2016年8月のツイートまとめ

2016年08月01日(月)7 tweets
 
8月1日
『2016年07月31日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440618044.html
 
8月1日
司法論文刑法。乙丙の住居侵入罪については、参考答案くらい簡潔でいいように思います。丁の罪責において、「侵入」の意義も含めて丁寧に議論するからです。本問では他に書くことが多いのですから、メリハリを付けるべきでしょう。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
8月1日
また、本問では、甲乙の殺意の有無の検討は必要ありません。「痛めつけて」という問題文の文言は、殺意がないことを表す用語だからです。ですから、殺意がないことを前提に解答すれば足ります。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
8月1日
「弁護人は,被告人には被害者を痛めつける意図はあったが,殺意はなかったと主張している。」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=34060…
 
8月1日
「被告人は,捜査段階においては確定的殺意を認める供述をしていたものの,当公判廷においては,被害者を痛めつけようと思っただけで殺す気はなかったと供述している」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=5656…
 
8月1日
「所論は,被告人は,金を奪えなかった腹いせに,金を出さなかった張本人であるB支店長を痛めつけてやろうという感情を持ったとしても,死んでもかまわないとの考えはなかったので,殺害の動機は形成されなかった,という。」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=4620…
 
8月1日
「殺意をもって」と書いてあるのに、殺意の認定を検討することが無意味なことは、誰でもわかります。「痛めつけよう」と書いてある場合も、同様なのです。これは、ある種の受験テクニックです。知らないと、どんなに「本質」を理解していても、余事記載をすることになってしまいます。
 
2016年08月02日(火)4 tweets
 
8月2日
『2016年08月01日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440650323.html
 
8月2日
司法論文刑法。参考答案は、乙の正犯性について触れていません。明らかな直接正犯なので、重要性が低いという判断です。ただ、書けるなら、「甲の命令には逆らえないと考えるとともに,分け前も欲しい」という部分を摘示したいところです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
8月2日
また、乙の強盗致死罪を検討する際に、機会説を論じる必要はありません。Vの死は強盗の手段である暴行によって生じているからです。機会説を論じる必要があるのは、強盗の手段である暴行・脅迫以外の原因によって致死傷の結果が生じた場合です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
8月2日
解答に影響しませんが、本問の事案はかなり不自然と感じます。乙は「甲の命令に逆らえない」と思っていたのに、中止命令は無視している。それだけでなく、ニュースやVの知人であるAから、甲は犯行を知るはずなのに、平然と嘘の報告をしている。これが供述調書なら、信用性に疑問が生じ得るでしょう。
 
2016年08月03日(水)2 tweets
 
8月3日
『2016年08月02日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440683202.html
 
8月3日
『平成28年予備試験論文式刑法参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440704677.html
 
2016年08月04日(木)6 tweets
 
8月4日
『2016年08月03日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440715834.html
 
8月4日
司法論文刑法。参考答案は、丁の脅迫の認定について、事実を書き写しただけで結論を出しています。しかし、本来であれば、「脅迫といえるか」という問題と、「反抗を抑圧する程度のものか」は、分けて検討すべきです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
8月4日
脅迫とは害悪の告知をいいますが、丁の発言は、「暗証番号を教えろ」というに過ぎません。何ら「害悪の告知」がないのではないか。このことは、乙が「怪我をしたくなければ」と言っていたことと比較すると、問題性がよく理解できるでしょう。状況から、黙示の害悪告知を認定する必要があるのです。
 
8月4日
反抗抑圧との関係で、周囲の状況や被害者の主観を考慮できるか。行為の性質のみから客観的に判断すべきとする立場からは、反抗抑圧に足りない脅迫とみる余地がある。その場合には、新たな脅迫は反抗抑圧するに足りないものでもよいか、がさらに問題となるわけです。
 
8月4日
新たな脅迫は反抗抑圧するに足りないものでもよいとする理論は、通常、先行する暴行脅迫をした者が事後に財物奪取意思を生じた場合を想定します。しかし、本問の丁は、先行する暴行脅迫をしていません。それでも、上記理論が妥当するといえるのか。同理論の根拠に遡って検討する必要があるのです。
 
8月4日
しかし、実際の試験現場では、ほとんどの人が、ここまで整理して論述することはできません。ですから、参考答案程度に事実を書き写して結論を出しておけば、合格ラインに達してしまう。このカラクリを知っておくことが重要です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439118322.html
 
