2018年4月のツイートまとめ

2018年04月01日(日)6 tweets
4月1日
『2018年03月31日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458513154.html

4月1日
「不良に該当する答案の例 株主総会の決議の取消事由,無効事由及び不存在事由を正しく理解せず,又は誤解しており,適切に区別することができていないもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月1日
「不良に該当する答案の例 取消事由に当たるなどと論ずるものの,具体的に会社法第831条第1項第1号から第3号までの取消事由のいずれに当たるかについて言及していないもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月1日
昨年の司法論文商法設問2。株主総会決議の瑕疵に関する出題ですから、まずは、取消事由、無効事由又は不存在事由のいずれであるのか、取消事由であれば831条1項各号のどれに当たるのか、明示しなければなりません。これができなければ不良。合否を分けるのは、このようなごく初歩的なことです。

4月1日
答案では冒頭で、「…から、決議方法の定款違反(831条1項1号)があるという主張が考えられる。」(下記URLの参考答案参照)などと簡潔に明示します。演習をこなせば、考えなくてもそう書くクセが自然に付くところです。 https://study.web5.jp/170606a.htm

4月1日
無効事由と取消事由の区別は、事前に典型例を覚えておき、現場で830条2項と831条1項各号を引いて、文言を見て再度確認する。不存在事由は、定義も事前に覚えておくべきです。当サイトの定義趣旨論証集でも、これはAランクになっています。 https://www.amazon.co.jp/dp/B015ZS7KP4

2018年04月02日(月)8 tweets
4月2日
『2018年04月01日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458535254.html

4月2日
このような言説に接すると、戦慄を覚えます。この方は、点数に影響しないとわかっていて、字数を増やしている。それも、最も字数を必要とする科目である刑法においてです。そのことで、特に不利になるとも思っていない。そして、一桁の順位で合格している。これが、最近の若手上位者の「実力」です。

4月2日
多くの人は、「得点に影響しないのに字数を増やすなんてただのロスじゃないか!」と感じるでしょう。それは凡人の正しい感覚です。若手上位者は、「こんなのロスでもなんでもないでしょ。だって別に時間が足りなくなったりしないし。」と考えて、自分の好みを優先して平然と上位で受かっていくのです。

4月2日
「こんなもん書くくらいなら内容を充実させろよ!」と思うかもしれませんが、「別に一桁で合格するような内容を書いても時間が余るから好みで書いただけですよ。これ以上何を充実させ…」と言われれば、黙るしかありません。このようなことを可能にするのは、圧倒的な「文字を書く速さ」です。

4月2日
規範も事実も理由付けも評価も書いて、応用論点にも触れて、それでも時間が余って困るから、「故意」の文字数でも増やしておくか。圧倒的に字を書くのが速い上位若手は、こんな感覚で書いている。時間制限なしで書いているかのようです。問題は、これを普通の人が真似をしてよいか、ということです。

4月2日
「理由付けや事実の評価も必須」という指導は、このような若手の上位合格者の感覚でなされています。若手の上位合格者なら、規範も事実も理由付けも評価も書いて、応用論点も現場で考えて書いて、さて、何を書こうか?ということになる。その感覚で、「理由付けや評価を書かない。」はあり得ません。

4月2日
これを凡人が真似すれば、まとめきれず、肝心の規範の明示や事実の摘示すらできなくなるでしょう。理由付けや評価、応用論点は、時間内に書ける実力(筆力)のある人だけが、上位を狙うために書けばよい。普通の人は、まず基本論点の規範と事実を時間内に書けるようにすべきなのです。

4月2日
ちなみに、この方は週に最大11通答案を書いていたそうです。これは、知識・理解の確認だけでなく、「ひたすら文字を速く書く特訓」を繰り返していたことを意味します。普通の人は、これがなかなかできません。「【勉強法】受験生時代の勉強法(後編)」 https://ameblo.jp/ywagaroot/entry-12305644042.html

2018年04月03日(火)9 tweets
4月3日
『2018年04月02日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458555231.html

4月3日
「不良に該当する答案の例 乙社は書面による議決権行使に関する事項を定めなければならないわけではない(会社法第298条第2項本文参照)にもかかわらず…株主総会の招集の手続が法令に違反するとするもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月3日
昨年の司法論文商法設問2。問題文10で「株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法によって議決権を行使することができることとする旨は記載されていなかった。」という記述があります。これは、書面投票等ができると代理人が出席する展開になりにくいという設定上の都合によるものです。

4月3日
ところが、これを招集手続の法令違反とした答案があり、不良の例とされています。わざわざ問題文に挙がっているのだから違法事由に違いない、と思ったのかもしれませんが、採点実感のいうとおり、乙社株主は甲社、G、H、I(L)だけですから、298条2項の場合ではなく違法事由にはなりません。

4月3日
もっとも、ここは298条2項に当たるかなど考えもしない、というのが、合格者の一般的な思考だろうと思います。他に見え見えの基本論点があるわけですから、まずそれを拾う。仮にこれが違法事由だったとしても、何も基本論点はないわけですから、落としても致命傷にはならないというわけです。

4月3日
こういったところで引っ掛かってしまう原因は、298条2項の知識がないことにあるのではなく、他の基本論点が見えていないということにあるのです。他の論点が見えないので、慌てて何かそれっぽいものを拾ってしまう。多くの合格者は298条2項など考えもせず、基本論点だけ拾って受かっています。

4月3日
その意味では、これを違法事由にすると即不良になる、というよりは、このような答案は他の基本論点も全然拾えていないので、それで不良になった、という理解の方が正確だろうと思います。他の論点を全部拾った上で、これも違法事由として挙げたという程度なら、不良にはなっていないと思います。

