1.以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 19歳 以下 |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 以上 |
23 | --- | 96.0% | 94.2% | 87.5% | 100% |
24 | --- | 99.2% | 91.8% | 81.8% | 83.3% |
25 | --- | 95.0% | 93.4% | 75.8% | 64.2% |
26 | --- | 92.6% | 83.9% | 86.2% | 87.5% |
27 | --- | 93.0% | 92.0% | 83.8% | 88.2% |
28 | --- | 95.4% | 89.1% | 91.3% | 88.8% |
29 | 100% (2人) |
96.8% | 88.0% | 87.0% | 87.5% |
30 | 100% (1人) |
95.6% | 94.1% | 93.9% | 66.6% |
令和元 | 100% (1人) |
97.9% | 93.3% | 87.5% | 77.7% |
令和2 | 100% (3人) |
97.0% | 94.0% | 76.0% | 85.7% |
令和3 | 100% (4人) |
98.6% | 96.0% | 87.0% | 93.3% |
令和4 | 100% (2人) |
98.0% | 98.6% | 97.0% | 100% (18人) |
令和5 | 100% (3人) |
98.9% | 100% (67人) |
92.8% | 90.9% |
かつて、確立していた傾向として、20代が常にトップ、ということがありました(母数の少ない19歳以下を除く。)。口述も、基本的には若手有利の傾向であったといえるでしょう。もっとも、令和4年は50代以上が全員合格、令和5年は30代が全員合格というように、直近では、そのような傾向は確立したものとはいいにくくなっています。これは、不合格者の絶対数が極めて少なくなった(令和4年は9人、令和5年は8人)ことによるものでしょう。比較自体があまり意味を持たなくなってきたともいえそうです。
2.以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 最終合格者 平均年齢 |
23 | 31.57 |
24 | 30.31 |
25 | 27.66 |
26 | 27.21 |
27 | 27.36 |
28 | 26.16 |
29 | 26.90 |
30 | 27.43 |
令和元 | 26.03 |
令和2 | 25.89 |
令和3 | 26.28 |
令和4 | 27.73 |
令和5 | 26.91 |
平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、平成27年まではほぼ横ばい。平成28年は、さらに1歳以上若年化しました。そして、平成30年までやや上昇傾向となった後に、令和元年からは再び若年化傾向となったともみえました。それが、令和4年は、一気に1.5歳程度の高齢化となりました。
令和5年は、前年と比較するとわずかに若年化といえますが、令和3年と比較するとわずかに高齢化といえる状態です。平均年齢の主な変動要因は、大学生・法科大学院生の合格者の増減にあります。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。元号の省略された年の表記は、平成の元号によります。
年 | 大学在学中 | 法科大学院在学中 | 両者の合計 |
23 | 33.6% | 5.1% | 38.7% |
24 | 31.5% | 27.8% | 59.3% |
25 | 30.4% | 46.7% | 77.1% |
26 | 32.0% | 47.1% | 79.1% |
27 | 39.5% | 35.0% | 74.5% |
28 | 44.1% | 38.0% | 82.1% |
29 | 47.9% | 24.5% | 72.4% |
30 | 39.2% | 35.1% | 74.3% |
令和元 | 52.7% | 24.3% | 77.0% |
令和2 | 54.7% | 21.9% | 76.6% |
令和3 | 53.9% | 21.4% | 75.3% |
令和4 | 41.5% | 26.6% | 68.1% |
令和5 | 60.1% | 4.3% | 64.4% |
一般に、大学生・法科大学院生は若者が多いので、大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合が増加すると、全体の平均年齢は若年化しやすくなります。また、一般に、法科大学院生より大学生の方が若いので、法科大学院在学中合格者が減少し、それに代えて大学在学中合格者が増加すると、やはり全体の平均年齢は若年化しやすくなります。ただし、大学生・法科大学院生と社会人の年齢差と、大学生と法科大学院生の年齢差を比較すると、前者の方が大きいのが通常なので、大学在学中・法科大学院在学中両者を合計した割合の増減(=社会人割合の増減)の寄与度の方が大きいといえます。
平成26年までの若年化は、主に法科大学院在学中合格者の増加が原因でした。しかし、それ以降は、法科大学院在学中合格者は減少傾向となり、代わって大学在学中合格者が増加傾向となっていきます。
令和3年は、法科大学院在学中合格者の割合が横ばいにとどまる一方で、大学在学中合格者の増加にはブレーキがかかり、減少に転じました。令和4年は、法科大学院在学中合格者の割合が大きく反転上昇した一方で、大学在学中合格者の割合は10ポイント以上の大幅減少となりました。令和4年の大幅な高齢化は、これを反映したものといえます。
それが、令和5年は、大学在学中合格者の割合が大幅な反転上昇となった一方で、法科大学院在学中合格者の割合はあり得ないほどに激減しました。これは、過去最低の水準です。令和5年から司法試験の在学中受験が可能になったことの影響が、顕著に現れたといえるでしょう。このことは、合格者全体の平均年齢を引き下げる要素となります。他方で、大学在学中と法科大学院在学中の両者の割合の合計は、令和4年より減少しました。このことは、社会人合格者の割合の増加を意味し、合格者全体の平均年齢を引き上げる要素となる。令和5年の合格者の平均年齢が、令和4年と令和3年の中間くらいの水準に落ち着いたのは、両者の要素が相殺し合った結果といえるでしょう。