1.平成28年司法試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は、昨年と同じ114点でした。
2.従来、短答式試験は7科目350点満点で、その6割である210点が下限の合格点。それで合格者数が多すぎるようなら、5点刻みで上方修正する。これが、7科目時代の合格点の決まり方でした。
昨年から、短答式試験の試験科目は憲民刑の3科目175点満点になりました。3科目になった場合、合格点はどのように決まるのか。当サイトの仮説は、満点(175点)の6割5分である113.75の小数点を切り上げた114点が基本的な合格点。それで合格者数が多すぎたり、少なすぎたりするようなら微修正する、というものです(「平成27年司法試験短答式試験の結果について(1)」)。
3.上記の仮説によれば、今年の合格点は、基本的な合格点である114点で合格者数が多すぎたり、少なすぎたりしなかったので、そのまま114点が合格点になった、という理解になります。実際の合格者数等の数字を見てみましょう。以下は、直近5年の受験者数、短答合格者数、短答合格者数ベースの受験者合格率の推移です。
年 | 受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
24 | 8387 | 5339 | 63.6% |
25 | 7653 | 5259 | 68.7% |
26 | 8015 | 5080 | 63.3% |
27 | 8016 | 5308 | 66.2% |
28 | 6899 | 4621 | 66.9% |
合格者数は、昨年よりかなり減っているようにも見えますが、これは受験者数の減少に見合った程度のものです。そのことは、受験者合格率が昨年とほぼ同じ、むしろわずかに上昇していることからもわかります。
今年の出願者数が確定した時点で、当サイトでは、受験者数、合格者数の一応の試算をしていました(「今年の出願者数からわかること」)。それによれば、受験者数は6725人、合格者数は4371人でした。それと比べると、実際の数字は、試算よりも受験者数が174人多く、合格者数は250人多かった。これは、想定よりも受験率及び受験者合格率がやや高かったことによります。とはいえ、事前に想定した数字と、それほど大きく違わないともいえるでしょう。法務省としても、この程度の数字なら、別段多すぎて困るという感じではなかった。だから、基本的な合格点である114点をそのまま維持した。今年の合格点は、そのような思考過程によって決定されたのだろう、と理解できます。