2016年08月05日(金)5 tweets
 
8月5日
『2016年08月04日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440748690.html
 
8月5日
司法論文刑法。合否に関係がなく、絶対に現場で考えてはいけない応用論点が、暗証番号の聞出しと、金庫の場所及び鍵の位置の聞出しの論理的整合性です。前者について2項強盗既遂となるのなら、後者も同様に考えるべきではないか。これを現場で悩んだ人は、とても優秀な「受かりにくい人」です。
 
8月5日
仮に、金庫の場所と鍵の位置の聞出しの時点で2項強盗既遂となれば、その後に加功した丙はどうなるのか。さらにややこしい問題が生じます。暇な時間に趣味的に考えるならよいのですが、試験の現場で考えるようなことではありません。
 
8月5日
同様に、丙と丁について、Vを救助しなかった不作為による強盗致死も、検討してはいけません。純粋に理論的に考えれば成立の余地はあるのでしょうが、「○○の時点で救助されていれば、Vは救命されていた」などの記述がないことから、不作為犯が問われているようには見えません。
 
8月5日
他方で、ちょっと気になるのは、乙の甲に対する横領です。問題文には、乙が事後報告をした旨の記述や「自分のものとした」という記述がわざわざ書いてある。これは、着服横領を示唆する書き方です。出題趣旨に載ってくる可能性はあるでしょう。ですが、実戦的には触れない方が無難なように思います。
 
2016年08月06日(土)2 tweets
 
8月6日
『2016年08月05日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440780041.html
 
8月6日
『平成28年予備試験論文式刑訴法参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440803611.html
 
2016年08月07日(日)4 tweets
 
8月7日
『2016年08月06日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440808516.html
 
8月7日
司法論文刑法。本問では合否には影響しないでしょうが、知っておきたいのは、代理占有は移転罪の占有に当たらないということです。本問で言えば、X銀行は現金の占有の主体ではない。ですから、丁がATMから引き出した行為について、「X銀行に対する窃盗」とするのは、誤りなのです。
 
8月7日
では、誰が占有の主体かといえば、X銀行Y支店の管理者である支店長です。このことは、少しマニアックだと思うかもしれませんが、かつての旧司法試験時代の口述試験では、比較的よく問われていました。現在でも、予備試験の口述試験対策用の知識として、予備受験者は知っておいて損はないでしょう。
 
8月7日
合格後の修習用の知識としても、それなりに重要です。犯罪事実の記載の仕方として、法人所有の場合には、自然人の管理者を摘示しなければなりません。例えば、株式会社所有の場合には、「代表取締役○○の管理に係る」とします。うっかりしやすいところなので、注意が必要です。
 
2016年08月08日(月)4 tweets
 
8月8日
『2016年08月07日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440843626.html
 
8月8日
「確認試験は、①…各法科大学院が進級時に学生の到達度等を確認し、その後の学修指導等に活用…②学生が…学修到達度を把握…その後の学修の進め方等の判断材料として活用…の2点を目的」
共通到達度確認試験第3回試行試験の基本的方向性について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
8月8日
「「法曹養成制度改革の更なる推進について…」では、将来的に確認試験の結果に応じて司法試験短答式試験を免除することを想定することについても記載されており、本格実施の際にはこのことについても十分配慮する」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
8月8日
「将来的な司法試験短答式試験の免除の可能性も想定しつつ、司法試験短答式試験の合格状況も含めた相関関係を分析できるようにすることが必要である。」
共通到達度確認試験第3回試行試験の基本的方向性
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
2016年08月09日(火)5 tweets
 
8月9日
『2016年08月08日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440874595.html
 
8月9日
「受験者情報については、試行試験であることを考慮し、今年度の試行結果は確認試験の結果分析や学修指導のために使用することにとどめるものとし、進級判定等に利用されることがないよう十分な管理を行うものとする。」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
8月9日
「受験者情報の各法科大学院への伝達については、これを進級判定等に利用するとの誤解を学生に与えないようにするため、第2回試行試験と同様に、4月以降に行うこととする。」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
8月9日
「受験者が試験結果をその後の学修に適切に活用していくためには、全国レベルにおける得点分布等とともに、各設問の難易度、出題趣旨や背景を含めた問題の解答・解説についても早期に公表していくことが必要であると考えられる。」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
8月9日
「解答・解説については、受験者の復習に資するため、試験当日に公表するものとする。また、学修定着度に課題がある学生についても、適切な形で復習が可能となる解説があることが望ましい。」
共通到達度確認試験第3回試行試験の基本的方向性
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_01.pdf…
 
