1.令和元年予備試験短答式試験の結果が公表されました。合格点は162点。合格者数は2696人。受験者合格率は22.8%でした。
2.以下は、合格点、合格者数等の推移です。
年 | 受験者数 | 短答 合格者数 |
短答 合格率 |
短答 合格点 |
平成23 | 6477 | 1339 | 20.6% | 165 |
平成24 | 7183 | 1711 | 23.8% | 165 |
平成25 | 9224 | 2017 | 21.8% | 170 |
平成26 | 10347 | 2018 | 19.5% | 170 |
平成27 | 10334 | 2294 | 22.1% | 170 |
平成28 | 10442 | 2426 | 23.2% | 165 |
平成29 | 10743 | 2299 | 21.3% | 160 |
平成30 | 11136 | 2612 | 23.4% | 160 |
令和元 | 11780 | 2696 | 22.8% | 162 |
平成25年から平成28年まで、短答合格者数は一貫して増加していましたが、一昨年は減少に転じました。これだけをみると、何か意図的な合格者数の増減のようにみえますが、実は、「2000人基準」、すなわち、「5点刻みで、最初に2000人を超えた得点が合格点となる。」というルールを形式的に適用した結果、偶然そうなったというだけだったのでした(「平成29年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。それが、昨年になって、「2000人基準」から、「2500人基準」へと変更されたようにみえたのです(「平成30年予備試験短答式試験の結果について(1)」)。
今年はというと、そもそも合格点が5点刻みになっていない。これは、予備試験史上初めてのことです。どうして、このようなことになったのでしょうか。
3.以下は、法務省の得点別人員調から、160点から170点までの人員をまとめたものです。
得点 | 人員 | 累計 人員 |
170 | 96 | 1832 |
169 | 87 | 1919 |
168 | 100 | 2019 |
167 | 118 | 2137 |
166 | 94 | 2231 |
165 | 109 | 2340 |
164 | 105 | 2445 |
163 | 133 | 2578 |
162 | 118 | 2696 |
161 | 110 | 2806 |
160 | 105 | 2911 |
今年は、「2000人基準」、すなわち、5点刻みで、最初に2000人を超えた得点を合格点とすると、合格点は165点で、合格者数は2340人となるでしょう。一方、「2500人基準」、すなわち、5点刻みで、最初に2500人を超えた得点を合格点とすると、合格点は160点で、合格者数は2911人となるはずでした。
ここからは憶測ですが、おそらく、当初は「2500人基準」で決定することとして、合格者数は大体2600人くらいだろうと想定していたのでしょう。ところが、実際には、「2500人基準」を適用すると、2500人を大きく上回る2911人が合格してしまう。そこで、さすがにこれはちょっと多すぎるのではないか、という異論があって、若干合格点を上げることになった。161点にしてもまだ2806人も合格するので、もう1点上げて162点とした。そういうことだったのでしょう。今後は、これが前例となって5点刻みにこだわらずに合格点が決まることになるのか、今回は飽くまで例外ということで、今後も5点刻みが原則となり続けるのか。両方の可能性があり得るでしょう。