1.今年は、8016人が受験して、1850人合格ですから、受験者合格率は、23.0%ということになります。以下は、これまでの受験者合格率の推移です。
年 | 受験者 合格率 |
18 | 48.2 |
19 | 40.1 |
20 | 32.9 |
21 | 27.6 |
22 | 25.4 |
23 | 23.5 |
24 | 25.0 |
25 | 26.7 |
26 | 22.5 |
27 | 23.0 |
平成23年までは、一貫した低下傾向。平成23年でいったん底を打ち、上昇に転じ始めていました。しかし、昨年は大幅な低下。そして、今年は若干の上昇となっていますが、過去と比較するとかなりの低水準にとどまっています。
昨年の大幅な低下の原因は、受験者数(分母)の増加と、合格者数(分子)の減少の両方が同時に起こったことにありました。今年は、受験者数はほとんど変わらず(1人増加)、合格者数が若干増加(40人増加)しましたから、合格率が若干の上昇となった、ということです。
2.通常は、合格率が低ければ、試験の難易度は高いといえます。しかし、昨年の合格率の低さは、直ちに難易度の高さを意味していませんでした(平成26年司法試験の結果について(2))。そして、このことは、今年に関しても妥当します。
昨年受験者数が増加し、今年もその水準を維持した原因は、受験回数制限が5年3回から5年5回に緩和されたことにあります。すなわち、これまでは受控えをしていたような人が、受控えが無意味になったために、受験してきた、ということです。このことは、受験率に現れています。以下は、受験予定者ベースの受験率の推移です。
年 | 受験率 |
18 | 98.4% |
19 | 87.3% |
20 | 81.2% |
21 | 77.3% |
22 | 74.8% |
23 | 75.0% |
24 | 75.6% |
25 | 75.2% |
26 | 87.5% |
27 | 89.5% |
新司法試験初期の頃は、今後合格率がどんどん下がるということがわかっていたために、受控えはかえって不利になる時期でした。ですから、極端に受験率が高くなっています。その後は、受控えの発生により概ね75%の受験率で推移しました。それが、昨年と今年は、平成19年の頃と同水準の高さになっています。この差が、受控え層の受験によって生じていると考えられるわけですね。
この受控え層は、実際にはほとんど合格しないでしょう。ですから、実際の難易度を考えるに当たっては、受控え層を除いた合格率を考える必要があります。そこで、仮に、今年も、平成22年から平成25年までと同水準の受験率(75%)であったとすると、今年の受験者数は、
8957人(受験予定者)×0.75≒6717人
ということになります。実際の受験者数との差である1299人が、受控え層であった、ということができるでしょう。
上記の仮の受験者数を基礎に受験者合格率を計算すると、
1850÷6717≒27.5%
となります。これを、前記1の合格率の推移と照らしあわせてみると、平成21年と同水準の高さです。ですから、実際の難易度は、見かけの数字ほどではなかったのです。
3.今後、合格率がどうなるかは、受験者数(分母)と合格者数(分子)の数字がどうなるかによります。受験者数は、既にローの定員削減が進んでいますから、減少傾向となるのは確実です。他方、合格者数は、現状維持かやや微減となりそうです。そうなると、合格者数が予想外に減少しない限り、分母である受験者数の減少の影響によって、合格率は徐々に上昇傾向になりそうだ、ということがいえると思います。