2016年08月10日(水)4 tweets
 
8月10日
『2016年08月09日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440904140.html
 
8月10日
司法論文刑訴。設問1では、どこまでが職務質問(行政警察活動)で、どこからが捜査(司法警察活動)かが、理論的には問題となり得ます。しかし、ほとんど得点には影響しないでしょう。参考答案では判断枠組みに差がないことを示すにとどめています。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439234942.html
 
8月10日
設問1で重要なことは、理論的なことではなく、消極・積極両面の事実をどれだけ摘示できたかです。「本件では甲の意思に反する強い制止はされていないので」などと抽象的に書いても、点数は付きません。そのような評価を基礎付ける具体的事実を、摘示する(答案に書き写す)必要があるのです。
 
8月10日
事実を摘示した上で、各事実に評価を加えて結論を導くのが理想的です。しかし、現実には、事実の評価を考えているうちに事実を摘示する余裕がなくなって、事実摘示すらできていない答案が続出するので、参考答案レベルで合格ラインを超えるのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439234942.html
 
2016年08月11日(木)4 tweets
 
8月11日
『2016年08月10日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440933056.html
 
8月11日
司法論文刑訴設問2。接見指定の可否の当てはめで、弁解録取手続中だから「現に取調べ中である」とした人が多いようです。しかし、これは誤りです。弁解録取(203条1項、204条1項、205条1項)と取調べ(198条1項)は異なる手続だからです。ただ、意外とこの程度のミスは許されます。
 
8月11日
弁解録取には、取調べに必要な供述拒否権の告知(198条2項)が原則不要であるというのが、重要な差異です。本問との関係では、弁解録取は時間制限の中で行わなければならないから、通常の取調べと比較しても中断による捜査の支障が大きいということが指摘できるとよいでしょう。
 
8月11日
②は、既にした接見指定の日時の変更である点がポイントです。ただ、多くの人が、単純な指定と捉えて①と同じ基準をそのまま当てはめたようです。実戦的には、それで全く問題がないでしょう。気付いた人も、参考答案程度で深入りしないのが賢明です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439234942.html
 
2016年08月12日(金)2 tweets
 
8月12日
『2016年08月11日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440961763.html
 
8月12日
『平成28年予備試験論文式民事実務基礎参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440967028.html
 
2016年08月13日(土)5 tweets
 
8月13日
『2016年08月12日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/440991027.html
 
8月13日
司法論文刑訴設問3。要証事実は、「乙に覚せい剤の認識があったこと」ではなく、「乙がそのような発言をしたこと」とするのが正確です。③の証言が推認させるのは、そのような乙の発言があったという間接事実であり、その間接事実が、さらに乙の覚せい剤の認識を推認させるという関係にあるからです。
 
8月13日
「被告人Aが、電産社宅で行われた幹部教育の席上「Gはもう殺してもいいやつだな」と言つた旨のYの検察官に対する供述調書における供述記載…は、被告人Aが右のような内容の発言をしたこと自体を要証事実としている」
白鳥事件
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56987…
 
8月13日
「被告人Aが右のような内容の発言をしたことは、Yの自ら直接知覚したところであり、伝聞供述であるとは言えず、同証拠は刑訴三二一条一項二号によつて証拠能力がある」
白鳥事件
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56987…
 
8月13日
なお、厳密には、乙の発言の存在だけからは、「何らかの法禁物であるとの認識」程度しか推認できませんが、他の証拠と総合して乙の覚せい剤の認識を推認させる間接事実の1つですから、「発言の存在自体から、乙の覚せい剤の認識を推認し得る」と書いても、問題はないと思います。
 
2016年08月14日(日)2 tweets
 
8月14日
『2016年08月13日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441017174.html
 
8月14日
法学未修者教育の現状とこれまで取組について
中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会(第75回)H28.7.25
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1374903_05.pdf…
 
2016年08月15日(月)5 tweets
 
8月15日
『2016年08月14日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441043529.html
 
8月15日
司法論文刑訴設問4。316条の32第1項との関係を検討した人もいたかもしれませんが、これは証拠調べに関する規定ですから、本問とは直接関係はありません。このことは、最決平27・5・25の小貫芳信補足意見が指摘しています。当サイト作成の最新判例ノートでも、触れているところです。
 
