平成27年予備試験論文式試験の結果について(3)

1.以下は、旧司法試験、予備試験における受験者数、合格者数等の推移です。平成16年から平成22年までが旧司法試験。平成23年以降が予備試験の数字です。


(平成)
短答
受験者数
論文
受験者数
論文
合格者数
短答受験者
ベースの
論文合格率
論文受験者
ベースの
論文合格率
16 43356 7287 1536 3.54% 21.07%
17 39415 7487 1454 3.68% 19.42%
18 30240 3717 542 1.79% 14.58%
19 23298 2171 250 1.07% 11.51%
20 18201 1560 141 0.77% 9.03%
21 15218 1546 101 0.66% 6.53%
22 13222 726 52 0.39% 7.16%
23 6477 1301 123 1.89% 9.45%
24 7183 1643 233 3.24% 14.18%
25 9224 1932 381 4.13% 19.72%
26 10347 1913 392 3.78% 20.49%
27 10334 2209 428 4.14% 19.37%

2.過去の予備試験との比較でみると、短答受験者ベースの合格率は、平成25年をわずかに上回り、過去最高となっています。短答受験者数がわずかに減少した一方で、論文合格者数が増加したことによります。今後、短答受験者数が横ばいとなる一方で、論文合格者数が400人基準によって決まるという状況が続くとすれば、短答受験者ベースの論文合格率も、4%程度で推移するでしょう。
 論文受験者ベースの合格率をみると、平成25年以降、20%前後で推移しています。これは、短答合格者数が「2000人基準」で決まり、論文合格者数が「400人基準」で決まるとすれば、ほぼ必然的にそうなる、という感じです。以前の記事(「平成27年予備試験論文式試験の結果について(1)」)で示したとおり、論文合格者数が「400人基準」で決まらないのは、210点以上を取る者が400人未満となる場合です。この場合には、論文受験者ベースの合格率は20%を下回ることになる。もっとも、前回の記事(「平成27年予備試験論文式試験の結果について(2)」)で示したように、仮に採点目安どおりの分布を守ろうとした結果として210点以上の者が増えたとすれば、その傾向は今後も継続するでしょうから、210点以上を取る者が400人未満となるという事態は、あまり生じないのではないかと予想できます。そうなると、論文受験者ベースの合格率は、今後も20%前後で安定して推移すると考えることができるでしょう。

3.旧司法試験との比較でみると、短答受験者ベースの論文合格率は、1500人前後の合格者数だった平成16年、17年よりも高い数字です。論文受験者ベースの合格率でみても、平成16年、17年とほぼ同等の水準です。
 平成16年、17年の旧司法試験といえば、「こんなに受かったら質の確保が困難になる」、「今までなら到底合格できないとみられていた人まで受かってしまった。簡単過ぎる」、「これはもうザル試験だ。これで受からないようでは諦めた方が良い」などという声が出ていたものです。現在の予備試験は、数字の上ではその程度の合格率になっているということです。逆に言えば、このレベルに受からないということは、短答は明らかに勉強不足、論文は当たり前の規範の明示と事実を引用した当てはめすらできていない、ということですから、その点を反省する必要があるでしょう。

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