1.令和2年予備試験口述試験の結果が公表されました。合格点は、これまでと同じ119点。最終合格者数は、442人でした。昨年の最終合格者数476人と比べると、34人の減少ということになります。
今年の口述試験の受験者合格率は、442÷462≒95.67%でした。以下は、これまでの口述試験の受験者合格率等の推移をまとめたものです。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
前年比 |
23 | 122 | 116 | 95.08% | --- |
24 | 233 | 219 | 93.99% | -1.09 |
25 | 379 | 351 | 92.61% | -1.38 |
26 | 391 | 356 | 91.04% | -1.57 |
27 | 427 | 394 | 92.27% | +1.23 |
28 | 429 | 405 | 94.40% | +2.13 |
29 | 469 | 444 | 94.66% | +0.26 |
30 | 456 | 433 | 94.95% | +0.29 |
令和元 | 494 | 476 | 96.35% | +1.40 |
令和2 | 462 | 442 | 95.67% | -0.68 |
平成26年までは下落傾向でしたが、平成27年以降は、上昇傾向となっています。今年は、昨年より下落しましたが、昨年が高すぎる合格率だったので、特に違和感はないでしょう。以前にも説明したとおり、口述試験の理論的な合格率は、93.75%です(「令和2年予備試験口述試験対策について」)。平成28年以降は、それを上回る数字で推移しています。ですから、当面は58点以下が付く可能性を考える必要はないでしょう。
2.以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 19歳 以下 |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 以上 |
23 | --- | 96.0% | 94.2% | 87.5% | 100% |
24 | --- | 99.2% | 91.8% | 81.8% | 83.3% |
25 | --- | 95.0% | 93.4% | 75.8% | 64.2% |
26 | --- | 92.6% | 83.9% | 86.2% | 87.5% |
27 | --- | 93.0% | 92.0% | 83.8% | 88.2% |
28 | --- | 95.4% | 89.1% | 91.3% | 88.8% |
29 | 100% (2人) |
96.8% | 88.0% | 87.0% | 87.5% |
30 | 100% (1人) |
95.6% | 94.1% | 93.9% | 66.6% |
令和元 | 100% (1人) |
97.9% | 93.3% | 87.5% | 77.7% |
令和2 | 100% (3人) |
97.0% | 94.0% | 76.0% | 85.7% |
従来から確立している傾向として、20代が常にトップ、ということがありました(母数の少ない19歳以下を除く。)。今年も、20代トップの傾向に変化は生じていないといえます。口述も、基本的には若手有利といえるでしょう。もっとも、30代以降については、年によってバラ付きが大きく、また、年代ごとの合格率の差も、そこまで大きくはありません。最も合格率の高い20代でも、今年は11人落ちており(※)、これは不合格者全体(22人)の半数を占めます。40代が低く見えますが、これはやや母数が小さい(25人中19人合格)ことが影響しています。ですから、論文のような圧倒的な差があるというわけではない。その意味では、年配者だからといって、特別な対策を考える必要はないだろうと思います。
※ 今年は、論文合格者の中で2人が受験していない(年代は不明)ため、厳密には、受験していない者を含む可能性があります。
3.以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 最終合格者 平均年齢 |
23 | 31.57 |
24 | 30.31 |
25 | 27.66 |
26 | 27.21 |
27 | 27.36 |
28 | 26.16 |
29 | 26.90 |
30 | 27.43 |
令和元 | 26.03 |
令和2 | 25.89 |
平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、平成27年まではほぼ横ばい。平成28年はさらに1歳以上若年化しましたが、平成30年まではやや上昇傾向となっていました。それが、昨年から再び若年化傾向となっています。その主な要因は、大学生や法科大学院生の合格者の増減にあります。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 大学在学中 | 法科大学院在学中 | 両者の合計 |
23 | 33.6% | 5.1% | 38.7% |
24 | 31.5% | 27.8% | 59.3% |
25 | 30.4% | 46.7% | 77.1% |
26 | 32.0% | 47.1% | 79.1% |
27 | 39.5% | 35.0% | 74.5% |
28 | 44.1% | 38.0% | 82.1% |
29 | 47.9% | 24.5% | 72.4% |
30 | 39.2% | 35.1% | 74.3% |
令和元 | 52.7% | 24.3% | 77.0% |
令和2 | 54.7% | 21.9% | 76.6% |
一般に、大学生・法科大学院生は若者が多いので、大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合が増加すると、全体の平均年齢は若年化しやすくなります。また、一般に、法科大学院生より大学生の方が若いので、法科大学院在学中合格者が減少し、それに代えて大学在学中合格者が増加すると、やはり全体の平均年齢は若年化しやすくなるのです。平成26年までの若年化は、主に法科大学院在学中合格者の増加が原因でした。しかし、それ以降は、法科大学院在学中合格者は減少傾向となり、代わって大学在学中合格者が増加傾向となっていきます。昨年は、大学在学中合格者の割合が過去最高となった一方で、法科大学院在学中合格者の割合は、平成24年以降で最低となりました。今年も、その傾向が継続しています。昨年からの若年化傾向は、これを反映したものといえます。平成26年は、予備試験合格者の半数弱を法科大学院生が占めていました。それが、現在では、大学生が合格者の半数以上を占めるに至っています。予備試験の主役が、法科大学院生から大学生へと、変化したのです。