4月3日
「私は…「危機に陥った相当因果関係説を救う」ため、その修正と補充の提案を行ってきた。しかし今では…同説を放棄し、危険現実化説へと移行すべきものと考える」刑法における因果関係論をめぐって 相当因果関係説から危険現実化説へ
井田良
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AA1203413X-20180222-0001…

4月3日
下記論文における井田教授の「危険現実化説」は、被害者の特殊事情について因果関係を否定する余地を認める点、間接型(実行行為自体に高度の結果発生の危険がない場合)の場合に予測可能性欠如に基づく基礎事情の除外の余地を認める点で、従来の「危険の現実化説」とは異なる点に注意が必要です。

2018年04月04日(水)6 tweets
4月4日
『2018年04月03日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458574764.html

4月4日
「不良に該当する答案の例 Kによる議決権の代理行使が,本件持株会の規約の定めに違反するか否かや,会社法第106条の規定に違反するか否かについてのみ論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月4日
「不良に該当する答案の例 代理人の資格を当該会社の株主に制限する定款の規定が有効であると解されていることに全く言及がなく,このような趣旨を踏まえた検討も全くされていないもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月4日
昨年の司法論文商法設問2。議決権行使代理人株主限定定款の論点を落とせば、不良になる。典型的な基本論点落ちです。不合格答案というのは、理由付けや事実の評価が不十分というレベルではなく、そもそも基本論点を拾えていないことがほとんどです。 https://study.web5.jp/170606a.htm

4月4日
定款の有効性の論点は、当サイトの定義趣旨論証集でもAランクとされています。また、持株会会員の議決権行使については、同じくAランクの法人株主の職員、従業員等による代理行使と類似の論点です。書き方は参考答案を参照してみてください。 https://study.web5.jp/170606a.htm

4月4日
なお、106条に関する最判平27・2・19との関係については、以前の記事で、「一見関係がありそうで、よく見ると関係なさそうで、さらによく考えると少し関係がありそうだ。」という趣旨の説明をしました。現場では無視すべきでしょう。 https://study.web5.jp/170606a.htm

2018年04月05日(木)5 tweets
4月5日
『2018年04月04日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458594298.html

4月5日
「不良に該当する答案の例 Jによる株式の併合の理由の説明が株主総会の決議の方法の法令違反に当たるか否かとして,会社法第180条第4項違反に当たるか否かについてではなく,同法第314条違反に当たるか否かについてのみ論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月5日
昨年の司法論文商法設問2。説明義務について、180条4項ではなく314条の問題としたものが不良の例として挙がっています。しかし、これについては、これだけでは設問2全体として不良になってはいないでしょう。理由の説明の論点を拾っていない答案でも、普通に上位になっています。

4月5日
むしろ、説明義務の論点の方を拾い、議決権行使代理人株主限定定款規定の論点を落とす方が深刻です。180条4項は基本事項ではありませんし、仮に314条の問題として考えても、合否を分けるほどの基本論点ではないからです。説明義務については、気付かない方がかえって受かりやすいと思います。

4月5日
当サイトの定義趣旨論証集でも、代理人株主限定定款規定はAランクですが、314条の論点はBランクです。参考答案でも、理由説明には触れていません。仮に書くなら314条の議論をスライドさせて書けることについても、以前の記事で説明しました。 https://study.web5.jp/170606a.htm

2018年04月06日(金)5 tweets
4月6日
『2018年04月05日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458614738.html

4月6日
「不良に該当する答案の例 会社法第124条第4項の適用範囲を誤解し,Lに議決権を行使させなかったことが同項に違反すると論じていると解さざるを得ないもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月6日
昨年の司法論文商法設問2。124条4項違反とする答案が、不良の例として挙がっています。124条4項違反とすると相続の場合の名義書換の要否の論点が出てこなくなるわけですが、相続と名義書換の要否の論点を書いている人が極めて少ないので、これだけでは不良にはなっていないだろうと思います。

4月6日
もっとも、ここで苦し紛れに124条4項違反を問題にしようとする時点で、大体の場合は他の基本論点が見えていないのです。ですから、不良の例として挙がっているのは、124条4項を問題にしたことそれ自体にあるのではなく、そのような答案は他の基本論点も落としていると考えるべきでしょう。

4月6日
なお、124条4項は新株発行や組織再編等によって基準日後の株式取得者が生じる場合を念頭に、会社がそのような株主にも議決権を行使させることを認める規定ですが、本問ではそのような会社の決定がない以上、同項の問題にならないことは明らかです。普通の受験生は知らなくてよい条文です。

2018年04月07日(土)7 tweets
4月7日
『2018年04月06日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458641578.html

4月7日
「不良に該当する答案の例 乙社がLの請求に応じて株主名簿の名義書換えを行ったのが本件株主総会に係る議決権行使の基準日の後であったことを適切に考慮しないで,乙社がLに議決権を行使させなかったことが信義則に違反するというように論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月7日
「Lに議決権を行使させなかったことの適否については…130条第1項が株式の相続にも適用されるか…を的確に指摘することができている答案は極めて少なく,良好に該当するような答案であっても…会社の事務処理上の便宜よりも,株主による議決権の行使を優先すべきであるという…ものが多かった。」

4月7日
昨年の司法論文商法設問2。Lに議決権行使をさせなかった点については、正確には相続による株式取得について名義書換を要するか、という点が論点となります。これについては以前の記事で説明しました。 https://study.web5.jp/170606a.htm

4月7日
しかし、これはかなり応用性の高い論点で、上位合格者でも知らないのが普通です。このような論点は、拾えなくて構わない。採点実感にも、良好レベルですら、正確に問題点を指摘できていなかったことが示されています。合格レベルである一応の水準になるには、このレベルすら不要だということです。

