1.平成28年予備試験口述試験の結果が公表されました。合格点は、これまでと同じ119点。最終合格者数は、405人でした。昨年の最終合格者数394人と比べると、11人の増加ということになります。 最終合格者数が400人を上回ったのは、今年が初めてのことです。
2.今年の口述試験の受験者合格率は、405÷429≒94.40%でした。以下は、これまでの推移をまとめたものです。
年 (平成) |
受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
前年比 |
23 | 122 | 116 | 95.08% | --- |
24 | 233 | 219 | 93.99% | -1.09% |
25 | 379 | 351 | 92.61% | -1.38% |
26 | 391 | 356 | 91.04% | -1.57% |
27 | 427 | 394 | 92.27% | +1.23% |
28 | 429 | 405 | 94.40% | +2.13% |
平成26年まで低下を続けてきた合格率が、昨年は上昇に転じ、今年は増加幅を広げながら上昇を続けました。以前にも説明したとおり、口述試験の理論的な合格率は、93.75%です(「平成28年予備試験論文式試験の結果について(4)」)。今年は、それをやや上回る数字になっています。ですから、当面は58点以下が付く可能性を考える必要はないでしょう。
2.以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。
年 (平成) |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 以降 |
23 | 96.0% | 94.2% | 87.5% | 100% |
24 | 99.2% | 91.8% | 81.8% | 83.3% |
25 | 95.0% | 93.4% | 75.8% | 64.2% |
26 | 92.6% | 83.9% | 86.2% | 87.5% |
27 | 93.0% | 92.0% | 83.8% | 88.2% |
28 | 95.4% | 89.1% | 91.3% | 88.8% |
確立している傾向は、20代が常にトップだということです。口述も、基本的には若手有利といえるでしょう。もっとも、30代以降になると、年によってバラ付きが出てきます。また、年代ごとの合格率の差も、そこまで大きくはありません。最も合格率の高い20代でも、今年は16人落ちています。ですから、論文のような圧倒的な差があるというわけではありません。その意味では、年配者だからといって、特別な対策を考える必要はないだろうと思います。
3.以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。
年 (平成) |
最終合格者 平均年齢 |
23 | 31.57 |
24 | 30.31 |
25 | 27.66 |
26 | 27.21 |
27 | 27.36 |
28 | 26.16 |
平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、昨年までは横ばい。そして、今年はさらに1歳以上若年化しています。平成23年及び平成24年は、メインの受験生が旧司法試験組でした。それが、平成25年からロー生が本格的に参入するようになり、劇的に若年化が進んだのです。では、今年の若年化は、何が原因なのか。それは、大学生の増加です。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中及び法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。
年 (平成) |
大学在学中 | 法科大学院在学中 |
23 | 33.6% | 5.1% |
24 | 31.5% | 27.8% |
25 | 30.4% | 46.7% |
26 | 32.0% | 47.1% |
27 | 39.5% | 35.0% |
28 | 44.1% | 38.0% |
大学在学中の合格者の割合が、ついに4割を超えてきました。合格者の中核層がロー生から大学生に入れ替わったことで、更なる若年化が生じているのです。法科大学院の定員削減の影響で、ロー生の母数が減ってきていることも、この傾向に拍車を掛けています。そして、大学在学中とロー在学中を合わせると、82.1%。8割以上を、大学生とロー生が占めています。これが、現在の予備試験の実態です。