(参照条文) ◯会社法 156条(株式の取得に関する事項の決定) 157条(取得価格等の決定) 160条(特定の株主からの取得) 349条(株式会社の代表) 363条(取締役会設置会社の取締役の権限) 461条(配当等の制限) 462条(剰余金の配当等に関する責任) 465条(欠損が生じた場合の責任) 960条(取締役等の特別背任罪) 963条(会社財産を危うくする罪)
◯会社法施行規則116条
◯会社計算規則159条(剰余金の配当等に関して責任をとるべき取締役等) |
(東京高判平20・5・21(ヤクルト事件)より引用。太字強調は当サイトによる。) Y2は経理担当取締役、Y3は監査役であり、Y1が行っていた本件デリバティブ取引について、事後的なチェックをする職責を負っていたものであるが、上記のように、個別取引報告書の作成や調査検討を行う下部組織等(資金運用チーム・監査室等)が適正に職務を遂行していることを前提として、監査室等から特段の意見がない場合はこれを信頼して、個別取引報告書に明らかに異常な取引がないか否かを調査、確認すれば足りたというべきである。ところが、Y1の想定元本の限度額規制の潜脱は、隠れレバレッジなどのレバレッジを掛けて、表面上想定元本の限度額規制を遵守したかのように装って、実質的にこれを潜脱するという手法で行われたものであり、監査室からも、本件監査法人からも特段の指摘がなかったのであるから(なお、そこからあがってくる報告に明らかに不備、不足があり、これに依拠することに躊躇を覚えるというような特段の事情があったとは認め難い。)、金融取引の専門家でもないY2やY3がこれを発見できなかったとしてもやむを得ないというべきで、Y1の想定元本の限度額規制違反を発見できなかったことをもって善管注意義務違反があったとはいえない。 (引用終わり) |
(残高証明書偽造事件判例より引用。太字強調は当サイトによる。) 監査役設置会社(会計限定監査役を置く株式会社を含む。)において,監査役は,計算書類等につき,これに表示された情報と表示すべき情報との合致の程度を確かめるなどして監査を行い,会社の財産及び損益の状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見等を内容とする監査報告を作成しなければならないとされている(会社法436条1項,会社計算規則121条2項……(略)……,122条1項2号……(略)……)。この監査は,取締役等から独立した地位にある監査役に担わせることによって,会社の財産及び損益の状況に関する情報を提供する役割を果たす計算書類等につき(会社法437条,440条,442条参照),上記情報が適正に表示されていることを一定の範囲で担保し,その信頼性を高めるために実施されるものと解される。 (引用終わり) (参照条文) 436条1項
◯会社法施行規則116条
◯会社計算規則 |
(上記判例における草野耕一補足意見より引用。太字強調は当サイトによる。) 被上告人の具体的任務を検討するに当たっては……(略)……本件口座の実際の残高と会計帳簿上の残高の相違を発見し得たと思われる具体的行為(例えば,本件口座がインターネット口座であることに照らせば,被上告人が本件口座の残高の推移記録を示したインターネット上の映像の閲覧を要求することが考えられる。なお,会計限定監査役にはその要求を行う権限が与えられているように思われる(会社法389条4項2号,同法施行規則226条22号参照)。)を想定し,本件口座の管理状況について上告人から受けていた報告内容等の諸事情に照らして,当該行為を行うことが通常の会計限定監査役に対して合理的に期待できるものか否かを見極めた上で判断すべきであると思われる。 (引用終わり) |
(最判平5・9・9より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 甲株式会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙株式会社の株式を取得することは、商法(昭和56年法律第74号による改正前のもの)210条(※注:当時の自己株式取得を禁止する趣旨の規定である。)に定める除外事由のある場合又はそれが無償によるものであるなど特段の事情のある場合を除き、同条により許されないものと解すべきである。けだし、このような甲株式会社による乙株式会社の株式の取得は、乙株式会社が自社の株式を取得する場合と同様の弊害を生じるおそれがある上、このような株式の取得を禁止しないと、同条の規制が右の関係にある甲株式会社を利用することにより潜脱されるおそれがあるからである。 (中略) 原審の適法に確定した事実関係の要旨は、(一) D鉱山株式会社(以下「D鉱山」という。)は、昭和50年当時、E株式会社(以下「E」という。)のすべての発行済み株式を有していた、(二) D鉱山は、同年12月3日、Eに対して、Fの有するD鉱山株式1550万株(以下「本件株式」という。)を同人の要求する価格で買い取った上、D鉱山の関連会社にFからの買入れ価格よりも低い価格で売り渡すことを指示した、(三) Eは、右指示に従い、同月25日、Fとの間で、本件株式について代金を82億1500万円とする売買契約を締結し、契約と同時に株券の引渡しを受け、昭和51年11月30日までに代金全額を支払い、同年1月から3月にかけて、本件株式を複数のD鉱山の関連会社に対して代金合計46億6340万円で売り渡した、というのである。 (引用終わり) |
(参照条文) ◯会社法 179条の2(株式等売渡請求の方法) 179条の7(売渡株式等の取得をやめることの請求) 179条の8(売買価格の決定の申立て) |