4月7日
ただし、基準日後株主であることを全く無視しているものは、不良の例とされています。Lの議決権行使拒否を全く落としていても合格答案になっているので、これだけで設問2全体が不良となるかは微妙ですが、基準日を無視するのは基本事項の積極ミスであるとして、不良になった可能性はあるでしょう。

4月7日
前記採点実感のように、応用論点については、とりあえず趣旨から書けば、本来は的外れな解答であっても良好まで引き上がります。「趣旨・本質から書きましょう。」という指導は、このようなときに効果があるのです。とはいえ、良好以上を狙わないのであれば、特に無理をする必要はありません。

2018年04月08日(日)7 tweets
4月8日
『2018年04月07日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458659430.html

4月8日
「検証担当考査委員による平成29年司法試験の検証の方法・過程及び結果について,検証担当考査委員から報告がなされ,これを踏まえて協議を行った。」司法試験委員会会議(第138回)議事要旨
http://www.moj.go.jp/content/001254927.pdf

4月8日
「短答式試験については,平成28年司法試験の検証に引き続き,基本的知識を問う出題傾向で安定しているとの評価で一致し,今後もこのような出題方針を継続することが望ましいとの認識で一致した。」司法試験委員会会議(第138回)議事要旨
http://www.moj.go.jp/content/001254927.pdf

4月8日
「論文式試験…問題の内容に関し,総じて高い評価が示され,問題の分量に関しても,多くの必須科目において前年より減少するなど,平成28年司法試験の一連の検証が反映されたものとなったとの評価で一致した。他方で,一部の科目分野において,なお分量が多いのではないかなどの指摘もあった。」

4月8日
「こうした評価・指摘を踏まえ,論文式試験について…特に,受験者に対して過度に事務処理能力を求める結果とならないよう,出題に当たっては,問題文,資料,設問の分量について十分に配慮するとの認識で一致した。」司法試験委員会会議(第138回)議事要旨
http://www.moj.go.jp/content/001254927.pdf

4月8日
「出題の趣旨及び採点実感については…過度の長文化・詳細化に対する懸念や一部の項目の必要性の有無に関する指摘があり,これらも念頭に置きつつ,各科目分野において,それぞれの実情に応じた記載内容の工夫について議論を深めるとの認識で一致した。」

4月8日
このことから読み取れることは、短答式試験は傾向に変化が生じにくく、論文式試験はいまだに問題文の分量が多い科目について分量が減少する傾向になりやすく、出題趣旨や採点実感はこれ以上詳細な内容にはなりにくく、むしろ、やや簡素になりそうだ、ということです。

2018年04月09日(月)6 tweets
4月9日
『2018年04月08日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458678073.html

4月9日
「不良に該当する答案の例 特別の利害関係を有する者に当たる甲社の代表取締役Cが議決権を行使したことによってされた本件決議は,そのことのみにより,その内容にかかわらず,直ちに著しく不当な決議に当たるかのように論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月9日
「不良に該当する答案の例 本件決議が,株主総会の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによる著しく不当な決議(同条第1項第3号)に当たるとした上で,そのこととの関係で,いわゆる裁量棄却の可否について論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月9日
昨年の司法論文商法設問2。条文を普通に読むことすらできないものが、不良となっています。831条1項3号は、文言上明らかに「著しく不当な決議」が独立の要件となっていますし、同条2項は、招集手続・決議方法の法令・定款違反の場合にしか裁量棄却を認めていないことが文言から明らかです。

4月9日
これは、仮に事前知識として覚えていなかったとしても、現場で普通に条文を読めば読み取れます。しかし、現場で慌てていると、これすら読み取れない。不合格になるのは、このレベルの凡ミスをする場合です。「簡単じゃん。」と思ったなら、それは司法試験現場の怖さを知らないというだけのことです。

4月9日
試験の現場では、普通に条文を引いて、基本論点を抽出し、規範と事実を書き写すだけでも、時間内にこなすのはかなり大変です。多くの受験生は、さらに応用論点や理由付け、評価まで無理をして書きに行くので、落ち着いて条文を読む時間すらなくなってしまう。これが、致命的な凡ミスを生じさせます。

2018年04月10日(火)8 tweets
4月10日
『2018年04月09日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458699419.html

4月10日
昨年の司法論文商法設問3。本問はかなりの難問で、適切に解答できた人はほとんどいませんでした。その結果、実質白紙でも合格点が付いています。実質白紙とは、「論点に一切触れず、条文に形式的に当てはめただけで、しかもその適用は間違いだが、一応文言には反していない。」というものでした。

4月10日
例えば、Lは名義書換をしておらず、議決権を行使できないので、「議決権を行使することができない株主」(182条の4第2項2号)に当たるとする答案です。これが間違いである理由は、当サイトの説明を参照して下さい。 https://study.web5.jp/170606a.htm

4月10日
「単に同号の「議決権を行使することができない株主」に当たるとのみ指摘し,結論においては,Lが乙社に対し株式買取請求をすることができるとの立場を採る答案が多かったが,このような答案には,高い評価は与えていない。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月10日
ここで注意すべきは、「高い評価は与えていない」の読み方です。多くの人は、「これでは合格できない。」と思うでしょう。そうではありません。ここでは、これは一応の水準程度しか評価していない、という意味です。このことは、不良に対応する場合は「低い評価」と表記していることから読み取れます。

4月10日
一方で、形式的にも条文の文言に反する当てはめをしていれば、同じ間違えでも不良になる。「かつ、当該株主総会において当該株式の併合に反対した株主」と書いてあるのだから、通知しただけではこれに当たらないことは文言上明らかなのに、当然にこれに当たるとする例が、採点実感で指摘されています。

