1.平成29年予備試験口述試験の結果が公表されました。合格点は、これまでと同じ119点。最終合格者数は、444人でした。昨年の最終合格者数405人と比べると、39人の増加ということになります。 昨年、初めて最終合格者数が400人を上回ったのですが、今年は、さらに合格者数の増加幅が拡大しています(昨年は11人の増加)。その背景には、論文段階で、「400人基準」ではなく、「合格点の上限を245点とする。」という基準が適用されたことがあったのでした(「平成29年予備試験論文式試験の結果について(1)」)。
2.今年の口述試験の受験者合格率は、444÷469≒94.66%でした。以下は、これまでの推移をまとめたものです。
年 (平成) |
受験者数 | 合格者数 | 受験者 合格率 |
前年比 |
23 | 122 | 116 | 95.08% | --- |
24 | 233 | 219 | 93.99% | -1.09% |
25 | 379 | 351 | 92.61% | -1.38% |
26 | 391 | 356 | 91.04% | -1.57% |
27 | 427 | 394 | 92.27% | +1.23% |
28 | 429 | 405 | 94.40% | +2.13% |
29 | 469 | 444 | 94.66% | +0.26% |
平成26年まで低下を続けてきた合格率が、平成27年には上昇に転じ、昨年は、その増加幅をさらに広げました。今年は、上昇を続けているとはいえ、ほぼ横ばいといっていいでしょう。以前にも説明したとおり、口述試験の理論的な合格率は、93.75%です(「平成29年予備試験論文式試験の結果について(4)」)。昨年に引き続き、今年も、それをやや上回る数字になっています。ですから、当面は58点以下が付く可能性を考える必要はないでしょう。
2.以下は、年代別の口述合格率(論文合格者ベース)の推移です。
年 (平成) |
19歳 以下 |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 以降 |
23 | --- | 96.0% | 94.2% | 87.5% | 100% |
24 | --- | 99.2% | 91.8% | 81.8% | 83.3% |
25 | --- | 95.0% | 93.4% | 75.8% | 64.2% |
26 | --- | 92.6% | 83.9% | 86.2% | 87.5% |
27 | --- | 93.0% | 92.0% | 83.8% | 88.2% |
28 | --- | 95.4% | 89.1% | 91.3% | 88.8% |
29 | 100% (2人) |
96.8% | 88.0% | 87.0% | 87.5% |
従来から確立している傾向として、20代が常にトップ、ということがありました。今年は、19歳以下で2人中2人合格というイレギュラーな結果があるものの、それを除けば、20代トップの傾向に変化は生じていないといえます。口述も、基本的には若手有利といえるでしょう。もっとも、30代以降については、年によってバラ付きが大きく、また、年代ごとの合格率の差も、そこまで大きくはありません。最も合格率の高い20代でも、今年は11人落ちています。ですから、論文のような圧倒的な差があるというわけではない。その意味では、年配者だからといって、特別な対策を考える必要はないだろうと思います。
3.以下は、予備試験の最終合格者の平均年齢の推移です。
年 (平成) |
最終合格者 平均年齢 |
23 | 31.57 |
24 | 30.31 |
25 | 27.66 |
26 | 27.21 |
27 | 27.36 |
28 | 26.16 |
29 | 26.90 |
平成24年から平成25年にかけて一気に若年化が進み、平成27年まではほぼ横ばい。そして、昨年はさらに1歳以上若年化しましたが、今年は、わずかながら反転上昇となりました。
平成23年及び平成24年は、メインの受験生が旧司法試験組でした。それが、平成25年からロー生が本格的に参入するようになり、劇的に若年化が進んだのです。そして、昨年の若年化の原因は、大学生合格者の増加にありました(「平成28年予備試験口述試験(最終)結果について(1)」)。そうすると、今年の反転上昇は、大学生合格者の増加が収まったためなのか。そうではありません。以下は、最終合格者全体に占める大学在学中、法科大学院在学中の合格者の割合の推移です。
年 (平成) |
大学在学中 | 法科大学院在学中 |
23 | 33.6% | 5.1% |
24 | 31.5% | 27.8% |
25 | 30.4% | 46.7% |
26 | 32.0% | 47.1% |
27 | 39.5% | 35.0% |
28 | 44.1% | 38.0% |
29 | 47.9% | 24.5% |
大学在学中合格者の割合は、今年も増加を続けています。一方で、ロー在学中合格者は、昨年から一転して大幅に割合を減少させています。すなわち、今年の合格者年齢の反転は、大学生合格者の増加による若年化効果を打ち消すほどのロー在学中合格者の減少によって生じたのです。ロー在学中合格者は、今後も減少傾向となりやすいでしょう。やはり、法科大学院の志願者減少と定員削減の影響が大きい。昨年の上昇の方が、むしろイレギュラーだったということです。注目したいのは、大学在学中合格者とロー在学中合格者を合わせた割合です。昨年は、82.1%と、8割を超えていました。予備合格者の8割以上が、大学在学中とロー在学中の者によって、占められていたのです。それが、今年は72.4%にまで減少しています。このことは、大学在学中及びロー在学中以外の者の増加を意味する。大学生とロー生による独占傾向だった予備試験が、若干の変化の兆しを見せています。