめたような参考書に、目を通してみるのもよいでしょう。
 
6月30日
予備の一般教養で、「できる限り問題文の言葉をそのまま使う」のは、客観的に採点するためには、そのような採点基準になるからです。実は、法律科目でも、同じことがいえます。「規範と事実の書写し」が有効なのは、その摘示自体が配点項目になっているからだ、というのが、当サイトの仮説です。

戻る