4月10日
「不良に該当する答案の例 会社法第182条の4第2項第1号の要件を理解しておらず,単に,株式の併合に反対する旨を乙社に対し通知したことのみをもって,当然に,反対株主に当たるかのように論ずるもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月10日
このように、同じ「間違い」でも、「セーフ」と「アウト」がある。法科大学院などでは、「正解」でなければダメだと教わっているために、試験現場でも、無理をして「正解」を考えようとして、時間をロスする人が多いのです。そうではなくて、応用部分は「セーフ」になる「間違い」を書くべきなのです

2018年04月11日(水)6 tweets
4月11日
『2018年04月10日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458718773.html

4月11日
「不良に該当する答案の例 Lが株主総会において議決権を行使することができたか否かについての設問2における検討と,設問3における反対株主の株式買取請求に関する論述とが何らの理由もなく矛盾するもの」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月11日
昨年の採点実感商法設問3。論理矛盾による不良の例です。論理矛盾というと、学説の理論体系における整合性のような高度なものを想像する人がいますが、そうではなく、単純に前後の認定が矛盾することを指します。本問では、Lが議決権を行使できたか、という点が、設問2と設問3で食い違う場合です。

4月11日
例えば、設問2では、「Lは名義書換をしていないので議決権を行使できない。」としつつ、設問3では、特に理由もなく、「Lは議決権を行使できたにもかかわらず、会社がこれを不当に拒絶したことから…が問題となる。」などと論ずるものがこれに当たります。

4月11日
このように、直ちに不良になる論理矛盾というのは、後から冷静に見直せば、誰が見ても明らかなレベルのものです。しかし、試験の現場では焦って書いているので、ついやってしまう。答案構成で注意すればほとんどの場合は防げるのですが、書いている途中で路線変更をしたりすると陥りやすいミスです。

4月11日
論理矛盾によって不良になるのは、現在の司法試験では商法特有の特徴です。かつての旧司法試験では、憲法や刑法でより極端な傾向があり、論理矛盾一発で最低のG評価になると言われていたものです。現在の憲法・刑法は傾向が違っていて、酷い論理矛盾があっても平気で上位の点数になっていたりします。

2018年04月12日(木)10 tweets
4月12日
『2018年04月11日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458741450.html

4月12日
「「一応の水準」に該当する答案は,例えば,弁論主義や主張原則について一応の論述はされているが,その根拠等が曖昧である上,代理の主要事実も的確に掲げられていないような答案であり,それ以下の論述にとどまる答案は「不良」と評価されている」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月12日
昨年の採点実感民訴設問1。合格ラインは、弁論主義の第1原則(主張責任)について一応の論述をしていることでした。代理の主要事実は、正確に挙げていれば良好です。では、どうすれば不良になるのか。採点実感の他の箇所から、それは「余計なことを書いている答案」であることが読み取れます。

4月12日
「その根拠として自由心証主義との関係を指摘する答案も多く見られたが,自由心証主義との関係は,間接事実にまで主張原則を及ぼすことの当否を論ずる際の根拠となるものであって,主要事実に主張原則が妥当することの根拠となるものではない」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月12日
「本問において弁論主義の第2テーゼや第3テーゼを論じたりするなど,基礎的な理解が疑われる答案,準備した論証パターンをそのまま書き写したためか,答案全体の分量から見てバランスを欠くほど長々と論述を重ねる答案もあった。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月12日
予備校答練では、第1原則だけが問題になる場合でも、「弁論主義とは…第1原則とは…第2原則とは…第3原則とは…」、「弁論主義は間接事実には及ばない。なぜなら…自由心証主義と抵触するからである」などと全部セットで書くと、「よく書けています!Good!」などと評価されるでしょう。

4月12日
しかし、それは予備校答練だからです。現在の本試験では、それはむしろマイナスになり得るのです。特に民訴は、「問われたことだけに答える。」ことが要求されます。このことは当サイトで繰り返し説明してきました(記事冒頭の(ア))。 https://study.web5.jp/170621a.htm

4月12日
他の科目でも、確立した判例の規範があるところで、その理由付けを延々と書いても、ほとんど評価の対象にはなっていません。民訴に関しては、さらに、マイナスに評価され、不良にされてしまう。この辺りは、特に予備校答練との乖離が大きい所だと思いますので、注意が必要です。

4月12日
このことは、刑訴の伝聞証拠でも顕著です。予備校答練では、「伝聞法則の趣旨は知覚、記憶、表現・叙述の各過程に…」を書くと、「Good!」と評価されます。しかし、再現答案等から、最近の本試験ではこの部分に配点はほとんどなく、むしろ要証事実の認定に大きな配点があることがわかっています。

4月12日
当サイト作成の「司法試験定義趣旨論証集刑訴法」が、伝聞証拠の趣旨をBランクとする一方で、供述代用書面や伝聞供述の意義について端的な定義を論証とし、AAランクとしているのは、そのような趣旨によるものです。 https://www.amazon.co.jp/dp/B01NBPTC17

2018年04月13日(金)4 tweets
4月13日
『2018年04月12日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458760975.html

4月13日
「「優秀」に該当する答案は…訴えの追加的変更の必要性を指摘し,その要件への当てはめを具体的に論ずるとともに,同時履行の抗弁についても適切に論じた答案であるということができる。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月13日
昨年の採点実感民訴設問2(1)。この記述から、「請求の基礎の同一性についても忘れずに当てはめして下さいね!」などとする解説は、適切とはいえません。本問は相手方の陳述した事実を新請求の原因とする場合ですから、請求の基礎の同一性の要件は不要だからです(最判昭39・7・10)。