8月15日
「刑訴法が…証拠調べ請求については「やむを得ない事由によって」公判前整理手続において請求できなかったものに制限しているが,あえて主張については制限する規定を置いておらず,両者を区別していることが明らかである。」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85122…
 
8月15日
「このような刑訴法の規定によれば,新たな主張に沿った被告人の公判における供述について,公判前整理手続において主張しなかったことのみを理由として,証拠調べ請求と同様の制限を認めるのは困難であろう。」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85122…
 
8月15日
「刑訴法316条の32第1項は、証拠調べを制限する規定であり、主張を制限する規定ではない。本判例に付された小貫芳信補足意見は、以下のように述べている。」
司法試験平成27年最新判例ノート
http://www.amazon.co.jp/dp/B01BAWSICI
 
2016年08月16日(火)2 tweets
 
8月16日
『2016年08月15日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441074066.html
 
8月16日
『平成28年予備試験論文式刑事実務基礎参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441096818.html
 
2016年08月17日(水)8 tweets
 
8月17日
『2016年08月16日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441102072.html
 
8月17日
司法論文刑訴設問4。最決平27・5・25の事案は、公判前整理手続では、「自宅ないしその付近」とされ、それ以上求釈明もされなかったところ、公判廷では、自宅でテレビを見て、その後知人方ヘ行った旨の供述をしたというものです。ですから、公判廷供述は、単に主張が詳細になったに過ぎません。
 
8月17日
しかし、本問の場合、公判前整理手続では、求釈明に答えて、「丙方にいた」と釈明してしまっているので、公判廷における「戊方にいた」は、単に主張が詳細になったのではなく、異なる内容になってしまっています。これを捉えて、判例とは異なり、主張を認めないとしてもよいでしょう。
 
8月17日
もっとも、本問における釈明の内容は、丙方の場所すらわからないというもので、「丙方」以外の部分は極めて曖昧です。実質的に異なるのは、「丙方」と「戊方」だけで、その変遷につき、後から届いた手紙で思い出したという一応の言い分がある。この点は、主張を認める方向の要素です。
 
8月17日
そもそも、アリバイの主張というのは、「乙方にいない」ことが重要で、検察官の「乙方で譲渡した」という立証を妨げれば足りるわけですから、「丙方」か「戊方」かは、あまり重要でないともいえます。現に、整理された争点では、「丙方にいたか」ではなく「乙方において」とされているのです。
 
8月17日
以上のことからすれば、本問でも、主張は許されると考えることは可能でしょう。参考答案は、各考慮要素を積極・消極に整理して列挙しただけですが、見た目ほど簡単ではありません。ここまで現場で整理できた人は、少ないでしょう。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439234942.html
 
8月17日
ここまで説明したことを理解した上で改めて参考答案を読むと、単なる事実の列挙に意味があるように見えるでしょう。これが「書写し」のカラクリです。考査委員は解答を理解しているので、事実列挙を見て善解しやすい。書く側があまり理解せずに列挙していても、意外と点が付くのです。
 
8月17日
逆に、不用意に「自分の言葉」を書いてしまうと、わかっていないことがバレてしまう。現場で一生懸命「自分の言葉」を考えるだけで、時間のロスになるのに、さらに損をする。結果として、単に事実を書き写す答案より低い評価になってしまうわけですね。「正直者がバカを見る」構造が、ここにあります。
 
2016年08月18日(木)4 tweets
 
8月18日
『2016年08月17日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441130716.html
 
8月18日
予備論文憲法。「自らの方針に沿わない見解を表明させる」という文言を見て、19条ではなく、消極的表現の自由として21条1項を指している、と考えた人は、判例の学習が不十分です。判例知識は、人権選択の場面でも役に立つのです。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351…
 
8月18日
「個人の歴史観ないし世界観に反する特定の思想の表明に係る行為そのものではないとはいえ,個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められることとなり…その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる」
 
8月18日
本問は、判例引用部分前段の「歴史観ないし世界観に反する特定の思想の表明に係る行為そのもの」にも当たりそうな事案です。ですから、原告側はこれを主張していくのが本筋ということになるわけです。参考答案は、その筋で書いています。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439992267.html
 
2016年08月19日(金)4 tweets
 
8月19日
『2016年08月18日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441158632.html
 
