現場助勢と幇助の区別?
(令和6年司法試験刑事系第1問)

 令和6年司法試験刑事系第1問設問2。丁の罪責のところで、「現場助勢と幇助の区別もしっかり拾ったぜ。」という人もいたかもしれません(※1)。そんな人は、落ち着いて一度法文を確認すべきでした。
 ※1 「そんな論点知らねーよ。」という人の方が多いかもしれませんが、本問に関していえば、その方が幸せだったといえます。

(参照条文)刑法

204条(傷害)
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

205条(傷害致死)
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

206条(現場助勢)
 前2条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 本問は、傷害には至っていない事案です(※2)。
 ※2 これには、結果的加重犯の共犯を書かなくてよいようにする、という意味もあります。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

8 丙による暴行(1回目殴打及び2回目殴打)によりCに傷害は生じなかった。

(引用終わり)

 なので、現場助勢と幇助の区別を書いた人は、単なる余事記載とされるか、条文読解ミスとして減点を食らうか、どちらかになるでしょう。最近の傾向からすると、減点されたとしても軽微なものにとどまる可能性が高そう。とはいえ、たとえ余事記載にとどまったとしても、時間のロス以外の何物でもないわけですから、普段あまり検討しないマイナー犯罪に触れるときは、答案構成の段階で、一度条文を確認するべきでしょう。

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