1.令和6年司法試験論文式公法系第2問。かなりの難問でした。それだけに、読めば誰でも分かるような問題文の指示を守ったかどうか。そんな当たり前のことで、結構差が付きそうです。
(問題文より引用。太字強調は筆者。) 〔設問1〕 〔設問2〕 (引用終わり) |
一見して明らかなように、設問1小問(1)は、「処分に当たる。」という結論でなきゃダメです。これを、平然と「処分に当たらない。」などとすれば、当然ながら評価を落とすでしょう。また、想定される反論なんて書く必要はありません。
設問1小問(2)も同様で、違法の結論でないとダメです。「軽微な変更に当たるから縦覧・意見書提出手続がなくても適法」なんてダメに決まってる。そんなことをすれば、当然ながら評価を落とすでしょう。想定される反論なんて書く必要はありません。
設問2は、「Dの立場から」なのだから、承継を肯定しないとダメです。たぬきの森事件判例との違いを力説して承継を否定したりしたら、評価を落としても文句はいえません(※1)。また、「想定される被告B地区組合の反論を踏まえて」とあるのだから、反論を書かないとダメです。
※1 もっとも、この点については、ほとんどの受験生が平板な論述しかしないので、物凄く説得的に判例との違いを力説していたら、「想定される反論」に配置されていた配点を取ることができる結果、相対的には高評価になるかもしれません。
2.こんなのは、行政法の知識・理解以前のレベルの話です。毎年、このようなくだらないことで不合格になっている人が一定数います。本問で、上記のような指示を無視してしまった人は、どうしてそんなことをしてしまったのか、どうすればそれを防げるか、真剣に考えなければなりません(※2)。「たまたまパニックになってウッカリしただけ」などと思ってはいけない。「ケアレスミスを防ぐ方法論を確立していなかったことによる必然の結果である。」と肝に銘じ、「構成後、書き出す前に必ず設問を改めて確認する。」、「まず構成用紙に指示を転記する。」等、自分に合った再発防止策を考えるべきでしょう。
※2 司法試験には合格しても、その後の2回試験(司法修習生考試)で致命的な指示無視をして悲惨な結果になる可能性も否定できません。