1.令和元年司法試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は、108点でした。以下は、憲民刑の3科目、175点満点になった平成27年以降の短答式試験の合格点をまとめたものです。
年 | 合格点 |
平成27 | 114 |
平成28 | 114 |
平成29 | 108 |
平成30 | 108 |
令和元 | 108 |
平成27年、平成28年と114点だったものが、平成29年以降は108点となっています。この合格点は、どのようにして決まっているのでしょうか。
2.現在の短答式試験の合格点は、論文の合格者数を踏まえつつ、短答・論文でバランスのよい合格率となるように決められているとみえます(「平成30年司法試験短答式試験の結果について(1)」) 。当サイトでは、今年の出願者数が公表された段階で、いくつかの場合を想定したシミュレーションを行っていました(「平成31年司法試験の出願者数について(2)」)。その際、論文合格者数1500人が維持された場合にバランスのよい数字として、以下のような組み合わせを想定していたのでした。
(「平成31年司法試験の出願者数について(2)」より引用)
短答合格者数:3291人
短答合格率(対受験者):75.0%
論文合格者数:1500人
論文合格率(対短答):45.5%
論文合格率(対受験者):34.1%
これなら、短答と論文のバランスがよさそうです。そのことからすれば、論文合格者数を1500人にするなら、この辺りの数字に落ち着きそうな感じがします。
この場合の短答・論文の数字の上での難易度を考えてみましょう。昨年の短答の合格点は108点ですが、仮に合格率75%だったとすると、法務省の公表する得点別人員調によれば、合格点は104点まで下がります。また、昨年の論文は、短答合格者3669人中1525人が合格したわけですが、仮に対短答合格率が45.5%となれば、1669人合格する計算です。したがって、数字の上では、短答でいえば4点程度、論文でいえば140番程度、昨年より難易度が下がると考えることができるでしょう。
(引用終わり)
実際の短答合格者数は、3287人。上記の想定に近い数字です。今回の結果は、論文合格者数の下限1500人を維持することを見越して、短答・論文でバランスのよい合格率となるように調整した結果、108点が合格点になった、と考えて違和感がないものであったということができるでしょう。