平成29年司法試験短答式試験の結果について(1)

1.平成29年司法試験短答式試験の結果が公表されました合格点は、108点でした。以下は、憲民刑の3科目、175点満点になった平成27年以降の短答式試験の合格点をまとめたものです。

合格点
27 114
28 114
29 108

 平成27年と平成28年は、同じ114点。それが、今年は急に6点も下がって108点になっています。どうして、このようなことになったのでしょうか。

2.7科目、350点満点だった頃の短答式試験は、満点の6割である210点を一応の下限とし、それで合格者数が多すぎるようなら、5点刻みで上方修正する、という感じで、合格点が決まっていました。
 では、憲民刑の3科目、175点満点になった平成27年以降の短答式試験の合格点は、どのように決まっているのか。当サイトの仮説は、満点(175点)の6割5分である113.75の小数点を切り上げた114点を一応の基本的な合格点とし、それで合格者数が多すぎたり、少なすぎたりするようなら微修正する、というものでした(「平成28年司法試験短答式試験の結果について(1)」)。

3.上記の仮説によれば、今年の合格点は、基本的な合格点である114点では合格者数が少なすぎたので、合格者数がちょうどよい水準まで合格点を引き下げたところ、108点になった、という理解になります。実際の合格者数等の数字を見てみましょう。以下は、直近5年の受験者数、短答合格者数、受験者合格率の推移です。

受験者数 合格者数 受験者
合格率
25 7653 5259 68.7%
26 8015 5080 63.3%
27 8016 5308 66.2%
28 6899 4621 66.9%
29 5967 3937 65.9%

 仮に、今年の合格点が、昨年と同じ114点だった場合の合格者数を、法務省の公表した得点別人員調から確認してみると、3304人となります。これは、受験者合格率にすると、55.3%です。なるほど、これは少なすぎる。だから、例年の合格率である66%、すなわち、下位3分の1を落とすような合格率になる得点まで、合格点を引き下げた。その結果が、108点という合格点だった。そういうことで、説明が付きます。

4.今年の出願者数の速報値が公表された段階で、当サイトでは、受験者数、合格者数の一応の試算をしていました(「平成29年司法試験の出願者数について(2)」)。それによれば、受験者数は5977人、合格者数は3944人でした。実際の数字は、試算よりも、受験者数が10人少なく、合格者数が7人少ないという程度で、かなり近いものとなりました。これは、担当者の勘が良かった、というわけではなく、受験率と短答の受験者合格率が、例年どおりだったことを示しています。受験率と短答の受験者合格率に関しては、しばらくはこの水準で安定しそうだな、という印象です。

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