論証例:投票採決における株主総会決議の成立時期

【論点】

 投票の方法による表決手続を採った場合、株主総会決議は、どの時点で成立するか。

 

【論証例】

 株主総会決議は、決議に必要な議決権数に達したことが明白になった時に成立する(判例)から、投票の方法による表決手続を採った場合には、会社が株主の投票を集計し、決議結果を認識しうる状態となった時点で成立する(アドバネクス事件高裁判例参照)。
 ※ 決議の成立には、議長が決議結果を宣言することを要しない(同高裁判例参照)。
 ※ 最判昭42・7・25は、「株主総会における議事の方式については、法律に特例の規定がないから、定款に別段の定めをしていないかぎり、総会の討議の過程を通じて、その最終段階にいたつて、議案に対する各株主の確定的な賛否の態度がおのずから明らかとなつて、その議案に対する賛成の議決権数がその総会の決議に必要な議決権数に達したことが明白になつた以上、その時において表決が成立したものと解するのが相当であり、したがつて、議長が改めてその議案について株主に対し挙手・起立・投票など採決の手続をとらなかつたとしても、その総会の決議が成立しないということはいえない。」と判示している。 

 

(参考)

修正動議と書面投票の取扱いおよび株主総会決議の成立時点 東京高等裁判所令和元年10月17日判決 関西学院大学教授 笹川敏彦

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