8月19日
予備論文憲法。19条の問題とする場合、安易に制約を認めて目的・手段審査に持ち込むのは、本来であれば、それだけで基本的な知識・理解を欠いているものとして、大きな減点となるはずです。ただ、多くの人がそのように書いてしまっているようなので、今回は致命傷にはならないかもしれません。
 
8月19日
19条で書く場合には、まず、絶対禁止の場合に当たるか、そうでないとしても、間接的な制約とならないか、という二段階の判断枠組みを採るのが、判例の立場です。判例を知っている人でも、後者しか検討しない人が多いので、注意が必要です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351…
 
8月19日
憲法をよく勉強しているという人でも、学説にはやたらと詳しいのに、判例は原文すら読んでいない、という人が多いです。「○○先生の連載」などを読む前に、判例の原文を読んで、その判断枠組みを理解すべきです。論文試験は、それだけで解けます。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439992267.html
 
2016年08月20日(土)1 tweet
 
8月20日
『2016年08月19日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441186992.html
 
2016年08月21日(日)2 tweets
 
8月21日
『2016年08月20日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441212798.html
 
8月21日
『平成28年予備試験論文式一般教養の解法と参考答案』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441216320.html
 
2016年08月22日(月)8 tweets
 
8月22日
『2016年08月21日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441239480.html
 
8月22日
予備論文憲法。君が代不起立不斉唱事件判例は、直接的制約の判断枠組みを一般論として提示していないので、これを理解していない人が多いように思います。しかし、須藤正彦補足意見を読んだ上で改めて多数意見を読めば、その判断枠組みが明確に理解できるはずです。
 
8月22日
須藤正彦補足意見
「特定の歴史観ないし世界観…又はその否定と不可分に結び付く行為の強制も,特定の思想又はその否定を外部に表明する行為であると評価される行動や特定の思想の有無についての告白の強制も,いずれも許されない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351…
 
8月22日
多数意見
「起立斉唱行為は,その性質の点から見て,上告人の有する歴史観ないし世界観を否定することと不可分に結び付くものとはいえず…本件職務命令は,上記の歴史観ないし世界観それ自体を否定するものということはできない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351…
 
8月22日
多数意見
「上記の起立斉唱行為は,その外部からの認識という点から見ても,特定の思想又はこれに反する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難であり,職務上の命令に従ってこのような行為が行われる場合には,上記のように評価することは一層困難である」
 
8月22日
多数意見
「本件職務命令は…特定の思想の有無について告白することを強要するものということもできない…個人の思想及び良心の自由を直ちに制約するものと認めることはできない」
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351…
 
8月22日
「特定の世界観等又はその否定と不可分に結び付く行為」とは、踏み絵のようなもので、本問はこれに当たらないでしょう。「特定の思想の有無についての告白」にも当たらない。ですから、「特定の思想又はその否定を外部に表明する行為であると評価される行動」に当たるかが主に問題となるのです。
 
8月22日
このような判例の規範について、受験生の多くが知らない、というのが現状です。予備校等の答練でも、自分勝手に規範定立して当てはめるだけの解答例が示されていたりするので、学習する機会がないのですね。そのために、判例の規範と当てはまる事実を「書き写す」だけで、上位になってしまうのです。
 
2016年08月23日(火)7 tweets
 
8月23日
『2016年08月22日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441270682.html
 
8月23日
予備論文憲法。法人には思想・良心の自由が認められないはずなので、消極的表現の自由として21条1項で書いた、という人は、「学説重視。判例軽視。」の憲法で点を取りにくいタイプの人です。本問では、その点は学説に立つ場合に生じる隠れた応用論点ですが、実戦的には無視するのが賢明です。
 
8月23日
判例は、ポストノーティス命令事件において、「反省等の意思表明を要求」していないという理由で19条違反の主張を排斥していますから、医療法人にも思想・良心の自由が認められることを当然の前提としていると考えるのが自然です。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63003…
 
8月23日
他方、学説では、法人には思想・良心の自由が認められないとしつつ、信教の自由は認めるのが通説です。これはどう整合的に理解できるのか。学説で書く場合には、この点を考える必要があるのです。信教の自由には、外部的行為の自由としての宗教活動の自由を含むから、というのが、1つの解答です。
 
8月23日
すなわち、法人には「内心」を観念できないから、専ら内心の自由として理解されてきた思想・良心の自由は性質上認められないが、信教の自由は内心以外の外部的行為の自由も含むから、その点について法人にも認められるのだ、という理解です。しかし、これは現在でも維持し得る考え方なのでしょうか。
 