4月13日
「相手方の陳述した事実を…新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴の変更であっても…右の訴の変更は許される…相手方の陳述した事実は…積極否認の内容となる重要なる間接事実も含まれる」 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53849…

2018年04月14日(土)6 tweets
4月14日
『2018年04月13日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458780651.html

4月14日
「「一応の水準」に該当する答案は,例えば,訴訟物理論に関して自らの立場を明らかにして本件の訴訟物を正しく理解し,Yの主張の法的位置付けについては一応の記述ができているが,訴えの追加的変更の必要性について検討が欠落しているような答案」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月14日
「問題文をよく読まずに本件の訴訟物につき独自の考え方を採った答案,抗弁と否認の区別といった要件事実の基本が理解できていない答案など,総じて基本的事項の理解が不足している答案は,「不良」と評価されている。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月14日
昨年の採点実感民訴設問2(1)。合格ラインは、訴訟物とYの主張の法的位置付けについて、一応の記述ができていることでした。これらを明確に間違えてしまえばアウト。他方で、訴えの変更や同時履行の抗弁権が権利抗弁であることについては、落としてもセーフでした。

4月14日
普通に自宅で過去問を解く感覚であれば、訴訟物は問題文にそのまま書いてあるし、抗弁か否認かについても、間違えようがないと感じるでしょう。しかし、民訴は2日目最後の科目。最も体力的・精神的に辛い状態なので、後から冷静になるとあり得ないと思うようなミスも、やってしまうものなのです。

4月14日
例えば、「訴訟代理人が選任されていない…紛争解決のために,両当事者の曖昧な主張を法的に明確にする必要がありそうです。」との問題文を「合理的な訴訟物に読み替える解釈論が問われている!」と誤解して、現場思考で訴訟物について「独自の考え方」を展開してしまったりすると、不良に転落します。

2018年04月15日(日)5 tweets
4月15日
『2018年04月14日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458800269.html

4月15日
「一応の水準」に該当する答案は,申立拘束原則の観点から一応の論述はされているが,具体的な当てはめが不十分であり,結論を導く根拠が曖昧と見られるような答案であり,それ以下の論述にとどまる答案は「不良」と評価されている。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月15日
昨年の採点実感民訴設問2(2)。単純な量的一部認容だと決めつけて処分権主義との関係だけを論じ、しかも当てはめを雑にすることが、ここでの合格レベルでした。設問2(1)と設問3を丁寧に論じ、設問2(2)はあっさり書くという戦略が、無難に合格するためには有効だったようです。

4月15日
理論的に正しく検討しようとすると、ここは設問3との論理的整合性も考慮しながら考えていく必要があり、非常に難解なところでした。詳細は、当サイトの以前の記事を参照してください。 https://study.web5.jp/170621a.htm

4月15日
このような難解なところは、深入りしないのが賢い戦略です。特に、多くの受験生は設問3で信義則まで書くでしょうから、そちらに時間、紙幅を割きたい。設問2(2)で時間をとりすぎて、設問3で信義則の当てはめが雑になってしまった人は、時間配分のミスとして反省すべきでしょう。

2018年04月16日(月)5 tweets
4月16日
『2018年04月15日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458819194.html

4月16日
「正確に理解できていない受験者が多いように思われた。例えば,①前訴の訴訟物が売買契約に基づく本件絵画の引渡請求権であるとしながら,説得的な理由を述べることなく,判決理由中の判断である売買契約の成立や代金額が200万円であることに既判力が生ずるとする答案…などが多く見られた。」

4月16日
昨年の採点実感民訴設問3。この記述を根拠に、「売買契約の成立は判決理由中の判断ですから、売買契約の成立を否定する主張は既判力で遮断されませんよ!」などとする解説は誤りですので、注意を要します。 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月16日
本問では、売買契約の成立には既判力は生じませんが、これを否定する主張は、売買契約に基づく本件絵画の引渡請求権の存在という既判力で確定された法律関係と矛盾するので、既判力の消極的作用によって遮断される。詳細は以前の記事を参照して下さい。 https://study.web5.jp/170621a.htm

4月16日
このように既判力については、「範囲」と「作用」とを区別して理解しておく必要があります。採点実感は、「判決理由中の判断である売買契約の成立や代金額が200万円であることに既判力が生ずるとする答案」として「範囲」についてだけ記述しているので、誤解のないようにしたいところです。

2018年04月17日(火)7 tweets
4月17日
『2018年04月16日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458841634.html

4月17日
「既判力が訴訟物についての判断に生ずることを記述した答案は半数程度にとどまり,粗雑な説明も多かった。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月17日
「「良好」に該当する答案は,既判力の客観的範囲については的確に論じているが,引換給付の旨が判決主文に掲げられていることの趣旨の記述や,信義則の適用に際しての具体的な当てはめがやや不十分であるため,評価が下がった答案である」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月17日
「「一応の水準」に該当する答案は,既判力の意義やその客観的範囲について一応の論述はされているが,各論点について結論を導く根拠が曖昧と見られるような答案」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月17日
「それ以下の論述,例えば,既判力の客観的範囲に関する基本的理解を欠き,前後に矛盾が多く,信義則の適用に際して抽象的な記述にとどまるような答案は,「不良」と評価されている。」 http://www.moj.go.jp/content/001240102.pdf

4月17日
昨年の採点実感民訴設問3。既判力については誤解に基づいた解説がされることが多いためか、例年出来が悪いです。既判力の客観的範囲を的確に論じていれば、後は雑でも良好になってしまう。このようなところは、無理をしなくても良好を狙えます。当サイトの参考答案程度でも、ここは良好上位でしょう。

