1.今年の司法試験は、8015人が受験して、1810人が合格。受験者合格率は、22.5%でした。これは、新司法試験史上、最も低い数字です。これまでの推移を振り返ってみましょう。
年 | 受験者 合格率 |
18 | 48.2 |
19 | 40.1 |
20 | 32.9 |
21 | 27.6 |
22 | 25.4 |
23 | 23.5 |
24 | 25.0 |
25 | 26.7 |
26 | 22.5 |
平成23年までは、一貫して合格率が低下し、平成23年を境に、上昇傾向になりつつあったところでした。それが、今年は大幅な低下になっています。その原因は、受験者数(分母)の増加と、合格者数(分子)の減少の両方が同時に起こったことにあります。
2.通常、合格率が低いということは、難易度も高いということを意味します。しかし、今年に関しては必ずしもそうではないということを、当サイトでは繰り返し説明してきました。すなわち、受験回数制限が緩和されることが事前にわかっていたために、従来なら受控えをしたような人達がダメ元で受験をした。そのために、例年より受験者数が増加し、見かけの合格率が下がってしまったのです(「平成26年司法試験短答式試験の結果について(1)」)。
では、上記の要素を取り除いた合格率は、どの程度なのか。「平成26年司法試験短答式試験の結果について(1)」で示したように、受験率を例年どおりと仮定すると、受験者数は6869人となります。これをベースにして、受験者合格率を計算すると、
1810÷6869≒26.3%
ということになります。
この26.3%という数字は、昨年とほぼ同様、平成22年から平成24年までの数字と比べると、むしろ高い合格率です。ですから、実際には、合格率はほぼ横ばいだったと考えるべきでしょう。
3.仮に、今年の合格者数が例年どおり2000人で、受験者数が6869人だったとすると、受験者合格率は、
2000÷6869≒29.1%
になります。
これは、平成20年に次ぐ高い合格率です。平成20年は、まだ新試験が始まったばかりの過渡期で、例外的に高い合格率になっていた年です。それに次ぐ合格率というのは、いかにも高すぎます。司法試験委員会が、今回、「2000人基準」から、「1800人基準」へと合格者数を減少させた理由の一つには、このような真の意味での合格率に対する考慮があった。そう考えると、一応筋が通ります。ただ、そのような考え方からすると、今後、ローの定員削減によって受験者数が減少しても、大方の予想のように合格率が上がるのではなく、むしろ合格者数が減るという展開になるという点に注意が必要です。