論証例:任期短縮定款変更の適用・339条2項類推適用

【論点】

 取締役の任期途中において、その任期を短縮する定款変更がされた場合、その変更後の定款は在任中の取締役に適用されるか。

 

【論証例】

 会社はいつでも株主総会決議によって取締役を解任できる(339条1項)以上、任期を短縮する定款変更によって退任させることもできる。したがって、変更後の定款は当然に在任中の取締役にも適用される(地裁裁判例)。
 ※ 東京地判平27・6・29。名古屋地判令元・10・31。
 ※ 変更後の任期によれば既に任期が満了している取締役は、定款変更の効力発生時に当然に退任する(東京地判平27・6・29)。

 

 

【論点】

 任期を短縮する定款変更によって取締役を退任し、再任されなかった場合、339条2項は類推適用されるか。

 

【論証例】

 339条2項の趣旨は任期への期待を保護する点にあり、任期短縮により退任し、再任されない取締役にもその趣旨が妥当するから、同項が類推適用される(地裁裁判例)。
 ※ 東京地判平27・6・29。名古屋地判令元・10・31。

 

 

(参考)

任期途中で解任された取締役の損害賠償請求権について ―― 東京地裁平成27 年 6 月 29 日判決 ――  佐藤 誠
任期短縮の定款変更により退任した取締役の不再任に係る「正当な理由」 名古屋地方裁判所令和元年10月31日判決 東北学院大学准教授 内藤裕貴  

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