4月17日
理論的には、訴訟物に対する判断以外の執行の条件に係る判断に既判力に準じた効力を認めることができるか、という点が、メインの論点です。詳細は以前の記事で説明したとおりですが、現場でこんなことに答える必要はありません。 https://study.web5.jp/170621a.htm

2018年04月18日(水)8 tweets
4月18日
『2018年04月17日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458860453.html

4月18日
「総じて,規範定立部分についてはいわゆる論証パターンをそのまま書き写すことだけに終始しているのではないかと思われるものが多く,論点の正確な理解ができていないのではないかと思われる答案が目に付いた。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月18日
昨年の採点実感刑法。予備校論証を貼り付けていることについて、「正確な理解ができていない」との指摘がされています。これは、当サイトが「理由付けは不要」と言っていることの副次的な理由の1つです。つまり、予備校論証の理由付けは、必ずしも正確な理解とは考えられていないのです。

4月18日
現在流布している予備校論証の多くは、旧司法試験時代に開発されたものが原型です。現在でも、基本書等には答案ですぐ使える理由付けは書かれていなかったりしますが、当時は特にそうでした。そのため、予備校の講師等が中心になって、独自に理由付けになる言い回し等を考えて、論証化したのでした。

4月18日
当時としては、他に文献がないので仕方がなかったのと、旧司法試験の傾向として、「正確な知識より自分の頭で考えているかが大事である。」とされていたために、「正確ではないけれど、自分の頭で考えて書いているな。」と評価され、当時としては点数が取れる論証になっていたのでした。

4月18日
しかし、現在では、「これは自分の頭で考えたのではなくて、予備校が用意したものを暗記しただけだ。」という認識が広く考査委員に共有されてしまい、かえってマイナスに作用するようになりました。しかも、旧試験時代に開発された論証なので、内容的にもかなり古くなってしまったのです。

4月18日
また、当サイトで繰り返し説明してきたとおり、当時の知識軽視、現場思考重視の採点傾向は、知識のある年配者を落として知識の乏しい若手を採るための若手優遇策でしたが、現在では長文化・当てはめ重視による若手優遇策に置き換わっています。 https://study.web5.jp/171111a.htm

4月18日
こうして、現在では、予備校論証を「理由付け」として貼っても、それほど評価されないどころか、かえってマイナスになるおそれがある。それなら、端的に規範を書いて、確実に配点のある当てはめを充実させた方がよい。「規範と事実は裏切らないが、理由付けには裏切られることがある。」のです。

2018年04月19日(木)6 tweets
4月19日
『2018年04月18日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458879797.html

4月19日
「法的三段論法については,多くの答案において意識されていたものの,規範定立や判断方法を一切示さずに,問題文に現れた事実を抜き出しただけで,その事実が持つ法的意味を特段論じることなく結論のみを記載するという答案も多く見受けられた。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月19日
「全ての論点について,法的三段論法に従って論述する必要はないが,規範定立の上,結論を導くのに必要な事実を指摘して,妥当な結論を導くことが求められている。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月19日
昨年の採点実感刑法。当サイトが繰り返し説明している「規範の明示」についての記述です。「当てはめの中で規範に対応する文言があればよい。」という誤解が多いので、注意が必要です。具体的な答案の書き方は、以前の記事で説明しました。 https://study.web5.jp/170629a.htm

4月19日
事実の摘示について、「問題文に現れた事実を抜き出しただけで」とあるので、問題文の書写しでは足りないようにもみえますが、これは、「規範定立や判断方法を一切示さずに」書き写した場合です。規範を明示し、それに対応する事実として書き写せば、最低限の法的意味を示すことができます。

4月19日
このことは、刑法だけに限らず、全科目に共通することです。先に規範を明示しておくと、当てはめが事実の羅列でも法的意味を示すものとなるカラクリについては、「司法試験平成27年採点実感等に関する意見の読み方(行政法)」で説明しました。 https://www.amazon.co.jp/dp/B01DQIPNG8

2018年04月20日(金)2 tweets
4月20日
『2018年04月19日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458900119.html

4月20日
『平成30年司法試験の受験予定者数について』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458911279.html

2018年04月21日(土)8 tweets
4月21日
『2018年04月20日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458918996.html

4月21日
「乙による顔面殴打が共謀に基づくと認めた答案には,結果的加重犯の共同正犯の成否を含め適切な論述ができているものが多かった。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月21日
「乙による顔面殴打は共謀に基づかないと認めた場合には,甲と乙の共謀の内容は乙がAの顔面を殴打する行為に及んでいないことなど,共謀を否定する理由を的確に論じることが求められていたが…共謀を否定する理由を的確に論じていると評価できる答案は極めて少なかった。」

4月21日
「甲は乙が石を拾ったことや乙が右手に持った石でAの顔面を殴り付けたことを全く認識しておらず,過剰性を基礎付ける事実を認識していなかったため,違法性阻却事由の錯誤を論じる必要があった」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月21日
昨年の採点実感刑法。採点実感は、共謀の射程を専ら因果性として捉え、共謀内容の非対応は錯誤で処理するという見解を前提としており、注意が必要です。採点実感が「同種事案」として紹介している東京地判平14・11・21が錯誤で処理しているので、これに引きずられてそうなったのでしょう。

4月21日
共謀の射程を専ら因果性として捉える見解からは、乙が石で殴る行為が当初の共謀に起因していれば足りるので、共謀内容に石で殴るところまで含まれていなくても、甲に傷害結果を帰責できます。この場合、仮に錯誤によって甲の故意が否定されても、なお過失犯の成立の余地があることになる。

4月21日
他方、受験生の多数は、共謀内容に含まれない行為は、たとえそれが共謀に起因するものであっても、共同正犯関係を成立させないという立場を採るでしょう。その場合、甲には傷害結果は帰責できず、過失犯の余地もないことになる。採点実感ではあまり言及がありませんが、これで十分上位になっています。