8月23日
思想・良心の自由は、君が代不起立不斉唱事件判例の登場によって、「専ら内心の自由」とはいえなくなってしまいました。そうすると、外部的行為の制約が間接的な制約となり得る場面では、学説の理解によっても、法人に思想・良心の自由が認められるという帰結になる。これが、隠れた応用論点です。
 
8月23日
しかし、これを現場で考えるのは、時間のロスでしかありません。仮に書いても、ほとんど加点にならない。結果的に、参考答案のように、判例の規範と当てはまる事実を整理して書き写しただけの、「ふざけたような答案」が合格答案になるのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439992267.html
 
2016年08月24日(水)5 tweets
 
8月24日
『2016年08月23日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441299148.html
 
8月24日
予備論文憲法。参考答案をみて、「思想・良心の自由の場面では制約を認めるのに、結社の自由の場面では制約を認めないのは変ではないか。」と気付いた人は、鋭い。その点は、「違憲な条件の法理」に対する批判として指摘されている点だからです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/439992267.html
 
8月24日
参考答案のような構成を採るには、「助成金が常にもらえるという状況はベースラインとして認められないが、思想・良心の自由を侵害する条件で助成することが許されないことはベースラインとして認められる。」という前提が必要です。本当にそうなのか。その曖昧さが、批判されているというわけです。
 
8月24日
本問で14条を考えた人も、理論的には鋭い。「違憲な条件の法理」は、「合理的理由のない条件による区別取扱い」という14条の枠組みを経由せずに、端的に憲法問題とする点に意味があるとされるからです。ただ、本問では、問題文で人権選択が指定されているので、14条は解答にならないでしょう。
 
8月24日
なお、学説上、助成を論じる場合の典型事例は、芸術に対する助成です。これは、司法試験サンプル問題で出題されています。論点として知っていた人は、「助成は21条」と決め付けてしまったかもしれません。事案の違いに留意すべきです。
http://www.moj.go.jp/content/000006341.pdf…
 
2016年08月25日(木)5 tweets
 
8月25日
『2016年08月24日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441327281.html
 
8月25日
予備論文行政法。最判平27・3・3を意識して作られた問題です。このような問題では、「必ずしも最新判例を知らなくても、このように現場思考すれば解けますよ。だから最新判例なんて知らなくても大丈夫です。」というような解説がされがちです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/440120853.html
 
8月25日
しかし、実際には、限られた時間でそのような解説どおりの現場思考をすることは、ほとんど不可能です。現場では、色々な考え方を思い付きます。その思い浮かんだうちの、どれが正解なのかということは、現場ではわかりません。場合によっては、全く的外れなことを大展開するおそれもあるのです。
 
8月25日
最新判例は、軽く一読しておくだけでも、大体の方向性は頭に残るものです。本問の場合でも、最判平27・3・3を一度でも読んでいれば、大体どのようなことを論じればいいか、問題の所在はわかるはずです。まったく手探りで現場思考するのと比べると、比較にならないくらい有利です。
 
8月25日
ですから、最新判例は、直前に軽く一読する程度でもよいので、確認しておくべきなのです。できれば、一般論を示した判例については、規範のキーワードくらいまでは確認しておく。「知らなくても現場思考で解けるから勉強しなくてよい。」という指導は、真に受けない方がよいと思います。
 
2016年08月26日(金)3 tweets
 
8月26日
『2016年08月25日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441355584.html
 
8月26日
予備論文民法。個別の請求について、考えられる法律構成は複数あるのですが、注意したいのは、全体としてみたときに辻褄があっているかです。例えば、Dの請求を全て認めてしまうと、Bの不履行がなかったときよりも、Dが得をすることになる。そのようなおかしなことにならないか、確認すべきです。
 
8月26日
後は、答案のスタイルです。このような問題では、結論だけ箇条書きのように書くスタイルの答案が増えますが、そのような雑な答案は、低い評価となります。規範→当てはめのスタイルを守って丁寧に書く。これはいきなりできるようにはなりませんから、普段の演習で書き方に慣れておく必要があります。
 
2016年08月27日(土)1 tweet
 
8月27日
『2016年08月26日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441383259.html
 
2016年08月28日(日)4 tweets
 
8月28日
『2016年08月27日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441409762.html
 
