論証例:特定役員への恣意的・狙い打ち的な責任追及

【論点】

 株式会社が損害を被った場合において、株式会社が、その損害についてより直接的な責任を負うべき役員らが他にいるにもかかわらず、その役員らの責任追及を行わず、より責任の間接的な特定の役員に対してのみ恣意的・狙い打ち的に損害賠償責任の追及を行うことは、信義則に反し、権利濫用とならないか。

 

【論証例】

 現在・将来の取締役・監査役に、会社(取締役会、代表取締役)に対する信頼感や善管注意義務履行の意欲を喪失させ、ひいては取締役の職務執行や監査役の監査の実効性、効率性を損ない、 会社の業務の適正確保を危うくするから、信義則に反し、権利濫用ともなる(高裁判例)。

 

(参考)

会計限定監査役の任務懈怠と会社に対する損害賠償責任 東京高等裁判所令和元年8月21日判決 明治大学教授 受川環大

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