4月21日
正当防衛と共同正犯に関する記述については、採点実感はやや中立的でない書き方をしていますが、実際の評価をみると、どの立場を採用したかということよりも、関連する判例を意識しているか、問題文の事実を摘示して結論を示しているか、ということの方が得点に影響していると感じます。

2018年04月22日(日)6 tweets
4月22日
『2018年04月21日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458936590.html

4月22日
「「良好」と認められる答案とは,主要な問題点について指摘できており…一部の論点についての検討を欠くもの,必要な法解釈論の展開がやや不十分なもの,必要な事実の抽出やその意味付けが部分的に不足しているもの等である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月22日
「「一応の水準」と認められる答案とは,事案の分析が不十分であったり,複数の主要な問題点についての論述を欠いたりするなどの…答案である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月22日
「「不良」と認められる答案とは,事案の分析がほとんどできていないもの,刑法の基本概念の理解が不十分であるために主要な問題点を理解できていないもの…等である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月22日
昨年の採点実感刑法。当てはめが「不十分」ならセーフですが、「ほとんどできていない」のはアウトです。「不十分」とは、概ね事実の摘示だけで評価がないものを指します。事実の摘示すらないものが、「ほとんどできていない」です。「意味付け」すなわち評価まで要求されるのは、良好レベルです。

4月22日
また、基本論点をいくつか落とす程度ならセーフだが、基本論点の論述が間違っていて、理解していないことがバレたらアウトです。「法解釈論」すなわち理由付けが要求されるのは、良好レベルです。基本論点の規範と事実が正確に書ければ優に合格レベルになる、というのは、このようなことを指します。

2018年04月23日(月)7 tweets
4月23日
『2018年04月22日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458955276.html

4月23日
「「不良」と認められる答案とは…論述内容が首尾一貫しておらず論述的に矛盾しているもの等である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月23日
昨年の採点実感刑法。論理矛盾が不良に挙がっています。これはやや新しい傾向です。以前にも触れましたが、(新)司法試験では、論理矛盾が採点実感で指摘されるのは、主に商法特有の傾向でした。ところが、一昨年、昨年と、近時は刑法でも論理矛盾が触れられるようになりました。

4月23日
もっとも、現時点では、まだそれほど神経質になる必要はないのかな、と思っています。論理矛盾として指摘されているのは、死者の占有に係る甲の認識について、甲はAの直接の殺害者でない点を看過している、というものですが、これは高度過ぎますし、それで直ちに不良になっているとも思えません。

4月23日
「甲について,傷害罪の共謀を否定し,傷害罪の共同正犯の成立を否定しているにもかかわらず,安易にAの占有を侵害する認識を肯定する答案も散見された。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月23日
「Aの占有を侵害する認識を検討するに当たっては,傷害罪の共同正犯の成否や正当防衛・過剰防衛の成否での検討内容及び結論との整合性を意識して論述することが必要であったが,そのような意識が足りないと思われる答案が目に付いた。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月23日
この点については、共犯と身分の問題として65条の適用によって解決できることを、以前の記事で説明しました。2年連続で論理矛盾の指摘がされたことは、今後、刑法でも論理重視の傾向になる予兆かもしれませんので、若干の注意は必要です。 https://study.web5.jp/170629a.htm

2018年04月24日(火)6 tweets
4月24日
『2018年04月23日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458974891.html

4月24日
「「不良」と認められる答案とは…事案の解決に関係のない法解釈論を延々と展開しているもの,問題点には気付いているものの結論が著しく妥当でないもの…等である」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月24日
昨年の採点実感刑法。延々と法解釈論、すなわち理由付けを書けば不良になる。これは一発で即アウト、というよりも、他の重要な論述を書く余裕を失うので、結果的に不良になるという感じでしょう。以前にも、予備校論証の貼付けは必ずしもプラスになっていないという話をしましたが、同じ趣旨です。

4月24日
また、結論が著しく妥当でなければ不良とされています。これは、刑法では繰り返し指摘されている不良の原因です。ただ、これは多くの場合、基本的な理解に関わるミスと同じものだと考えてよいでしょう。本問では、甲に安易に過剰防衛を認めるものが、その例です。

4月24日
「過剰性を基礎付ける事実を認識していなかった甲についても傷害罪の過剰防衛とする答案は…乙による顔面殴打について甲が全く認識していなかったという事実を踏まえて妥当な結論を導くという点に欠けていた。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月24日
これは、結論が不当というより、共謀の射程又は錯誤が問題になるという点をうっかりした、という基本的なミス(論点落ち)というべきでしょう。結論の妥当性を過度に重視して、民法のような感覚で、「甲にとって酷だから」とか「甲の行為は悪質だから」などという論述をすることはかえって危険です。

2018年04月25日(水)7 tweets
4月25日
『2018年04月24日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/458994725.html

4月25日
「「良好の基準」にあると認められる答案とは…法解釈を行って一定の基準を示すことは…できているが,いずれも必要な理由付けに不十分な点が見られたり,事例の具体的事実を抽出できてはいたが,更に踏み込んで個々の事実が持つ意味を十分に分析することにはやや物足りなさが残るような答案」

4月25日
昨年の採点実感刑訴設問1。良好の記述で、「法解釈を行って一定の基準」を示しているが理由付けが不十分、と書いてあるとおり、ここでの「法解釈」は規範の明示を指します。「〇〇とは…をいう」という意味での「解釈」です。良好は規範と事実は書いているが、理由付けと評価が不十分な答案です。