8月28日
予備論文商法。商法は「マイナー論点もあるが、それは無視して基本論点をしっかり拾っておけば上位になる。」というのが、司法試験と共通した傾向です。マイナー論点まで書こうとして、規範の明示と事実の摘示を怠れば、かえって評価を下げるのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/440483752.html
 
8月28日
参考答案は、メインの論点だけを拾い、規範を明示した上で問題文の事実を書き写して当てはめるスタイルを貫いています。このスタイルを守っていれば、まず落ちません。ただ、そのためには、規範を正確に覚える事前準備と、現場で問題文を書き写して書き切る筆力が必要になります。
 
8月28日
今年は、最新判例や改正事項が出題されました。最新判例も、一般論を示したようなものは、できる限り規範を確認しておくべきです。改正事項に絡む論点は、当サイトの定義趣旨論証集に収録してある程度で十分でしょう。
https://www.amazon.co.jp/dp/B015ZS7KP4
 
2016年08月29日(月)3 tweets
 
8月29日
『2016年08月28日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441433229.html
 
8月29日
予備論文刑法。「甲宅は現『住』建造物である。」と簡単に認定するのは誤りです。甲宅は、犯人である甲が1人で暮らしていたので、現『住』建造物には当たらないからです。現に人(B)がいる場合ですから、現『在』建造物とするのが正確です。
http://studyweb5.seesaa.net/article/440704677.html
 
8月29日
115条によって他人所有扱いとなることは、平成23年にも問われています。落とすと、それなりに差が付くでしょう。なお、115条を落として未遂とする場合、「自己所有非現住建造物等放火未遂罪」を成立させるのは罪刑法定主義違反(112条)となりますので気を付けたいところです。
 
2016年08月30日(火)5 tweets
 
8月30日
『2016年08月29日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441462788.html
 
8月30日
予備論文刑法。参考答案は、つなぎの文章や接続詞、規範の理由付けなどはほとんどありません。規範の明示と問題文の事実の摘示に徹しています。配点の高いものだけを書こうとすると、こうなるのです。
http://studyweb5.seesaa.net/article/440704677.html
 
8月30日
錯誤の所では、多くの人が故意責任の本質に遡って論証します。これに一定の配点があることは確かです。しかし、それを書くことによって、より配点の大きい規範の明示と事実の摘示が犠牲になる。時間と紙幅が限られている前提では、何かを書くことは、同時に何かを書かないことを意味します。
 
8月30日
また、予備校答練等の添削では、「もっと接続詞を使いましょう。」とか「読みやすいです。GOOD!」などのコメントが付けられがちです。これは、内容的なコメントは裏を取る作業が必要なので、気楽に付けられるコメントが好まれるためです。その結果、形式的な指摘が過剰になされる傾向が生じます。
 
8月30日
同様に、いきなり規範を明示すると、「唐突です。」などとコメントが付けられます。こういった添削を真に受けると、読みやすい接続詞として何が適切なのかを悩んだり、ほとんど点にならないつなぎの文章を考えて時間をロスしたりする。そういったものは思い切って無視するのが賢明です。
 
2016年08月31日(水)5 tweets
 
8月31日
『2016年08月30日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報|http://studyweb5.seesaa.net/article/441492114.html
 
8月31日
予備論文刑訴。先行する勾留の期間について、多くの人が、正確に数えることなく20日間と決め打ちしただろうと思います。本問の場合には、それでよかった。ただ、問題によっては、きちんと数えることができないと困る場合もあり得ます。一度、きちんと確認しておくべきです。
 
8月31日
本問で、先行する勾留は、3月25日から4月13日までなされています。月をまたいでいるので、3月に31日があるか。これを、まず現場で判断する必要があるのです。とっさに現場で判断しろと言われると、わからなくなる人も結構いるでしょう。正解は、3月には31日があります。
 
8月31日
その上で、勾留初日を参入するか。刑訴法55条1項本文によれば、初日不算入となるはずです。指折り数えてみればわかりますが、それだと19日間になってしまう。実は、解釈上、身柄拘束の場合には、初日を参入するとされているのです。ですから、勾留期間はきっちり20日間になるというわけです。
 
8月31日
暦上、31日がないのは、2月、4月、6月、9月、11月です。2月をまたぐ場合には、厳密にはうるう年かどうかも関係してきます。さすがに、うるう年を問う問題は出ないでしょうが、社会常識として、31日の有無くらいは知っておきましょう。実務では、利息の日割り計算等でも使う知識です。

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