4月25日
「「一応の水準」に達していると認められる答案とは…検討すべき各論点に関し,法解釈について一応の見解は示されているものの,問題意識や結論に至る過程が十分明らかにされていなかったり,具体的事実の抽出や当てはめに不十分な点がある答案」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月25日
「「一応の水準」に達していると認められる答案とは…検討すべき各論点に関し…具体的事実を抽出して一応の結論を導くことができているものの,法解釈について十分に論じられていない点がある等の問題がある答案」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月25日
一応の水準を2つに分けるのは、例年の刑訴の採点実感の傾向です。1つは、規範の明示はされているが、事実の摘示が不十分なもの。もう1つは、事実の摘示はあるが、規範の明示が不十分なものです。このことから、規範の明示と事実の摘示の双方ができていれば、優に合格答案となることがわかります。

4月25日
良好ですら、理由付けは「不十分」で、事実が持つ意味の分析、すなわち評価は物足りないレベルです。一応の水準はそれより下の水準ですから、そもそも理由付けや評価がないレベル。そして現在では、これが合格レベルです。理由付けや事実の評価は、優秀・良好レベルを狙う場合にのみ必要となるのです。

2018年04月26日(木)6 tweets
4月26日
『2018年04月25日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/459013543.html

4月26日
「「優秀の水準」にあると認められる答案とは…回復証拠が許容されるのか,という…論点について,条文の文言解釈にとどまらず,いかなる理由で回復証拠となり得るのか,あるいはなり得ないのかの実質的な理由まで論述されている答案である」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月26日
「「良好の基準」にあると認められる答案とは…回復証拠が許容されるのかの論点については,回復証拠となり得るか否かの実質的な理由の論述がやや不十分な答案である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月26日
「「一応の水準」に達していると認められる答案とは…回復証拠が許容されるのかの論点については,条文解釈を示すだけで実質的な理由の論述をせずに結論付けている答案である。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月26日
昨年の採点実感刑訴設問2。小問(2)の回復証拠について実質的な理由を書けたかどうかで、評価が分かれました。「争う」の文言から増強は含まないが回復は含まれる、という古い論証を使っていると、実質的理由を示さない答案になりがちです。そのような答案でも、一応の水準にはなっています。

4月26日
ただ、ここは事前に適切な論証を用意していれば、優秀まで狙えるところでした。そのことについては、当サイトの以前の記事に詳細な説明と論述例を掲載していますので、参考にしてみてください。 https://study.web5.jp/170705a.htm

2018年04月27日(金)5 tweets
4月27日
『2018年04月26日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/459032858.html

4月27日
「「不良の水準」にとどまると認められる答案とは…刑事訴訟法第321条の伝聞例外の議論に終始し,同法第328条に全く触れていなかったり,判例の知識がなく,十分に説得的な論述もせずに判例とは異なる結論を導いている答案等がこれに当たる。」 http://www.moj.go.jp/content/001240104.pdf

4月27日
昨年の採点実感刑訴設問2。弾劾証拠の論点を落とすと不良。典型的な基本論点落ちです。また、説得的な理由なしに判例以外の説を採るものも、「判例の知識がなく」不良とされている点に注意が必要です。実際には判例を知っていても、他説を採ると、「判例を知らない。」と評価されてしまうのです。

4月27日
旧司法試験時代には、「判例べったりはけしからん」という言葉があったほど、判例以外の説を採ることが推奨されていました。当時は問題文が短かったので、判例を挙げて、それを批判し、理由を書いて自説を展開する、という手順で答案が書けたのです。しかし現在では、とてもそんな書き方はできません。

4月27日
そうなると、判例以外の説を採る場合、いきなり自説から書かざるを得なくなる。ところが、判例以外の他説をいきなり書くと、「判例を知らない。」と評価されて不良にされる。したがって、確立された判例がある場合には、他説で書くという選択肢は基本的にない、と思っておくべきでしょう。

2018年04月28日(土)2 tweets
4月28日
『2018年04月27日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/459051956.html

4月28日
平成27年度司法修習生の男女別採用者数及びその後の進路状況等 http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/sankakujokyo/2017/pdf/1-1-d-3.pdf

2018年04月29日(日)3 tweets
4月29日
『2018年04月28日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/459069378.html

4月29日
「法学部法曹コースと未修者教育を共同開講することにより、浮いた分のリソースを未修者教育に振り向けることが…実際に…やれるかという検討や、未修者教育の拠点化を行うならば、拠点校には相当程度傾斜を付けた手厚い支援をする必要がある」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/041/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/03/14/1402456_003_1.pdf

4月29日
「共通到達度確認試験は未修者1年次の学力を測る点にこそ重点を置き、積極的に活用を検討するべきであるし、未修者教育を行うに当たって、設置基準や認証評価基準の規制の緩和や財政的な支援が必要。」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/041/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/03/14/1402456_003_1.pdf

2018年04月30日(月)3 tweets
4月30日
『2018年04月29日のtweet』司法試験・法科大学院(ロースクール)情報
http://studyweb5.seesaa.net/article/459086862.html

4月30日
「現状の未修コースは、法学部出身者が多数を占めているが、純粋未修者に限定して運営していくべき。法曹コースに純粋未修者の教育機能を持たせることや一部の法科大学院を未修者の受け入れの拠点とすることは、養成すべき人材像を明確にして、法科大学院教育との接続まで考えて、合わせ技で行うべき」

4月30日
「純粋未修者の中には伸び代が非常に大きい者がおり、そのような者に法曹界に参入いただく効果が非常に大きい。これを踏まえ、未修者の定義は法律学を学んでいない、いわゆる純粋未修者か、卒業後5年程度経過した社会人とすることが適当ではないか。」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/041/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/03/14/1402456_003_1.pdf

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